19.見えました! やってきました関所です
ブクマありがとうございます!
評価もようやく13名・・・(;・∀・)先が長いぜ(笑)
ではではお楽しみ下さい。
爽やかな晴天の下、【瞬間移動】で近くに飛び、そこから徒歩で街道を歩いている私とルティアさんです。
「ほら、見えてきましたよ。あれが関所です」
「・・・・・・」
「今日は晴れてよかったですね」
「・・・・・・」
「……もうっルティアさん! いつまで拗ねてるんですか!!」
「やっぱ、帰ってい……「駄目ですよ」
一緒に町へ行く事を了承したルティアさんですが渋々といった感じでさっきからだんまりです。ローブを深く被り、顔を隠しております。私の時の様に「変身ポーションみたいなの無いのですか?」と訪ねたところ、
「あるにはあるんだけどね〜……何故かルゥたんには効果ない……」
以前にお試しで作ったそうで、鑑定では失敗ではないらしいのですがルティアさんには効果が出ないという……。残念です。コビットでない種族に変身したら少しは気が紛れるかと思ったのですが……。
「それにリアたん呼び方。外では”ルゥ”って言ったでしょ。」
どうやら本名がばれるのが嫌ならしく、家を出る前にこれを機に愛称で呼ぶように言われました。でもつい”ルティア”さんって呼んじゃうんですよね。友人らしく愛称呼びしてみたいんですが恥ずかしくて!
「仕方ないなぁ……支援魔法《契約》!」
ルティアさんが唱えたのは支援魔法の1つで、この魔法は契約する時に使われる魔法です。大抵は契約書などに掛けて使用します。互いが同意し初めて発動する魔法です。
「契約、リアたんはルゥたんを”ルティア”と呼ばないようにすること!」
「”契約承諾”です」
と、この様に契約するわけです。契約を破るとペナルティーが発生するのです。今回の場合はペナルティー条件はありませんでしたが、ルティアさんの魔法は効力が半端ないでしょうから、おそらく”ルティア”さんと呼べなくなるのでしょう。契約というより呪いじゃないかなぁ?
「もうすぐ着きます町……いえ街はリンラン共和国の辺境都市”フロンティア”です。リンラン共和国は様々な種族が和気藹々と暮らしている過ごしやすい国なんですよ」
「ふ〜ん、へ〜、あっそ」
「ううっ、”ルゥ”さんが素っ気ない!」
あ、早速効果が出ていますね。関所に近づくにつれルティアさんの足取りが重くなっています。
「リアたん……手、つないでいい?」
「っ!! 勿論ですよルゥさん!」
か、可愛いです! あのルティアさんがモジモジしてます! 見た目とても可愛らしいのに普段の行いで残念少女となってますから……新鮮ですね。でも……こう、しおらしくされると……可愛いのですがルティアさんらしくなくて心配にもなります。
手を強く握られた状態で歩きて行き、やがて関所の前まで着きますと門番の1人に呼び止められました。
「待て! 身分証を提示しろ」
「申し訳ありません。身分証はないのです。私達2人は商売をするためにやって来たのですが、田舎の方から来たので住民タグもないのです。商売の前にここのギルドで登録をしたいのですが……」
「そうか〜。しかしそんなド田舎から出稼ぎかい? 大変だね」
予想通りです! ここまでは考えていたとおりです。
「そっちのオチビちゃんは兄弟かな?」
「い、いえお互い身寄りがないもの同士で一緒に商売をしようと思いまして……」
「なるほど〜小さいのに偉いなぁ。じゃあ身分証がないので通行料が必要になるが大丈夫かい?」
「はい大丈夫です」
―――とは言ったものの、ルティアさんお金持ってるんでしょうか? 死境にずっといたからお金無いのでは?
「おいっ! その前に検問だろ!」
「おお、すまんすまん! じゃあお嬢さん達、あちらに行ってもらえるかな?」
もう1人の門番に注意された兵士が検問室へと案内してくれます。
来ましたね……難関が。各関所にある簡易鑑定する魔道具―――鑑定水晶といいまして、種族、性別、などを簡易的に調べるのです。また犯罪者などは赤く光るのです。なんともない場合は青く光ります。但し盗賊などを殺害した時は赤く光らず、逆に報奨金が貰える場合もあります。
「じゃあお嬢さんから〜」
中にいた年若い兵士が水晶へと案内してくれます。
心臓がドキドキしています! ルティアさんが【隠蔽】でステータスを変えたと言っていましたが本当にそんなことが可能なのでしょうか? 私は冤罪とはいえ犯罪者扱いされて追放されましたから。恐る恐る水晶に手を乗せます。
「ふむ、青だな。名前は”リア”、種族”人族”、犯罪歴は無し……と」
水晶の前にいた年配の方がそう呟き記帳しています。
ほっ。無事に青く光りましたし、名前も”リア”となってました。流石ルティアさん‼
「じゃあ次はそっちのオチビちゃんっすね。あ、水晶に届くかなぁ? ちょっと待ってね」
若い兵士はルティアさんの為に踏み台を持ってきてくれました。少し軽そうですが優しい方ですね!
先程から私の手をずっと握っていたルティアさん……今は繋いでいた手を離して私にしがみついています。
「え〜と、オチビちゃん怖くない、怖くないよ〜。ここに手を乗せるだけでいいからね。そっちのオッサンは顔は怖いけど、顔は超怖いだろうけど、子供には優しいんだよ〜!」
「だ・れ・が、怖い顔だ! 誰が!」
「え? 隊長っす!」
ゴンっ!
あ、こちらの方は隊長さんだったのですね。立ち上がって若い兵士に拳骨を落としました。
「いてぇぇぇ! 隊長ヒドイっす! ほら〜ますます怯えちゃったじゃないですかっ!!」
「煩いっ! オマエがふざけるからだろうがっ!! あ〜……その〜大丈夫だからこれに触ってくれるかなぁ?」
「・・・・・・」
プルプルとしがみついていたルティアさんでしたが「頑張って」と小さく声を掛けましたら、離れてそろそろと水晶に触れました。青く輝く水晶を見た若い兵士さんが記入をしました。
「青っすね! 犯罪歴はないっすね! えーと名前は”ルゥ”……男の子っすか? 種族は”コビット”っと……隊長の代わりに書いたっす!」
「あ、いつの間に! もっと綺麗に書けといつも言ってるだろうトニー! あ〜2人とも大丈夫だったから身体検査の後、通行料を支払ったら行っていいぞ」
やはり普通でしたね。 拍子抜けです。 ルティアさんは驚いていますが。
「しかしコビットなんて初めて書きましたよ隊長!」
「そうだな〜……あのコビットかぁ……って……」
「「コビットぉぉぉぉぉ!!??」」
あ、これ素で気づいてなかったんですね。
「オレ初めて会ったっす! すげー‼ マジ!? あ、サインいいかなぁ?」
「アホォォ! 違うだろぉぉ‼ あ〜申し訳ないがローブを取ってもらえるかな?」
ぷるぷるぷるぷるぷるぷる
ルティアさんが震えながら2人から距離をとり私の後ろへ隠れました。
「あ、あのルゥさんが怯えてますし、ローブ取らなくても鑑定水晶でハッキリ分かっているじゃないですか?」
「お嬢さん、申し訳ないが先ほどを言った通り簡単な身体検査はあるんだよ……さてとコビットのオチビちゃん、顔を見せてもらえるかな?」
「あー! 隊長まどろっこしいっす! こういう時はこうバサっと!」
トニーと呼ばれていた兵士が頭のローブをペロリとめくりました。私の大好きなオーロラ色の髪と驚いているラピスラズリの瞳が目に入りました。
「うわぁ〜すげぇ髪色っす! 初めてっす! キラキラしてるっす!」
「トニー! いきなり捲るやつがあるかっ‼ しかしこのほんの少し尖った耳といい、その他の特徴といい……絵本と一緒だな……これがあの英雄を導いたコビットかぁ……」
「サイン! サイン下さいっす!」
ガクガクガクガク
興奮する兵士達に怯えるルティアさん。
あ、ルティアさんは知らないのかしらっ!? 今は見かけなくなったコビットですが、ある書物の影響でコビットが有名な事を‼
「何これぇぇぇぇ!? 差別とかなかったけど、なんか思ってたのと違うぅぅぅぅ‼」
そう叫んだ彼女は私の胸に飛びつき蹲るのでした。
「……あのポインポインへ顔うずめるなんて羨ましいっす!」
「アホぉぉぉ! オマエその発言セクハラだからな‼」
いつも読んで頂きありがとうございます!
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コビットは悪人にはお金のなる木ですが、大半の方には人気があるのだぁ(笑)
その理由は次回更新・・・の予定(;・∀・)
お楽しみに(〃∇〃)/♪




