25の2、奴隷解放2
短めです。
国際会議は揉めた。
すべての参加国が自国の利益ために見境なく主張を繰り返した結果だ。
それでもスルベール帝国に滅ぼされた国のうち2つはスルベール帝国に留まることで話が纏まった。
もう一つの国、タムテル王国は独立を主張した。立地的にもそのほうが良いというのが多く国の総意となった。
タムテル王国の王族は亡命しており、残っていた。またその地域には独立を目指した組織も存在し、受け皿はあった。
問題はそのための費用があるかどうかということだ。混乱してさらに貧困が続いているスルベール帝国には費用がない。
他の国々もタムテル王国が独立することに賛成はするが費用を出そうという意思は持っていないようだ。
タムテル王国はヤリズ伯爵領と同じ程度しかない小さな国だ。古い文化を持ち民族も異なる人たちが住んでいる。
幸いなのはこの世界の宗教は国によって異なることがないので宗教的な争いは少ない。ただどのように神様なの意思を現実化するかという見解の違いというものがあるのだが。
神様は現実におり、神託という形で住民と接することのでき、国を運営するための管理システムを統治者に与えている世界だからということがあるのだろう。
その一方である程度距離を置いているのも事実でそれが邪神によって利用された形跡があることも分かっている。
邪神に関しては創造神様を問い詰めて聞き出すことができた。すべてを話してもらうことはできなかったが今回のスルベール帝国の行動や『奴隷の首輪』は明らかに邪神と邪神の使徒が関係しているということはわかった。
タムテル王国の管理システムは邪神によってスルベール帝国の管理システムと統合されているのを分離することも創造神様と話をつけてきている。
作業はいつでも可能だ。立ち合いは私が行うことになっている。あとはタムテル王国の王都の建設と荒廃した国土をどうするか、守りをどうするかということなのだが。
「神の力を少し分けてあげるからタカシさんが何とかしてよ」
「そんなんでいいのですか?」
「君も早く自転車で旅をしたいのだろ」
「ええ、そうですけど」
「君の行動を見ていると欲求不満が高まっているのがわかるからね」
「あ、はい。力をお借りします」
「あ、貸して返してもらうというふうにはいかないからあげるよ。はい、これで君は亜神というべき存在だね。あ、当面は秘密にしておきなよ」
「え、えーーーーえ!」
タムテル王国の王都は簡単に神の力を使って作り出した。そうはいっても元々王都があった場所に王都を再現したのだが。
この場所はスルベール帝国がタムテル王国の残党を抑え込むために立ち入り禁止にして破壊をしていた場所なので無人だった。
だから住民もいないので簡単に神の力を使えた。
さらに道を整備しいくつかの新しい街を作り、農地を整備し、荒れたタムテル帝国を国とスタートできる程度に復興させた。
王族や住民も移動させて国の管理システムもつかえるようになっている。
これで一つ解決のはずだった。
「タカシ様、このままこの国を治めませんか」
タムテル王国の新女王に迫られている。
復興した国土を見てさらなる助力を期待してきたのか。
「私はあなたの伴侶になります。この国の王になってください」
「私はスルベール帝国のミユ皇女の夫ですよ」
「いいではありませんか。あちらはキャンセルすれば」
「そうはいきません」
「こんなに自転車の移動が容易な道路網を整備して各所のレンタル自転車を置いたのに自転車が好きなあなたはここを離れてしまうのですか?また一緒に二人乗り用自転車に乗りましょうよ」
タムテル王国新女王はブルーネは自転車を気に入ってくれたので乗り方を丁寧に教えたのが仇になってしまったようだ。
自転車の話で気が合ったのでつい私が自転車で旅をしたいということも話してしまった。
「落ち着いてください。とにかく今はタムテル王国の復興が大事です。タムテル王国だけではなくスルベール帝国の復興もあります」
「そ、そうですね。私王国の復興に努力します。そして一刻も早く弟に王位を譲ってタカシさんとの自転車の旅に出発します」
「は、はあ」
押しに弱いために拒否できなかった。
理由は彼女が美人だからという訳ではないからね。
まあ、一件落着ということで・・・・いいのかな。
お読みいただきありがとうございます。
評価やブックマーク、ご意見やご感想をいただければ幸いです。
次話は閑話の予定です。




