20、ヤリズ帰還と相談
短めです。
ヤリズへの帰還は順調に進んだ。商隊としてクレハスとゴードから領都ヤリズに運んでいく多くの荷物を積んでの帰還だ。
盗賊団のおかげで流通が滞っていたためかなりの量になってしまった。まあ、帝国との紛争が拡大しなければすぐに流通は正常化するだろう。
領都からゴードやクレハスに向かう商隊とも多くすれ違うようになった。
私の場合、収納があるから魔動車に詰める以上を運んでいる。これによって価格の高騰を防ぐこともできそうだ。量が少ないと短期間とはいえ価格が高騰しそうだ。
商業ギルドとしてもこれで経済にいい影響が出ると喜んでいる。
そのあとの帝国との関係が大変に心配だけど今は流通に力を割いたほうがよさそうだ。
5日後には問題なく領都に帰還することができた。商品は商業ギルドに納品することになっている。一部は領主の館に持っていく。
それ以外にも自分消費のために個人的にいくらかの商品や素材も手に入れている。このことは商業ギルドから許可を得ている。
「それではこれで任務は完了でいいですよね」
「タカシ様、領主が相談があるということでお待ちです」
レイナさんのご両親が経営する宿に戻ろうとしているときに領主の館の筆頭執事に引き留められた。
領主の館にはスルベール帝国ミユ第三皇女が滞在している。彼女たちのことが関係しているのかな?
通された部屋には案の定ミユ第三皇女が待っていた。
「タカシ様、こちらに来ていただきありがとうございます。ミユ様がタカシ様に相談したいということでこの場を設けさせていただきました」
「そうですか。それでどのようなことでしょうか」
「ミユ様はタカシ様とお二人でお話ししたいということなのですが」
「わかりました」
領主や側近、私に同行してきたレイナさんや皇女の側近も退出して部屋にはミユ皇女と私の二人だけになった。
ただ、人はいないけどオートマタの秘書サリエルタはいる。
サリエルタには領主らが退出する前に私と皇女がお互いを害さないようにするという絶対命令をこの二人だけの状態での間限定で与え、領主らにも命令を与えたことの証人になってもらった。
だからお互いに相手を襲ったり、襲われたから責任をとれなんというようなことは発生しない。
こうしないとレイナさんから二人だけになることの許可が出なかった。
「タカシ様は慎重なのですね」
「はい、女性の武器は恐ろしいですから」
「でも、私は将来タカシ様の妻になりたいと思っていますけど。まあ、第一夫人はレイナさんなのでしょうけど」
「そうなのですか」
「タカシ様はレイナさんの気持ちはわかっているのでしょ」
「まあ、好かれているとは思いますけど、それが愛情とかなのかはわかりません。それに私はこの世界の人間ではありませんから」
「知っています。転移者でしたよね。日本からの」
「私が転移者であることは神託で知られているようですが、よく日本からと判りましたね」
「ええ、私も日本からの転生者ですから。創造神様は転移者は今までこの世界によこさなかったようですが転生者は何回か派遣していたようです」
「そうなのですか」
「はい、今の時代も10人程度入るようですよ」
「このことはあなたの家族や側近は知っているのですか?」
「いいえ、知りません。ですから人払いをしました。私の持つ常識は日本で得た記憶、差別や抑圧はあってはいけないというものです」
「それは私の目指すものと近いですね。日本からの転生者が私と同じ考えを持っているのはうれしいな」
「ありがとうございます。ですから私に協力して帝国の改革をしていただきたいのです。そして時期皇帝になってもらいたいのです」
「改革については協力したいと思います。しかし皇帝になる気はありません。私はこの世界を自転車で巡って必要があれば改革に手を貸そうと思っています」
「わかりました。今日は改革に手を貸していただけるということで満足しております。できたら私を妻にすることもお約束いただければ嬉しいのですが」
「それは改革が終わってから考えさせてください」
「わかりました」
相談は終わった。
皇女の秘密も知った。
さあ、これからどうしよう。
これって一人で行えることではないから多くの人との相談が必要だ。
この国カルクロ王国の国王とも交渉かな?
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