25の1、奴隷解放1
短めです。
奴隷解放は簡単にできるのか?
そうはいかない。それはもともとわかっていた。
奴隷は支配階級にとって財産だ。だから
勝手に開放するのはおかしいという意見もある。
現段階でのこのスルベール帝国における奴隷というのはかなり劣悪な環境にあった。
所有者によって無報酬で働かされ、生かすも殺すも所有者の思うがままという状態だ。
人権が全く与えられていない。
さらに多くの奴隷が不当に奴隷にされたものである。騙されたり攫われたりしていつの間にか奴隷にされていた。
そこに帝国自体が国としてかかわっていた。軍を出して獣人や近隣の国の住民に対して奴隷狩りを行っていたのだ。
奴隷になっている者たちを少しでも助けようとして奴隷商人から奴隷を買い取り、給与を与えていた商人や貴族もいた。
それも事実ではある。奴隷解放後どうするかという点で奴隷と所有者に関して一つの答えを出すことができないというのが現状だ。
兵になっている奴隷に関しては今のところ収容所で調べている。農林業や工業や商業に従事している奴隷は給与を与えながらそのまま働かせる。
ただでさえ経済状況が悪いスルベール帝国で経済の停滞を招くことは餓死者を出しかねないというのが現状だということは連合軍側の共通認識だ。
同時にこのどさくさに不当に搾取や収奪をが行われることがないようにも気を付けなくてはいけない。
多くの国が関心を持っているのはそれぞれの国の住民が不当に帝国によって奴隷にされていないかということだ。
そのため奴隷がもともと帝国の住民なのか、他国から連れてこられた人たちなのか調べる必要がある。
現在スルベール帝国内の多くの街に奴隷の素性や能力を現すことができる魔道具を設置してある。
各国から人員が派遣され、奴隷の確認と素性をはっきりする作業が行われている。
これによって他国から不当に連れてこられた奴隷を見つけ出してはそれぞれの国に帰還させる事業が行われている。
その時に無報酬で働かされた期間も調べ、奴隷の所有者から支払われていなかった労働に対する報酬も調べている。
どのくらい回収ができるかわからないが奴隷所有者から労働に対する報酬を元奴隷に支払わせるようにしている。
各国の思惑もあり他国から連れてこられた奴隷の帰還事業はかなり急ピッチで進めることができた。
さらに並行してスルベール帝国が以前に侵略して占領している地域の返還も行われている。
こちらは順調に進んでいるようだ。
問題として困っているのはスルベール帝国に滅ぼされた国から奴隷として連れてこられた人たちだ。
国を再興することもできず困っているという訳だ。国の再興も含めて今回の戦争に関わった各国間で議論が行われた。
3つのスルベール帝国に滅ぼされた国をどうするかということで。
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次話は奴隷解放2です。




