22.ピンチ? 適性試験!!
いつも拝読ありがとうございます!
訪れた全ての方々に感謝しつつ更新です。今回は視点が色々切り替わります。ご注意を(笑)
テスト・・・学生時代を思い出すね・・・゜゜( ゜∀゜)・∵. グハッ!!
「それでは宜しいでしょうか? 制限時間は60分です。始めて下さい」
私の前にはギルドマスターのオルカカさん、ルティアさんにはメイガンさんが監視についております。チラリと横をみるとルティアさんは少し離れた場所で試験用紙を見ています。私もメイガンさんの合図と共に渡された用紙に目を通しました。どうやら四則計算のようです。これなら何とかなりそうです。これでも元公爵令嬢でしたからね。教育を受けてます。
カキカキ……と、静かな部屋に筆記音が響きます。
答えを記入していく私。前半は調子が良かったのですが、後半は少し難易度が高く苦戦しております。
「(掛け算と割り算が入りますと時間が掛かりますね……ルゥさんは大丈夫なのでしょうか?)」
心配になって横を見ると―――
「なんでお菓子食べてるのぉ!? ルゥさぁぁぁぁん!?」
◇◇◇
「それでは宜しいでしょうか? 制限時間は60分です。始めて下さい」
リアたんとは席を離され、ルゥたんは別に用意された小さな机で配られたテスト用紙を見る。
ハッキリ言おう‼ コビットだからオマケしてくれている‼
いや〜見かけは強面だけどいいオッサンだな! だって四則計算やで。それも小学校レベルやで。簡単過ぎるでしょ? 後半部分でも中学レベル。
はっはっは! 前世で経理事務してたルゥたんにこんな問題を出すとは……確定申告より楽でござる!(確定申告は敵だ! 滅びろって思うよ!)
「(お腹すいたし、ササッと終わらせたいがこの筆記具は書きにくいなぁ)」
用意された筆記具は前世でいう羽根ペンなんだよね。インクちまちまメンドくさい。そんな時は自作ペンを使おう!
「あの〜メイガンさん……」
「何でしょうか?」
「これ書きにくいから自分の使ってもいい?」
「……念の為、鑑定させて頂きますが?」
「いいよ〜。ほいどうぞ〜」
パチンといつものように【無限収納】から取り出したのを手渡す。メイガンさんの掛けているメガネは鑑定魔道具らしく渡したそれをマジマジと視ている。
「……っ! ど、どうぞ使用して頂いても構いません」
あれ? ただの万年筆でどうして驚くんだろう? ボールペンじゃないし。まあいっか。とっとと終わらせよう。素早く、でも正確に問題を解いていく。これ60分もいらないじゃん。カキカキ……と。よし終わった。念の為にもう一度見直す。うん、大丈夫。よし! ではお腹空いたので―――
「メイガンさん、終わったからおやつ食べていい?」
「はっ?」
「いや、だから〜”終わったからおやついいですか?”って聞いてるの」
「え、あの……はいどうぞ……」
チラリとルゥたんの答案を見たメイガンさんは何故か目を見開いていた。何故に?
でもお腹空いてるので気にしない。【無限収納】から取り出したフィナンシェをモグモグと食べる。
「(焦がしバターフィナンシェまいう〜! うまうまモクモグ)」
「なんでお菓子食べてるのぉ!? ルゥさぁぁぁぁん!?」
視線を向けるとリアたんがこちらを見ながら叫んでる。オッサンはあんぐりしている。どしたの2人とも? ルゥたんは終わったからモグモグしてるだけだよ。叫んだリアたんは我に返ったのか、用紙に向かうと「後で私も食べますからね…絶対残して置いて下さいよ……」と呪詛のように呟きながら問題を解き始めた。なにそれ怖い。プルプルしながらも空腹には勝てず、ただひたすらモグモグする自分であった。
◇◇◇
私はメイガン、魔族です。このギルドで副ギルドマスターを勤めております。
警備隊長のモーリスが連れてきたのは綺麗な人族の少女とあのコビットでした。顔には出ておりませんがドキドキワクワクしておりました。ギルマスから「商人試験用意しとけ。但しチビの方のやつは上級者用な」と指示を頂きました。コビットは殆ど見かけられなくなった種族ですが、あの本のお陰なのか根強い人気です。ですが同時に悪人共にとっては金のなる木です。これは諦めさせてギルドで保護する気ですね。
「それでは宜しいでしょうか? 制限時間は60分です。始めて下さい」
お二人は私の合図で問題を解き始めました……いえルゥさんは筆記具をマジマジと見つめ何やら考え込んでいます。
「あの〜メイガンさん……」
ルゥさんが私に声を掛けてきました。
「何でしょうか?」
「これ書きにくいから自分の使ってもいい?」
「……念の為、鑑定させて頂きますが?」
「いいよ〜。ほいどうぞ〜」
どうやら筆記具が嫌なようです。変だなと思いながら、彼女がアイテムボックスから出したソレを鑑定しました。カンニングアイテムだといけませんので。鑑定しましたら驚きでした! 確かに彼女が出したそれはごく一般的な筆記具です。ですが知らない筆記具なのです! <万年筆>と鑑定されたそれを彼女へ返す。
「……っ! ど、どうぞ使用して頂いても構いません」
いけませんね。動揺してしまいました。受け取った彼女はスラスラと書き始めたかと思いきや、答案を眺め、そして―――
「メイガンさん、終わったからおやつ食べていい?」
「はっ?」
「いや、だから〜”終わったからおやついいですか?”って聞いてるの」
終わった? 冗談ですよね!? 始まってからまだ半分も時間経っていませんが!? チラリと彼女の答案を見る。手元にある回答と照らし合わせて見れば―――
「(嘘……全問正解!?)え、あの……はいどうぞ……」
驚く私に一瞬だけ視線を向けた彼女は取り出した焼き菓子を美味しそうに食べ始めたのです。フワフワとしたその焼き菓子を口いっぱいに頬張っています。
「(か、可愛い‼ リスみたい)」
可愛いですねコビット! そして甘い匂いを漂わせているその焼き菓子も美味しそうで……ゴクリ。これ目の毒?と思っていましたら、
「なんでお菓子食べてるのぉ!? ルゥさぁぁぁぁん!?」
試験を受けていたもう1人―――リアさんが叫び声を上げていました。わかりますよ、美味しそうですものね。我に返ったリアさんは「スイーツ……お菓子……ルゥさんズルイ……」と呟きながら問題を解いております。何あれ怖い。魔族である私ですら怖い、超怖い。オーラがヒトじゃない!?
思わず震える私なのでした。
◇◇◇
「時間だ」
俺の制止でペンを置くお嬢ちゃん。コビットのチビに至っては試験中に菓子を食べ始めるわ、今はいつの間に出したのか紅茶まで飲んでやがる! おいっ何寛いでんだよ!? 試験どうしたぁ!?
視線をメイガスに向けると悟りを開いたかのような表情で首を横に振る。どういう意味だ? 難しくて早々に諦めたのか? それとも―――。兎も角だ、お嬢ちゃんの答案を回収し回答と照らし合わせる。
「(ほお……なかなか優秀じゃねえか)」
途中で手間取っていたので最後までは解けてないが、十分に合格範囲だ。頭の出来もそうだが、平民にしては動きや仕草が鮮麗だったのでおそらくは元貴族だろう。まぁ下級貴族が落ちぶれて平民になったというのはよく聞く話だ。事情は人それぞれだ。このお嬢さんもそういう類だろう。(鑑定でも平民だったしな)
「お嬢ちゃん…いやリア、お前さんは合格だ。メイガスそっちは?」
一応聞いておく。コビットのチビの答案は上級問題だ。商人でも店舗を持つとなると経営やら何やらで詳しい帳面作成とかもある。他にも色々あるが。不合格は間違いないはず。
「あのギルマス……大変申し上げにくいのですが……満点です」
「はっ?」
俺の耳そんなに悪かったか?
「あ〜悪い、もう一度頼むわ。今なんて言った?」
「ですから満点なんです」
淡々と話すメイガスが「はいどうぞ」と押し付けてきた答案を見る。コビットのチビの答案は全て埋まっている上に全問正解だったのだ。
「おいおいおい! 嘘だろぉぉぉぉ!」
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小話をチラホラ執筆ナウです。
次の目標30名! ・・・・・・先は長いですぁ・・・(;・∀・)




