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03.目覚めると……○○だった!?

 暗闇の中、一人佇んでいると暗闇からボンヤリとした光の輪が出現し、そこから人が現れては消え……現れては消え……私を攻め立てます。これが俗に聞く”走馬灯”というものでしょうか?


 

 ―――同じ妹なのにお前は何故そうなのだ!? 成績はお前が上だが礼儀作法もダンスもマリーの方が後から始めたのに変わらないではないか! 愛想もないし……マリーを見習えっ!


 ―――騎士としてカイン殿下の婚約者でありながら妹であるマリエル嬢を虐げるのは見過ごせんっ!


 ―――ロゼリア先輩はあのアーデルハイド家の血筋なのに『魔力なし』なんだね〜。でも妹であるマリーは珍しい光属性の魔法を使えるのに……実は先輩、養子とか?


 ―――見まして奥様! 殿下とマリエル様の仲睦まじいこと。なんてお似合いなのかしら!


 ―――殿下も可哀想ですわよね。マリエル様との婚約を望んでいますのに陛下がお許しにならないとか……。


 ―――見てお姉様! 私の魔法! キラキラしてますの! 綺麗でしょ? 光属性の魔法なんですって! ……あ、ごめんなさい、お姉様は『魔力なし』なのに…私はしゃいでしまって……ううっ……


 ―――っキサマ! またマリーを泣かせたのか! お前のような女が何故私の婚約者なのだ!



 それは余りにも覚えのある光景でした。そして―――



 ―――ロゼリアお前は…………だから……でなければ……ゆる……



 ああっお父様! お父様にまで拒絶されたら私は―――



「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 叫び声を上げながら見開いた目に強い光が差し込みました。




「(え? お、お父様は?!)」



 数度、目を瞬かせ、深呼吸をして思考を落ち着かせます。

 どうやら天国ではないようです。先程のは走馬灯ではなく夢のようですね。


「(いえ……まだ夢の中なのかも?)」


 深手を負った上に崖から落ちたのです。生きている方がおかしいのです。

 ここは一つ、以前メイドの一人から教わった方法を試すべく自身の頬を抓ってみましょう。


 つねっ


「い、痛いですわ…」


 頬をさすりつつ、生きている事を実感します。

 どうやら助かったようです。

 しかし何故助かったでしょうか? そしてここは何処なのでしょうか?

 手触りのよい感触を感じながら辺りを見渡します。

 ふと視線を向けた先には大きな姿見があり、自分の姿が映って―――


「な、な、な、なんで私……裸なんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 なんで裸なのでしょうか!? 下着すらつけておりません!

 慌ててとっさに手元のシーツで肌を隠しました。

 シーツに包まりながらそろりそろりと姿見に近づきました。

 こんな大きく質のよい姿見は見たことありません。

 恐る恐る肌をさらけ出して背中を見ると傷一つありません。

 それどころか以前より肌が綺麗になっている気がします。

 ただ、長く伸ばしていた私の銀髪が肩ほどで綺麗に切り揃えられておりました。

 ふと、裸なのだから性的な何かされたのかもと、慌てて確認しましたが髪以外は何もされた形跡はありませんでした。


「(こんな時でも私の表情は変わらないのですね……)しかし一体どうなっているのでしょうか?」


 私は斬りつけられ崖から落ちたはず。あの”死境(しきょう)”で助かるとは思えません。

 鏡を見つめ一人呟き、周りを観察してみることにしました。


 シンプルなチェストに魔道具のランプ。

 私が寝ていたベッド。そしてこの姿見。

 どれもこれも派手なものではありませんが最高級のものです。


「凄いですわね……品質は勿論ですが、寝心地も―――」


 ベッドに横たわり、その心地を味わっておりましたらノック音が聞こえました。


「ひゃい!」


 こほん、失礼致しました……状況が分からず驚いて変な返事になってしまいました。

 私の返答が可笑しかったせいでしょうか、再度ノックがなされました。


 コンッ、コンッ、コンッ


「は、はい。あ、あの、どうぞ?」


 慌てて再びシーツをぐるぐると巻きつけながら返答します。


「(あ……殿方だったらどうしましょう!?)」


 うっかりです! シーツを巻きつけてるとはいえ、一部の肌は露出しております。

 思わず起き上がり、右往左往していますとカシャリと扉が開かれてしまい、その先に居たのは―――



「あ、目が覚めた〜? 丸一日寝てたからお腹空いたでしょ?」


 

 髪色が光の加減で薄いピンクや淡紫に見える不思議な……見た事もないオーロラ色で毛先だけが白…いえ白銀の色。

 男性のような服装な上、髪も短いですが高めの声からして女性というか、見たまま子供と分かります。

 前髪が少し長くて右目が見えにくいですが、反対側はそうでもなく、キラキラと輝くラピスラズリの瞳が目に入りました。

 衣装らしきものが入った籠を手にしてこちらを見つめる小さな可愛らしい少女―――ですが人ではありませんでした。



 そう―――私の前に現れた少女は今や世界では絶滅寸前といわれる種族―――”コビット族”だったのです。




 



ブックマークが付いてる!? ありがとうございます!

評価も少しですが付いててモチベーション上がります(*´ω`*)♪

モチベあるうちは(妄想)カキカキ頑張りますw(笑)

拝見して下さった方々に感謝でっす!

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