表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/71

06.萌えと美少女と骨

 目覚めたロゼリアたんと一緒にリビングにいる私る、る、る、ルティアです。

 いや……現世の名前が恥ずかしいのです……転生して大分経つがまだ慣れないね(笑)

 言葉遣いも身体が子供になったせいか、幼くなってる気がする……あれかな? 精神が肉体に合わせようとしている感じ?

 

 そんな私の気も知る由もなく、リビングのソファに腰掛けて『ほお〜』とか呟きながら無表情で辺りをソワソワ見ている彼女の様子は小さい子供が”おかーさんアレなあに?”って聞きたい子供みたいでして―――


「無表情だけど”目は口ほどに物を言う”で目の感情がすごいんだよぉ! カワイイ〜! くぅ〜萌え殺す気ですね!? そうですか!? そうですね! 拾った()が可愛すぎて生きてるのが辛い! いや死なないけど!」

「ええ?! 突然どうしたんですがルティアさん?!」


 いかん、萌えが声に出てました。ヲタクの萌えは異世界をも超えるんだね。萌えリミットブレイクがスゴい。

 銀髪にアメジストの瞳。スタイルもいい美人さん。これだけでも私の中で萌え要素満載な上に、無表情だからクールに見えるけど実際は感情豊かだと思うんだよね〜。事実、目で(感情)語る彼女は超絶可愛い!

 え、だってさ〜部屋からここまで来る短い距離なのに―――


「靴を履かずに家の中を歩くって不思議ですね。これ”スリッパ”というんですね?」

「ルティアさん! あれは何ですか?」

「キッチンのアレって魔道具ですか!?」


 ―――という具合に顔は無表情のままなのですが目をキラキラさせて聞いてくるんですよ! 可愛すぎる!

 一先ず落ち着かせて席に座らせたんですが、まだソワソワしてるし。


「ちょっとは落ち着いたかなぁ?」

「……はい、助けて頂き感謝しております」

「いえいえ」

「あの……」

「……”なんで血塗れで死にかけてたの?”と聞くべきなんだろうけど、言いたくないなら聞かない」


 うん、誰だって言いたくない事あるよね。でも最初は当たり前ですが知らない人だったし、見かけはいい人でも悪人というのはよくあるパターンです。本人には悪いけど無断で見ました。

 スキル【万能鑑定】さんで!


 このスキルすごいんですよ〜! 鑑定は勿論、分析・解析も出来るし、検索機能までついてました。分からないことを教えてくれるナビみたいなものかな。で、嘘発見機能まである! え、どっかの小説の鑑定持ちみたいじゃん。さらにその人の過去まで歴史表みたいなのがあって、詳しく見れる。プライバシーないねコレ(笑)

 なのでロゼリアたんが冤罪で婚約破棄、追放、暗殺(は私がヘルプしたから未遂)なのも知ってるんだよね。彼女が苦労してきたのも知った。”よくある乙女ゲームみたいな展開だ!”って思ったよ。現実だけどね。


「いえ……このままですとルティアさんにも害が及ぶかもしれませんので聞いて下さいますか?」


 そして彼女は語った。

 政略的とはいえバカ……げふんげふん、王太子の婚約者として努力してきたが冤罪で破棄されたこと。

 誰も彼女を庇わず、追放されてしまったこと。

 追放中にアホ達に殺されかけたこと。

 語り終えた彼女は気づけば涙を流していました。


「ご、ごめんなさい……」

「なんで謝るの? ロゼリアたん悪くないじゃん! あ、辛いからか……ゴメンよぉ」

「ち、違うのです。私が生きていると知れれば助けて下さったルティアさんまで何をされるか……」


 私はそっと手にしたハンカチで彼女の涙を拭うとこう言った。


「あ、多分大丈夫だよソレ」

「え?」

「ココ”死境(しきょう)”の最奥だし」

「はい?」

「死境全体を地下も含めて”結界”張ったから侵入不可能だし、それに幻術付与もしてるから空からも【透視】系のスキルとかでも見えないようにしてる。この”お家”も同じくセキュリティ万全だから魔物もノー問題♪」

「はいぃ?」

「でもってロゼリアたん()()()()()()()()()()から。偽造もバッチリ♪ いや〜いい仕事したわ」

「偽造って? ……そ、それに! 仮にここが”死境”の最奥だと仰るのでしたら古龍(エンシェントドラゴン)がいると言われています! 危険なんですよ!」


 うんうん、ごもっともな意見ですね。

 コレ言わないほうがいいのかな? まあ内緒にしてもらえばいいし、先程から驚いてはいるけど無表情な彼女の為にも1つショック療法をしてみるのもいいかもしれない。

 実は【万能鑑定】によると彼女は最初から無表情だった訳ではなく、バカの婚約者になる前はまだ感情が顔に出てたみたい。貴族の教育やら王妃教育やら周りのバカ共のせいでああなったみたいです。【万能鑑定】によれば『逆に大きなショックを与えたらよいかも知れません』と表示されました。


(方法が)あるのなら、試してみよう、コカトリス(笑)


 あ、コカトリスっていうのはこの世界のデカい鶏みたいな魔物です。前世の鶏よりふた周りほどデカいけど美味しんだよアレ♪


「あのね……他に人にはナイショにして欲しいんだけどね……エンシェントドラゴンはもういないの」

「はい?」

「……あの爺さん(エンシェントドラゴン)……不可抗力とはいえコッチも悪かったけどさ〜『久々の客じゃあ! 手合わせしろぉ!』ってケンカ吹っかけてきてさ〜……殺っちまったよ♪ テヘッ♪」

「え? え?」

「あ、嘘だと思うよね? まあそうだよね〜」


 普通は信じないだろうなぁ。彼女は知らないけどルゥたん(【威圧】はあるがそれ以外の)戦闘系スキルとかないし多分……。(ステータス情報が多かったので流し読みだもん)でも証拠はあるのだ。

 リビングから見える外を見てもらうように彼女に伝える。

 視線を向けたのを確認し、指をパチンと鳴らし【無限収納】からあるものを取りだす。


「な、な、な、なんですかぁぁぁアレはぁぁぁ〜!?」


 そう―――取り出したのはエンシェントドラゴンのでっかい頭蓋骨。


「解体済で骨だけですが。あとデカいから頭蓋骨だけ出してみた」


 指パッチンってカッコよくないですか? 前世でプレイしていたとあるゲームのボスキャラが指パッチンを使ってまして、カッコよかったので女神様に『指パッチンで色々楽々使用をお願いします!』と頼んだ甲斐がありましたよ。これって魔法使うときも、スキル使うときとかも、思うだけでこれ1つで楽々快適! 鳴らさなくても使えるけどね(笑)


「見たぁ〜? でっかいでしょ〜! ルゥたんもビックリだったよ」

「・・・・・・」

「あれ? ロゼリアたん? もしもし〜?」



 ふぅ〜ポスンっ



「ちょ、ちょっと! 何でソファに倒れ込むの!? ロゼリアたん? ロゼリアたぁぁんっ!」




ルゥたんは子供返りしたと思ってますが中身はヲタク全開なのに気づいていないアホ子ちゃんです(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ