23の2、開戦準備2
短めです。
心の中に拭い切れない靄を感じながら戦争の準備を行っている。
まさか異世界で戦争の準備をすることになるとは思わなかった。
日本では戦争というのは遠い過去のことだった。
しかし地球でも様々なところで紛争が起き、戦争になり、人が死んでいる。
多くの人を救うためにいくらかの犠牲が必要だという理論がわからないわけではない。
少しでも犠牲者を少なくするにはどうするか。
まずは皇都の皇宮に侵入して皇族と貴族と官僚をすべて無力化して捕らえる。
しかし移動方法はどうするか?自転車がいくら高速で移動できるとは言っても皇都に向かって単独で進軍するのは無理がある。
「転移という方法があります」
思案をしているとミユ皇女が提案をしてきた。
「転移は知っています。皇都にもあるのですよね。しかし皇宮内へ転移は皇族とその限られた護衛しかできませんよね」
「はい、そうです。護衛は皇族と同性の者です。私とともに転移できるのは女性の護衛のみです」
「それに皇宮につながる転移ゲートはここにはありませんよね」
「いいえ、私が持っています。皇族だけに自動的に与えられる転移ゲートを能力として常に持ち歩いています」
「そうですか。つまりミユ皇女自身は皇宮に殴り込みをかけることも可能だということですか。私の作った魔道具を持って殴り込みをかけますか?」
「私がそのような無謀を行うと思いますか?タカシ様ならいざ知らずいくらタカシ様の作った魔道具があったとしても私では対処できません」
「そうでしょうね」
「ですからタカシ様がスルベール帝国の皇族になればいいのです」
「はい?」
「わ、私の夫になってくださればスルベール帝国の転移システムが自由になります。皇族の中でもある以上の高い能力を持つ者が転移システムを支配できます」
「今の帝国の皇族には一定以上の力を持つ者はいないのですか?」
「はい、私が最も近いと言われてきましたが荒廃した国土を持つスルベール帝国は神からの恩恵もなく国を管理するシステムもがたがたです」
「そんなに酷いとは」
「ですから本来皇族が支配すべき国の管理システムを支配はできず、わずかにいくつかの機能を利用でできるに留まっています」
「その国の管理システムというのは『奴隷の首輪』とも関係しているのでしょうか?」
「ああ、そういえば『奴隷の首輪』を国の管理システムにリンクさせたことによって国の管理システムがおかしくなり皇族も含めて能力が低くなったと聞いたことがあります」
「ということは帝国の管理システムというものを私がコントロールできれば奴隷解放も容易だということになりますね」
「そ、そうです。私と結婚すれば問題ありません。私もこの世界の未来のためにもタカシ様の妻になることには問題ありません」
「いいのですか?」
「はい、ただしこの世界には離婚というものはありません。しかし、男性は10人程度の妻を持つことは可能です。レイナさんも妻に迎えられますよ」
「レイナさんですか」
「彼女があなたに好意を持っているのは明確ですよね。それとクレハさんやハツキさんも。私、3人と一緒にあなたの妻になろうと約束しました」
「え、いつの間に・・・」
その後、ほかの3人も呼んで結婚する意志があるかを確認した。
3人も恥ずかしながらも結婚の意思を示した。
そうなると私のことをもっと知ってもらうことが必要だ。
この世界から見たら地球という異世界のことなど。
どこまで話すかは神様とも相談かな?
「私はタカシさんと20年は一緒にいたいです。子供が生まれて成人するぐらいまでは」
私の伝えたことを他言しないという契約をして、まだ詳細は話さなかったがいつまでもこの世界にいられると限らないと説明したらレイナさんにそのように告げれた。
他の3人もそれでいいという。
腹をくくり彼女らを妻に迎えることになった。そしてその契約により私はスルベール帝国の皇族となった。
その後カルクロ王国の国王から文句を言われたけどね。
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次話は開戦準備3です。




