15.やらかしコビットお説教される
ブクマありがとうございます! 嬉しくて本日2話目の更新です! ご注意を。
「もぐもぐ……ゴレムさんお代わりお願いします♪」
『(スデニ、プリン2ツメ、アウトデス、リアサマ)』
昼食後のプリンを堪能しているリアです。食後のデザートって幸せな気分になりますね。でもゴレムさんにプリンのお代わり(3つ目)をお願いしましたが駄目でした。ううっ、スイーツぅ……。
「そういえば今日はルティアさんは鍛冶場で何を?」
『(マイ黒板取り出しカキカキ……)主人ハ、リアサマノ、ミヲマモル”アイテム”ヲ、サクセイチュウ』
「……なんでしょう……嬉しいんですが嫌な予感がひしひしとするのですが……」
『(カキカキ……)主人ダカラ、シカタナイ。キタイヲ、ウラギラナイ。ソレガ主人』
はい……嫌な予感がますます強くなりました!
ルティアさんは良い子です。そう基本は良い子なんです! ただ……自分の実力を把握してませんので「え? 他にも出来る人はきっといるよ! それに普段は【制限】してるから大丈夫ジョブ!」と言いますが、レジェンド持ちといい、異能の数々といい、やっちゃうんですよね……。本当に気をつけて頂きたいです。
「リアたぁぁん! 出来たよぉぉぉ!」
噂をすればルティアさんが戻ってきましたね。ゴレムさんがお辞儀してます。
『(主人オツカレデス。ウマク、ツクレマシタカ?)』
「うん! メチャいいのが出来た! これでリアたん安心安全!」
『(・・・・・・主人、セイノウトカ、オキキシテモ?)』
なんでしょうか? 念話で話しているので私には内容が分かりませんが、ただ言える事はゴレムさんの顔色(はないですが雰囲気)が暗くなってる気が……。
ポンッ
……ゴレムさん、どうして私の両肩に手を置いてため息ついたみたいな仕草するんですかっ!? ルティアさんやっちゃった? やらかしたんですか!?
『(・・・グッ)』
「なんで親指立てて”健闘を祈る”的な空気なんですかっ!?」
「うん? どしたのゴレムさん? え? 「【空間農園】に戻る」って? 分かったよ、用があったらまた呼ぶね〜」
ゴレムさんは『じゃあ』という感じで手を振ってシュワと消えました。おそらく【空間農園】へ帰ったのでしょう。逃げましたねゴレムさん……。ゴレムさん達はルティアさんに召喚と返還してもらわないといけないらしいです。召喚魔法みたいですよね?(でも違うらしいです)
今ここにいるのは私とルティアさんだけです。ラピスラズリの綺麗な瞳を輝かせながら彼女は輝く腕輪を差し出しました。
「リアたんどうよコレ? コレでリアたんも安心安全ですよぉ! 生活魔法だけどリアたん憧れの魔法も使えるよ!」
「えっ? 本当ですか!?」
嬉しいです! ”魔力なし”と呼ばれていた私が魔法を……ルティアさんありがとうございます。誤解してました。何が使えるんでしょうか? 《灯火》とかですかね? 付与出来ても1つか2つ、いえルティアさんなら3つ?
「えとね! えとね! まずコレは”ボックスバングル”と言って―――」
嬉しそうに説明するルティアさんですが、聞いている私の顔色は蒼白になるしかありませんでした。
使用可能な生活魔法が5つもついてました。まあ……これは分かりますよ。ルティアさんですし。
問題はその後。
”魔法の鞄”機能に《自動体力定期回復》、”自動結界”に―――はい、違う意味でお腹がいっぱいです!
「ルティアさん正座して下さい」
「ほへ? なして?」
「せ・い・ざ!」
「はいぃぃぃ!!」
私は深く息を吸い込むとルティアさんにお説教を始めました。
「魔法の鞄だけでも凄いのに、それの腕輪バージョン!? しかもどれだけ付与つけてるんですかぁ! ハイミスリル使用って、それミスリルより高価な鉱石ですよね! レアメタルの1つですよ! それに治癒魔法が使えるって初めて聞いたんですけど!
治癒魔法は回復魔法に比べるとマイナーですし、徐々に回復が基本作用ですから、傷を治したりするのは回復魔法より遅いですよ。でも回復術師が使う毒や麻痺解除などの状態異常回復魔法も治癒魔法の1つです。回復術師が使用する治癒魔法はそれくらいでして治癒魔法の他の呪文は珍しいんですよ! 治癒魔法は軽いものなら病気も治せますし、熟練者は《解呪》という呪いを解く高度呪文も唱えれるのですよ! あと《全状態異常防御》って何ですか! 支援魔法をそこまで極めてるってどうなのですかっ!? 腕輪に使われている”魔晶石”って何ですか!? 初めて聞きましたよ! え……魔石を加工……不純物取り出し……何で魔石の革命起こしてるのですかぁぁ!! メッ、ですよ!! それに―――」
それに―――魔素が見える―――
普通魔素は見えません。高濃度ならいざ知らず、通常は見えません。コビットはレアスキル持ち(但し非戦闘タイプ)が多く、魔石への付与が得意なのです。ドワーフや他の種族の職人などの熟練者は長年の経験と直感で術式を付けます。コビットの場合は魔力が低くても魔力制御がエルフや魔族より優れているです。そしてコビットは魔素が視えるという事により、少ない魔力で簡単に多くの付与などを魔石へ書き込めるのです。コビットは特徴として背が低く耳が少しだけ尖っている以外に瞳に紋様があるのです。確か”魔紋”といいましたか? 魔力も視えるといいます。
ルティアさんの瞳もよく見ると……瞳の中に魔法陣のような紋様がありました。
「(小さすぎて今まで気づきませんでした…………)」
「リアたん? あの、その、付与多すぎた? でも防犯大事ですし〜!!」
「ルティアさん」
「は、はいっ! ゴメンなさいぃぃ〜!! やっぱ”自動結界”はやりすぎでしたね! ”自動障壁”にするべきでした!」
「いえ、それあまり変わりないです……」
北へ追放され、様々な事情で数を減らし、一部の人の所為で酷い目に合い、ひっそり隠れ住んでいるといわれるコビット達。
事情は聞いていませんが、ルティアさんがここ”死境”で暮らしているのも人々が暮らす場所よりもある意味では安全だからでしょう。彼女ほどの実力の持ち主ならばここでも生きていけます。
でもコビットって大抵の場所では人気者なんですけどね。
「ルティアさん、使うなとはいいませんが出来るだけ異能は控えて下さい」
「え……」
「お願いします。私ルティアさんが酷い目に合うのを見たくありません」
「あ〜……うん……努力はする」
そこは出来ると言って欲しいですね。でもそれがルティアさんなのです。
私は彼女が無茶をしない事を願うのですが……多分やらかしちゃうでしょうね―――。
私の中では彼女は命の恩人であると同時にかけがいのない”友人”になっていたのだから。危険な目にあって欲しくないのです。
「ここでは私達だけですから大目に見ますけど……」
「じゃあ、もう正座くずしても……」
「それはそれ。これはこれです。まだ言い足りないんですよ! いいですか、そもそもルティアさんは―――」
「えええっ! まだお説教続くのぉ〜!? 許してリアたぁぁぁぁん!!」
いつも読んで頂き感謝感激です。ありがとうございます!
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コビットが人気者?なのはいずれ理由が出てきますので楽しみに待っていて下さい!
ちまちまと書かないとストックがね……(;・∀・)うん、ガンバル……




