09.生まれ変わった私
いつも読んで頂き感謝でっす(。>﹏<。)♪ 更新です。
ルティアさんの才能の多さ(というか、やらかしぶり?)に驚きつつ、話を続けます。
私としては『魔力なし』なので魔法が使えるという点だけでも羨ましい限りなのですが……。
「で、今後どうするつもりなのロゼリアたん? 死んだことになってるし、当たり前だけど国には戻れないからどっか安全な他の国でまったり暮らす?」
「そうですね―――」
ルティアさんのお陰で今のところ追手は大丈夫そうです。
当初の予定通り伯母様がいる国―――”マルティウス帝国”へ行く事も考えたのですが、このまま伯母様のところへ行くという事は生きている事がばれるという事。そして私を殺そうと彼らは暗殺者を放ってくることでしょう。
そうなると伯母様に迷惑がかかります。伯母様は気にしないでしょうが(豪快な方ですので……)ここは死んだことにしているままが宜しいでしょう。
となると―――平民として(既に身分は剥奪されているからそうなのですが)何処か別の国で暮らすのがよいでしょう。ですが私は今まで貴族として生きてまいりましたから、はっきり申しまして自信はありません。
「ロゼリアた〜ん? どーするのぉ?」
「―――ルティアさん、助けて頂いた上に厚かましいのは重々承知致しておりますがお願いがあります」
「う?」
「私をここに置いて下さい!」
お願いするなんて厚かましい事この上ないですが、ここ”死境”なら見つかる心配はありません。それに先程”結界を張った”と言っておりましたから、ルティアさんは”結界魔法”が使えるのでしょう。となると万が一にも生存が判明しても外からは追手は来られません。
「(ほんと色々出来ますよねルティアさん……)」
彼女には申し訳ありませんが、ここで平民として生きていけるように色々と教わり―――
「(―――って、教わる以前に彼女の方が当たり前の常識が無いような気がしますが……?)」
ゴホンゴホン、兎も角お願いして置いてもらわないと。
「それって”コビット”で便利だから?」
「っ! 違います!」
「ふ〜ん。でもさ〜……それって利用してるのと変わんなくない?」
「違います! 信じてもらうのは難しいでしょうが”死境”ならまず見つかる心配はありませんし、お恥ずかしい話ですが平民として生きるための知識とかがないのです! ずっと、という訳でなく”最低限生きていくための知識と経験”を頂きたく! 生まれ変わったつもりで出来ることは何でもします! どうか、どうか―――」
私は必死に語りました。私は利用する気持ちなどありませんが彼女にとってはコビットとして生きてきた経験からでしょう……明るく見えても今まで酷い目に合ってきたのでしょう。
「申し訳ありません……ルティアさんも苦労してこられたのでしょう? それなのに―――」
段々と自分の至らなさに嫌気がさして俯いておりましたら、
「顔あげてロゼリアたん」
恐る恐る顔をあげるとニッコリ笑ったルティアさんが見えました。
「いや〜キツイ言い方してゴメンよ〜。【万能鑑定】から。ロゼリアたんのホンキ分かったから。ホントにここに住む覚悟あるんだね?」
「は、はいっ!」
ルティアさんありがとうございます……。
「じゃ、という訳でまずは名前を変えましょう♪」
「はい?」
え? え? 先程までの重たい雰囲気は何処へ?
「ほら〜”生まれ変わる”んでしょ? まずは名前変えた方がいいよね? ロゼリアだから”ロゼ”は?」
「それだとすぐばれてしまう気が……」
「ふ〜ん。じゃあさ〜”リア”ってのはどうかな?」
幼少期は愛称で”ロゼ”と何人かに呼ばれた事はありましたが、これですとばれる可能性は高いです。
ですがルティアさんに”リア”と呼ばれた時……なんでしょうか……とてもしっくりきました。
「いいですね、素敵な名前をありがとうございます」
「っ!」
「ルティアさん?」
「(うおおおおお! 美少女の笑顔プライスレス! 首傾げしぐさもルゥたんにクリティカルヒットぉぉぉ!)ど、ど、どういたしまして”リア”たん!」
なんでしょうか? 突然ルティアさんがゴロゴロと床に転がりました。あ、ソファに戻りましたね。
「次にステータスを見られてもいいように【隠蔽】しましょう」
……今更ですが本当に何でも有りですねルティアさん。
こうして私のステータスに何やら手を施して、見られても問題ないようにしたそうです。
「ではでは……せっかくの銀髪にアメジストの瞳という萌え要素ですが! 惜しいけど! 大変惜しいけど! 勿体ないけどぉ!」
「は、はぁ〜」
「変えちゃいましょう」
「え? ”変化魔法”とかですか?」
髪色や瞳の色を変える魔道具や魔法は存在しておりますが、鑑定で見破られるのです。
ルティアさんは私の髪と瞳の色を気に入っているらしく、”グギギギギィ!”と歯ぎしりをしながら残念がってました。私からすればルティアさんの髪と瞳の方がとても素敵ですのに。
「ううん。鑑定でバレちゃうからコレを使うのだ〜タタラタッタターン!」
彼女が取り出したものは―――七色のポーションでした。
「これ……ポーションですか?(ううっ美味しくなさそうです)」
「そそ、コレです! ルゥたんお手製”お手軽カラーリングポーション”!」
彼女がいうには何でも”でぃーえぬえー”の一部を変化させてだの、難しい……というか知らない言葉で説明されましたが、薬で髪や瞳の色を変化させても見破れないものと解釈してよいでしょう。
「平民にありがちな髪色とかってなぁに?」
「そうですね……色々ありますが茶色が多いですね」
「オッケー! じゃあ飲む前に条件指定してっと―――」
そう言った彼女はポーションに手をかざすと「色指定、髪と瞳『キレイな紅茶色』で!」と呟きました。
すると七色だったポーションが美しい紅茶色へと変化したのです。
「完成でっす! ささ、一気にググッと」
「は、はい……」
今のポーションは紅茶のように見えますが、先程までの色を思い出すと飲むのが躊躇われます。
覚悟を決めてそれを口に含みました。
「あ……(意外と普通に飲めますね)」
ゴクゴクと飲み干し終えた私にルティアさんが「はい、鏡みてちょ〜♪」とおっしゃいました。
手渡されていた鏡に目を向けるとそこには”紅茶色の髪と瞳”の自分が写っていたのです。
「おめでとう〜! 今からチミは”リア”たんだね♪ よろしく!」
この日―――私”ロゼリア”は平民”リア”へと生まれ変わったのです。




