⑦
二人は呆然としてその場にしゃがみ込んでいると、
洞窟の外から二人の名前を呼ぶ大勢の人々の声が聞こえてきた。
「あいつら外で待っていろって言っておいたんだが」
そういってジンダーヌが来た通路にたいまつの炎をかざすと、洞窟の横穴から大勢の足音が聞こえてきた。
「大変! 村のみんなが捜しにきたんだわ。ダーイ歩ける?」
ランルーサは慌ててダーイを見た。
「うん、あっルーサ石を持って行かなきゃだめだろう。あれはもう君の守り石なんだから」
「うっうん。ダーイありがとう」
ランルーサはダーイから離れると、竜の口の形をした岩肌に近付き、一瞬ためらったが、目をつむって思い切って手を伸ばし、蒼い石を取り出しポケットにしまいこんだ。
その瞬間、洞窟内に光っていた蒼白い光はすーっと蒼い石の中に吸い込まれてしまった。
ランルーサはゆっくり目を開けるとダーイの元まで戻り、ジンダーヌと共に洞窟からダーイを気遣いながらゆっくりと歩き出した。
途中、ダーイの父親や近所の男衆と合流し洞窟の外に出た。
外には二人が戻らないのを心配した村人達が大勢たいまつを持ち集まっていた。
入る時はまだ日が高かったが、いつの間にかすっかり暗くなってしまっていたのだ。
二人はその後、大勢の大人達から何度もきつい叱りと無事帰ってきた抱擁を受けた後、
10日間の外出禁止とさらに三ヶ月の間畑の勤労奉仕の仕事の罰を受けた。
そして当然のことながらランルーサは祈りの塔への資格を剥奪され、
ダーイもまた、一年後に控えた騎士団への入団試験にももちろん受ける資格を失ってしまった。
それから三年の歳月が流れた。二人は共に十七歳になっていた。