7話 名前を教えて下さい
家に帰ると明香里が出迎えてくれた
「お帰りお兄ちゃん」
登校は一緒だが放課後遊んでから帰る始より先に
明香里は一人で先に家に帰っている
低学年のうちは一緒に帰っていたが もう4年生である
さすがに一人で帰ってもらい 始は遊びたいお年頃である
始はいつもなら迷わず、ゲームを持って友達の家に行くが
心にゆとりを持っているおかげ?でゲームに飛びついて
すぐ遊びには出掛ける気分ではなかった
始は少し迷っていた 実際もう願いが叶ったのでこれで
自分には多分なんでも出来る やろうと思えば世界征服だって 多分出来る
世界の人々全てを病気にして下さい
これだけで世界は大混乱である
勿論始はそんな悪意ある願いをするつもりはないが
とりあえず願い事は叶う この事実を
親に報告するか?
と言う事を しかしどうせ言った所で取り合って貰えない
始だってそれくらいはわかる
では一体どうしたら良いか?
相談相手が欲しいと思っていた
しかし親には取り合って貰えず かと言って明香里に言っても
自分より年下だし 始の思うような答えは得られない
始は悩んだ こう言う時一体どうすれば良いか?
その答えは簡単
困った時の神頼み
である そう考えると楽になり いつも通りに戻る事が出来た
と言う事で、ゲームを持って友達の家に遊びに行く始であった
遊びから帰ってきて いつものように夕飯を食べた後 お風呂に入り
始は就寝するのだった
始が二日も連続で言わずとも勝手に寝る事に始の親は少し変だな?とは思ったが
いつもより手間が掛からない良い事なので 気にしない事にした
そして始のお待ちかね 夢の中である
「では今日は何をお願いしますか?」
(相談相手が欲しいです)
「どんな相談相手が欲しいのですか?」
ここで始は少し考えて
(神様のような相談相手が欲しいです!)
始・・恐ろしい子・・・
考える事が子供である まぁ子供だから仕方ない
悪巧みより先に目の前の問題 である
しかしこれは会心の願いであり
この先の始の人生を大きく良くするものであった
勿論、始自身がそんな事を知る事はないが・・・
「私は神様ではありません」
(え?)
「私は神様に作られた 始にとって都合の良い神様のような存在です
始の考えを読み取り 始の行動 願いにそぐうように考えて作られた
そんな存在です」
(まぁ細かい事はいいや)
もう丁寧語でもなんでもない 友達感覚で話している始であった
「つまり私を相談相手にしたい そう言った願いですか?」
(そうです いつでも相談したいです)
「では私は始の魂に宿る事にしましょう 始の話掛けたい時に
私を念じて下さい そうしたら現れましょう ただ周りの人には私は見えていないので
あまり変な事をすると怪しまれてしまうので注意して下さいね」
始は相談相手を手に入れたのであった 神様もどきと言う最高の相談相手を・・・
いつも通り朝が来た 当たり前である
体調に変化は無い 当然始にはやりたい事がある
神様を呼んでみたい・・たださっき言われた通り いくら家の中でも
独り言を呟いたり いきなり尻餅付いたりしたら危ない奴である
と言う事で一旦それは置いて 朝食を食べる始であった・・・
始はこの夢を見る朝は絶対寝坊しない むしろいつもより遥かに早起きである
いつも起こされないと起きないが 所詮子供 きまぐれである
親は夜の事もあり そこまで気にしてはいない
ただ親から挨拶変わりに言われた
「おはよう始 最近早起きだな 今日は何か良い事でもあるのか?」
始はそこで思い付いた 学校へ早く行って神様と話してみよう!と
「おはよう 今日は朝学校で生き物の世話をしないといけないから
早く行かないといけないんだ だから明香里に伝えといて」
「感心だな まぁ明香里の事は任せて 学校気を付けて行くんだぞ」
「はいはい わかってるって」
始は朝食を済ませ いつも通り支度をし 珍しく一人で学校へ登校するのだった
学校に着いて教室へ行くと 当然誰もいなかった 当たり前である
いつもよりさらに早い時間 教室に一人 これなら試せる!
と言う事で始は念じてみた 聞きたい事がいっぱいあります・・と
すると目の前に夢に出てきた神様が現れた
(すっげーーーーー)
小並感である そして完全に独り言である
「何か御用ですか?」
神様はいつも通り落ち着いていて いつものように聞いてきた
始は考えた 聞きたい事はまぁ山程ある
なんせ夢の中では願い以外の会話を殆どしていない
とりあえず 始は聞いた
「名前を教えて下さい」
始律儀である