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34.ランチタイムは戦争?〜関所にて〜

更新です。いつもありがとうございます!

「おいっトニー! オマエ何2つも買ってんだよ!?」

「2つくらい余裕で入るっす! ちゃんと金は払ってるっす!」

「バカヤロー! テメエが2つ買ったらその分買える人数が減るだろうが!」

「早いもの勝ちっす! オレ育ち盛りっすから!」

「「「どこがだよ! それ以上育つかっ! どうせならその栄養を脳みそへ回せっ!!」」」


 お昼のランチタイムにようこそ。リアたん愛でる会の会長ルティアです。会員はルゥたんオンリーですが(笑)

 ルゥたんは今、デスられるトニーを見ながら関所の一室に居ます。アホの子確定のトニー……。

 近頃、街に行くとアミューズメントパークの着ぐるみの如く絡まれるので、忠犬のように関所で待機してリアたんを待っています。始めの頃はのんびり待っていたのですが、ここなら人が少ないので、たまには商売しようかな〜と時々ではありますがお弁当を販売し始めたのです……が、これが好評でして。

 最近では、ここでリアたんを待たせてもらうと伝えると無言で椅子とかをお菓子(ヒールベリーの砂糖漬け)を出してくれて待遇がよいのです。おやつは丁重に断っていますが。

 わお、何コレ。みんなルゥたんが弁当に見えてるだろッ!? 毎回販売するとは限らないのに何この待遇! 怖いわっ!! 販売しない時のガックリ感がすごいのです……ガクガクプルプルっ!

 そして今……今日はお弁当を販売するために【無限収納】から取り出したのですがご覧の有様です。仕方ないよね、なにせ今日のお弁当は『超豪華! カツのデラックス弁当』だからね♪

 クックック、みんな大好き揚げ物の豪華弁当。オークカツは勿論、コッコのチキンカツ、そして―――奮発してクリムゾンバッファローの牛カツもあるのだ! 豚、鶏、牛の夢のコラボレーション! ソースもゴレムさんが開発したトンカツソース! たっぷりの白いご飯にキャベツもりもり、副菜に少しだけナポリタンを入れたものなのだ! まあ、これだけ高カロリーたっぷりだと太るね。リアたんは泣く泣く諦めたよこれ。その代わり、カツサンドと玉子サンド、そしてちゃっかりデザートも持っていきましたけど。今頃ギルドの食堂でのんびり食べてい―――ハッ!


「いや、チミもスイーツ絡むとスゴイからねっ!? え? 無自覚なのリアたんっ!?」


 なんだっ!? 急に叫んでしまった! 何故だ? 何故にツッコミいれたルゥたん!?


「急に叫んでどうかしたのかいルゥさん?」

「え、いや、何でもないでしゅ」


 兵士の1人に声を掛けられて、「何でもない」と伝えながら弁当を手渡す。


「あ、ゴメン〜残り2つだわ」

「「「何ぃぃぃぃ!?」」」


 この関所、ルゥたんが初めてここで販売を始めた時は多くても10人前後だったのに、今やルゥたんがいる昼時は倍近くの人数が関所にいる。人口密度が濃いわっ!


「オマエ北側の見張りイヤだって言ってただろ!」

「何言ってるんだよ! こんな旨い弁当売られてるの秘密にしやがってっ!」


 この街フロンティアは関所が2箇所あり、死境側の北と、リンラン共和国の王都や他国へ続く街道がある南だ。兵士達はローテーションで関所や町中を守っている。北側は死境が近いせいか、そこそこ強い魔物が徘徊しているから北側は仕事の方が大変らしい。冒険者もいるが討伐とか見回りが大変なんだそうだ。普段はそんなに配置してないけど、そこはキッチリしていて緊急時は街などの屯所で待機している兵士が集合して事に当たるのだと教えてくれた。

 今はエンシェントドラゴンが休眠期に入って”結界(バリア)”が張られているので魔物の数が減って少しは楽になったそうだが(ドラゴンでなくルゥたんが張ったんだけどね)それでも魔物が徘徊しているのは変わりない訳で、北側の関所の見張りは不人気だったのだ。ところが北側の兵士から愚痴が出なくなったのに不審を抱いた他の兵士は、偶然体調を崩した兵士の代わりにやって来て、ここ北側の関所でお弁当の事を知ったのだ。それからは北側の見張りは取り合いになったとか。何ソレ、どんだけ食べたいのお弁当っ!?


「あのさ〜日に日に人……増えてませんか?」

「「「だって来ないと買えないじゃん!!」」」

「ルゥたんね……(色々メンドくさいから)そんなに作ってないでしゅ……今日は10個しか作ってない……あと残り2個でしゅ……」


 もし売れ残っても【無限収納】に入れていたら腐らないからいいんだけど、残るのって何かイヤだから数決めて作ってるんだけど……予想より多いんだよっ!! 

 兵士達は目を血走りさせながら互いを牽制している。


「もぐもぐもぐ……みんな大変っすね。もぐもぐもぐ……」


 いやトニーよ、チミ何2個目突入しているの……見ろよ! 他の兵士の恨みのこもった眼差しを!


「ちくしょう……出遅れたっ! 書類…書類が悪いんだぁ!!」

「アホだけど身体能力と勘だけは凄いからなトニー……アホの野生児……ちゃっかり2個も買ってる」

「それに昼上がりの奴らが早めに買って帰ったからなぁ〜」

「あと2個……」

「「「絶対買うっ!!」」」


 怖いなぁ……リアル昼サス(お昼のサスペンス劇場)はやめてよねぇ。リアルの血を見ながら食事をする趣味はないのです。テレビでサスペンスならいいけど。前世ではよく見てたなぁ(笑) お昼のサンドイッチを頬張りながら、誰が買うのか待っているのだが牽制しあってるので中々決まらない。


「(火サスはイヤなので)いっそジャンケンで決めたら?」

「「「何それ?」」」


 おっふ!! ジャンケンないのか!! でもここは平和的に解決してほしいので教えよう。


「あのね〜ジャンケンっていうのは―――」




「何故……何故オレはチョキを出さなかったんだ!!」

「旨いぃ!! 肉いっぱい! サクっとジューシー! オークとコッコだけでも豪華なのに牛肉! 牛だよ! 牛!」

「オレ今日北側の当番でよかった! もぐもぐもぐ……あ〜旨いっ!」

「「「ちっ!」」」


 ジャンケンを説明した後、壮絶なるジャンケンが終わり……ランチタイム戦争は終結したのだった。……買えなかった人達が怖い……怖すぎる! コッコちゃんの飼育が上手くいって大分供給が増えているはずなのに。レシピもハゲ(ギルマス)に頼んで結構広めてもらっているのに。食の質が上がっていると聞いたのに。


「なんで街のお店で買ったり食べたりしないの?」

「「「ルゥちゃんの売る弁当の方が美味しいから」」」

「・・・・・・」


 おう……素材の違いがここに出てしまったよ。今日のは豚と鶏はともかく、牛がいけなかったか? 気をつけよ。


「おや、ルゥちゃん。リアさん待ちかな?」

「あ、モーリスおじたんだ。こんちわ!」


 どうやら屯所で書類仕事を終えてこちらへ来たようだ。


「ところで今日の弁当……」

「「「隊長、残念でしたね! 売り切れです!」」」


 あ〜買えなかった人達の嬉しそうな声。仲間が来たぜって感じですね。

 しかしチミ達甘いよ! 君らの隊長は顔は怖いけど中身がイケメンなのだよ。出来る男なのだよ。


「……いや、弁当旨かったと言いたかったんだが?」

「「「なんだとぉぉぉぉ!?」」」

「? どうしたんだオマエ達?」

「え、だって隊長今来たとこですよね?」

「弁当どーやって……」

「うん? 昼上がりのヤツに頼んだだけだが?」

「「「ええええええっ!!」」」


 そう……モーリスさんは部下の1人に弁当購入を頼んでいたのだ。ふと視線を感じ、そちらを見ると買えなかった兵士達が一斉に頭を下げてこう言った。


「「「ルゥちゃんお弁当もう少し数増やして」」」

「……イ・ヤ♪ お店を利用しなさい。貢献しなさい。お店のも美味しいんだから」

「「「そ、そんなぁ〜」」」


 落ち込む兵士たちを尻目に入れた紅茶を楽しむルゥたんなのでした。


読者の皆様へ。

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