閑話:貴族の見栄の張り合い(裏側)
貴族達がパーティーを楽しむ中、従者達はひっそりと控えている。会場はフロンティアの収穫祭の話でもちきりだ。
さて、先程の伯爵の従者Aと伯爵と話していた貴族の従者Bの様子を見てみよう。
「ううぅ、旦那様に怒られた……」
「ドンマイ従者B。気持ちは分かる。プルプルコーヒーゼリーは旨いから」
「そうなんだよ……旨かったの……旨かったんだよぉぉぉ!」
「落ち着け」
バシッ
「いてっ!」
従者Aに軽くどつかれる。
「いてて……ところで今年のフロンティアの収穫祭ってそんなにすごかったのか?」
「ああ! 俺も旦那様について色々と見て回ったが、まず噂通りメシが旨かった!」
「そんなに!?」
「ああ。それに嘘か本当か分からないがフロンティアにはあのコビットが現れたらしい」
「マジかよっ!?」
「来てたかどうかすら分からないし、あの人混みだから多分収穫祭にはいなかったと思うぞ」
「はぁ〜……だよなぁ」
実は彼が並んだクレープの店がそのコビットの店だったのだが、そのコビットはフードを被っている上に中でひたすら仕事していたので従者Aは気づいていない。
「ところで従者Aよ…確か【アイテムボックス(小)】持ちだったよな?」
「そうだけど何?」
「自分用に買ってねえの食い物?」
「・・・・・・(視線逸らす)」
「ああっ! 買ったんだな!? 買ったんだろ!」
「アレハオレノヒジョウショク」
「頼むっ! なあちょっとだけ! ちょっとだけだから!」
「なにその彼女とのベッドでの会話みたいなやつ!? キモっ! 断る!」
「ケチ!……あ、そういえばパーティーの方はどうだったんだ?」
フロンティア領主が主催したパーティーはどうだったんだろうか?
「気になる従者B? 気になる? 気になるよねぇ?」
「なんなの従者A!? その含みある言い方!! はい気になります!」
「くっくっく、素直で宜しい。凄かったぜ〜なにせ―――招待客だけでなく従者やメイドにまでゴチソウしてくれてさ〜! まあ流石に俺ら使用人は後だったし、食事は別室だったけど、コッコの唐揚げっていうやつとかテリヤキという料理? あの玉子たっぷりのオムレツだろ! 他にも色々出た! あとサラダも出たんだけどそれに掛かっているマヨネーズっていうやつがまた旨くて! 俺、生野菜嫌いだったんだけどあれ掛けたら食える! ラブマヨネーズ! そうそうデザートにヒールベリーの実がたっぷり入ったゼリーと卵を使ったプリンって甘味も出てさ〜! もう超旨かったっ!!」
「長えよ!! そして羨まけしからん!」
従者Aの自慢話が長いので一旦ツッコミを入れて中断させる従者B。
「羨ましすぎる……という訳で1つくらい何かくれ!」
「ふっ、仕方がないやつめ……ここで出会ったのも何かの縁だ。1つだけ恵んでやろう!」
使用人同士で苦労しているのか、意気投合したのもあり、従者Aは【アイテムボックス(小)】からコッコちゃんプリン(笑)を取り出す。
「これなに? コーヒーゼリーじゃないよね?」
「プリン。卵を使った甘味。フロンティアでは甘味を”スイーツ”って言うらしい」
「マジ!? マジで食っていいの!? ありがとう友よ!」
「お前に会ったの今日が初だよ(笑) この下の方のカルメルソース?ってやつと一緒に食べるとまた旨いんだよ!」
「うおおおお! では遠慮なく……」
パクリとスプーンでプリンを頬張る。
「うんまぁぁぁぁぁい! お前の友情は忘れないぜ従者A!」
「はっはっは! 感謝しろよな」
楽しく話す2人であるがすぐ傍にまで間の手が迫っていたのだ。
「あ、あの〜伯爵様の従者の方ですよね?」
「え?」
声を掛けられた方を見ると他の貴族の侍女やメイド達がいた。
「噂のフロンティアの甘味をお持ちなら少しいただきたいなぁと」
「あ〜ずるい! ねえキミ、私とあちらでお話しない? 例えば甘いものでお茶しながら♪」
「「・・・・・・」」
普段なら「え? 俺モテ期きてる!?」と喜ぶところである。しかし彼に迫る彼女達の目は肉食獣の目だ!
「(ひぃぃぃぃぃ!!)」
「(逃げて! 超逃げて従者A!!)」
思わず後退るが後ろは壁である。ジリジリと迫る侍女とメイド。
「お、お断りしますぅぅぅ〜!!」
従者Aはそのまま逃げようとするが結局捕まり、彼女達によって別室へと連行されるのだった。
「従者A……お前の事は忘れないぜ(キランっ)」
そう呟いた従者Bは残りのプリンを完食するのだった。
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