28の3、黒幕3
忙しくて疲れています。
明日は大学病院で検査です。
「スルベール帝国を『神の使徒』に奪われてしまったな」
「アマジャ様、申し訳ありません」
「創造神の手駒は厄介だからな。拠点はなくなったかも知らないがお前たち使徒で分担して世界に負の感情を増やしてくれ」
「かしこまりました。他の者にも伝えます」
「ああ、頼んだよ」
邪神アマジャとの通信を終えた『邪神の使徒』フカイはアマジャからの罰が与えられなかったことに安堵した。
「しかし、多くのデータを置いてきてしまったのは痛いな」
フカイはタカシたちがロコンさんを救出した研究所を統括していた。
タカシたちの皇宮掌握が早かったために逃げ出すだけで時間的にいっぱいいっぱいだった。
持ち出した資料は少ない。
「あの狐獣人の資料を持ち出せなかったのも大きかったな。まあ、研究者を多く連れ出せたのはよかったか」
今彼はスルベール帝国を脱出して隣国の森林にあるダンジョンの奥深くに潜んでいる。
このダンジョンは知られていないはずなのでひとまず安全だと思っている。
* * * *
「カフラ王国の北東の森林のダンジョンか」
私タカシは無限図書館で『邪神の使徒』フカイの逃走の経路から逃げ込んだダンジョンの位置を割り出している。
他の二人の『邪神の使徒』に関しても居所を把握している。
スルベール帝国外なのでそれなりの調整が必要だ。
逃げ込まれた国々も知らないうちに入られたことを認めたくないためにまずは認めさせることが必要だ。
しかし、証拠に無限図書館を用いるわけにはいかない。『神の使徒』である私タカシの能力というのも証拠としては弱い。
証拠集めは地道に行うしかない。
国際協力がまだ軌道に乗っていないのでしょうがない。
国の利益不利益に固執しがちな各国間の交渉というのはなかなか厄介だ。私も正直苦手だ。
この世界の人間でないから簡単に言えるのかもしれないが世界の脅威の排除の方が国の利益より優先されることでは何のだろうか。
それでも各国は自国の利益を優先する。確かに地球でも同じだったな。
「ではこれらの資料検討が次回の会議での議題ですね」
無限図書館から資料をまとめて戻った私はミユ皇女らのもとを訪れている。
国際会議の議長はミユ皇女が務めている。ただし議長といっても発言権は弱い。
スルベール帝国の奴隷を解放したりスルベール帝国の体制を変えたりして活躍してはいるが現在スルベール帝国は言ってみれば敗戦国だ。
発言権の強いのはフルトラ王国とカルクロ王国だ。ビュテル共和国は体制が整っていないので国際競争力など弱くまだいまいちだ。
あとは私個人の『神の使徒』として発言と聖女パレステの発言は重みをもって受け止められる。
次回の会議では『邪神の使徒』の居所の確認をどのように行うかということだな。
ちなみに邪神アマジャは無人大陸という国もなく人もいない魔物のが跋扈する大陸の中央にあるダンジョンに潜んでいると推測される。
これは神様情報だけどね。隠蔽がしっかり行われているので詳細の把握は大変そうだ。
無人大陸には多くの国が領土化しようと調査隊や軍を派遣しているがほとんど全滅してきたという歴史がある。
厄介なところだ。どうするかはゆっくり考えよう。
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