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6話 君の名前は?

彼は昨日4人の子にイジメを受けていた子だった

今日はその4人が揃いも揃って欠席したので、

彼は久々に楽しい学校生活を送れたのである


同じクラスにはいたが、

始の小学校は1年に1度クラス替えを行うので

その子とは6年になって初めてクラスが一緒になった

そして挨拶程度は交わすものの、特に仲が良い訳でもなかった

しかし昨日のあの現場を見た後では始も思う所があるのだろう

ハジメはその男の子に話し掛けてみる事にした


「僕の名前は始 君の名前は?」


同じクラスで毎朝点呼を取っているので

別に名前を知らない訳ではない

しかし 知っている と言うのと 友達 と言う枠では全然違うし

向こうは自分の事を覚えているとは限らない

そう言う儀式的な面も含めてこの挨拶をした始だった


「僕は和也 (カズヤ)こんな時間に教室にいるなんて珍しいね」


そう この時間といえば和也カズヤはいつもの4人組にイジメを受ける時間である

当然いつもは和也とその4人以外誰もいない

その疑問が浮かぶのも頷ける

和也は特段変わった特徴があったり 特技があったり イケメンだったり

高身長だったり そんな変わった特徴は一切ない

物静かで 読書好きで 勉強の成績は良い

そして体育の成績はあまり良くない 

まぁ典型的なイジメを受け易い体質である


始はこの男の子がイジメを受けているのを知っている

ただ向こうから見れば、始にはその事実は知られていない

当たり前である 昨日はそっと覗いて そっと立ち去ったからである

始からすれば その事を頭の隅に追いやって話をする事は出来るが

始は和也の事が気になって4人を休ませてみた

ゆえに始の返答は


「昨日教室で和也がイジメを受けているの見たんだ」

「・・・・・・」

「今日は4人組休みだったよね 和也は今どんな風に思ってるの?」

「・・・」

「・・」


和也も何か思う所はあるが言葉には出ない

イジメは見て見ぬフリをしても加担したようなものである

しかし始はあえてそう言ってみた

自分がした事によって和也が今どう思っているか、知りたかったからである

和也はイジメが今日は無くなり喜んでいるのか?

それとも始も見て見ぬフリをして怒っているのか

和也の重い口が開いた


「久々に楽しい学校生活だったよ ずっと休みだといんだけどね」


 和也は読書家で勉強が出来る つまり普通の6年生より少し大人な思考をしている

始もイジメの傍観者で同罪 とかそんな些細な事は気にしていないのである

そして始のストレートな質問で イジメをしている4人組とは

関係のない つまり普通のクラスメイトとして こう言ったのである


一方始はと言うと 内心は自分の予想通りの回答で喜んでいた

始は 自分があの4人を休ませた張本人だ

と言う秘密を教えるつもりは毛頭無かった ただこれで一人の子の笑顔が見れた

それで満足なのである

ただ始はせっかくなので和也に色々と質問してみた


なぜイジメを先生に言わないの? なぜイジメを受けているの?

あの4人とはどんな関係? 


イジメ関係の質問を容赦無くしてみた

現在 6年生になって数か月 梅雨時くらいである

この子に極端に嫌われるとこの先凄く気まずいが

始は極端に嫌いな子もいなければ 加奈カナのように気になる子がいても

好き と言うような子もいなかった

勿論仲の良い男友達が数人いるが  

まぁ誰にでも好かれるタイプであった


そんな始を和也も2か月以上見ているので

この質問に悪意があるものでは無く、好奇心で聞いているのは予想が付いた

なので正直に答えてくれた


「イジメを先生に言っても解決しないし 余計に陰湿になる 

 イジメを受けている理由はあいつら(4人組)がガキで和也が大人だからあの4人とは 4年の時から同じクラスで ある日イジメが始った関係」


と言うのを教えてくれた

和也は思慮深く勉強が出来る 良く言えばそうだが

悪く言うと子供っぽくない その上運動があまり出来ない

恰好のイジメの的だった


始も和也の言動や説明を受けている際に 大人だな

と思っていた そんな態度が和也は普段の生活から出ているのだろう

それを良いと思わない4人組に目を付けられて

現在 と言う訳である  


始も自分の事を少しは話そうとしたが

和也は話を終えると始に興味を失ったのか ランドセルから1冊の本を取り出し

本に目を向けて始にはそれ以降話し掛けなかった


普通の小学生にとって この和也の行動は少し棘があるが

今の始は 1日1個なんでも願いが叶う そして余裕がある

逆に和也の言動や行動に少し興味を引かれた

しかし このままずっと教室にいるのも退屈なので


始は教室を後にし 家に帰るのであった

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