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8話 現実は非情であった

「私に名前はありません」


(それじゃ呼びにくいんだけどなぁ なんとかなりませんか?)


「私はハジメの意にそぐうように作られた存在なので 名前と言う物がありません

 夢の中でしか会えない存在でしたが、始の願いにより今こうして話をしています

 もし始が不自由と言うのならば始自身が私の名前を勝手に付けて

 そう呼んで下さい 私はそれを汲み取り、そう振る舞うようにしましょう」


 始は考えた 大人でも自分の子供に名前を付ける時には悩む

それを小学6年生でやるのである 当然そんなサクっと決まるものではない

これからの永遠の相談相手である 安直な名前や呼び易い名前を

サクっと付けるのは気が引けたのだろう

そう言った時取る行動としては


(じゃーその件は保留で!)


とこうなる そして始は昨日の質問を思い出し聞いてみた

(両親にこの事を教えた方が良いですか?)


「神様は少しだけ考えた後 私は教えない方が良いと思います」

こう答えた 当然始は

(どうして?)

と質問する

すると神様は教える事によるデメリットを説明してくれた


もし本当だと知れたら始は普通の生活には戻れなくなる

命を狙われる危険もある 始は最終的に不幸になる

等々を始にも分かり易く説明してくれた


神様と会った時の説明では納得出来なかった始だが

こうして詳しく説明して貰うと納得出来るものだった


 結構長い時間話を聞いていたのか 

気づくと意外と時間が経っていた

そろそろ学校にみんなが来る時間である 始はほかにも聞きたい事はあったが

とりあえず会話を中断した すると今まで見えてた神様の姿は消えてしまった

質問があるが念じている間だけ見える 

と言う物なので会話を中断して

ほかの事を始めると消えてしまうのである


 始は暇になった さすがにまだ教室に誰も来ていない

とりあえず 黒板を綺麗にしたり 教室の掃除をしたりする始だった


 その様子を教室の外からそっと眺める加奈カナの存在に始は気づいていなかった

加奈は始の気になっている子で、始自身は気づいていないが加奈の事が好きだった

小学6年生が恋心に気づくのは、まだ早かったのかもしれない


 加奈は少し前から教室に来ていて 始が神様と話をしているのを

少しだけ見てしまっていた 

独り言を言っている始に声を掛けづらかったのである


独り言も終わり

始がメダカと花瓶の水を取り替えようとした時に加奈は偶然を装って教室へ入るのだった


「始君おはよう 随分今日は早いんだね」


始自身、毎日加奈の水替えを見ているし 花瓶の水を替えるやり方も知っていたが

まぁ気になる女子との共同作業 当然誘ってみる 


「おはよう 俺水を替えた事ないから教えてくれない?」

始と加奈の初めての共同作業である


「メダカの水槽の水は昨日替えたから 今日はエサをあげて花瓶の水を替えるだけだから

 私がやっておくよ 始君は座ってていいよ」

現実は非情であった・・・



 少し時間が経ちクラスメイトが続々と集まってきて朝の点呼が始まった

昨日休みだった4人は 薬の効果が合っていたらしく

今日は元気に登校である 

 当然 和也カズヤは少し浮かなそうな顔をしていた


 授業中に神様を召喚する訳にはいかない さすがに始だってそれくらいは分かる

そして始は授業中にある事を考えていた


(神様の名前どうしよう?・・・)


 思わず声に出てしまったのか 少し変な顔をするクラスメイト達

あぁ独り言が聞こえるとこんな感じの空気になるのか 

と思う始であった


その中で一人 加奈だけは 少し興味深そうな目で始を見ているのだった・・・

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