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ランルーサは暫く考えて意を決して、騎士の顔を見上げて答えた。


「いいわ、でも約束してください。私の髪と右目は差し上げます。ですから私に蒼い石を譲ってください」


「よかろう、契約は交わされた。持ってゆくがいい、その…」


騎士がランルーサの右目に剣を突き刺そうとした瞬間、何かが騎士とランルーサの間に飛び込んできた。


「待って! 僕の髪を差し上げますからランルーサの目を取り上げるのは止めてください!」

「ダーイ!」


ランルーサの間に飛び込んできたのはダーイだった。

ダーイはランルーサの瞳に剣が突き刺さる瞬間、

ランルーサに覆いかぶさるように飛びこんできた。


そのせいでダーイの後ろに束ねていた髪がばっさり切れ、首筋から赤い血がほとばしった。


「ダーイ、ダーイしっかりして、どうしてこんなことしたのよ。私があなたの夢と引き換えにして手に入れて喜ぶとでも思っているの! ばか! ばかばか!」


ランルーサは地面にしりもちをつき倒れこみながらも自分をかばうようにして飛び込んできたダーイを膝に抱きながら涙を流しながら叫んだ。

ダーイは弱弱しくランルーサに微笑みながら答えた。


「僕なら大丈夫だよ、ルーサは女の子なんだよ、片目をなくしたら、この先大変じゃないか、君の宝物の髪をもうなくしているっていうのに…」


そういうとダーイはフラフラと立ち上がると後ろを振り返り、蒼い石の前に立つ騎士に向かって頭をさげながら叫んだ。


「お願いします。ランルーサの瞳はおとりにならないでください。僕の髪でも足りないというなら僕の右目をさしだしますから。僕の瞳も青ですから」


「何言ってるのよダーイ。あんたは関係ないでしょ。ダーイの夢を奪ってしまってまで私、自分の守り石なんかいらないわ! ダーイは私の大切な宝物なんだから、ダーイのばか! 騎士様、もういいわ。あなたに力があるのならこの子の髪を元に戻してあげてください。私はどうなってもいいから。お願い…」


ランルーサは立ち上がると騎士とダーイの間に駆け出すと、両手を広げ、そして地面に座り込むと頭を床につけ土下座をした。


「駄目だよ。僕もだよ。ランルーサが自分の力でこの谷をでるというなら、僕も自分の力ででてみせるよ。僕らは一心同体だろ」


ダーイはそう言うとランルーサに覆いかぶさるようにランルーサを抱きしめながらランルーサに倒れ込んだかと思うとダーイは意識を失ってしまった。


「ダーイ!しっかりして、お願い目を開けて!」


ランルーサは泣きながらダーイを抱き留めながら、意識のないダーイの首筋から流れ出ている血を手で必死に抑えた。

 二人の足元には金と銀の髪が散らばり二人の髪が混ざり合い、その上にダーイの血が滴り落ちた。




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