閑話4、レイナの過去
短めです。
「タカシさんはレイナの過去についてはご存じないのですよね」
いきなり商業ギルドからレイナさんと一緒に来ているクレハさんに声をかけられた。
「彼女、冷静さを失ってタカシさんに迷惑をかけたといって悩んでいましたので」
「過去に何かあったのですよね。獣人の女性に関して」
「はい、幼馴染だった獣人女性をスルベール帝国の貴族によって理不尽に殺されました」
レイナさんには幼馴染の狐獣人の女性ロコンさんがいた。レイナさんはロコンさんとともにハンターになった。
ロコンさんは身体能力が高く短剣術ではヤリズでも一、二位を争う実力者になっていた。二人は良いコンビですぐにハンターとして頭角を現し、上級ハンターになっていた。
ある時、スルベール帝国への護衛依頼を受け、二人は商人を護衛してスルベール帝国へと出かけた。
実はこの商人はスルベール帝国の奴隷商人だった。そうとは知らずスルベール帝国へ行った二人はほかのハンターとともにスルベール帝国の貴族に売られた。
売られたことに気が付いた彼らが貴族のもとから逃げようとしたが魔法や能力を封じる魔道具が使われ動きようがなかった。
その時、ロコンさんとレイナさんが貴族のもとに連れていかれた。貴族に弄ばれそうになった時ロコンさんが魔道具の封印を破って貴族に傷を負わせた。
その混乱にコロンさんとレイナさんは仲間とともに逃げたが能力を使えるようになっていたロコンさんが追手の相手を一手に引き受けていた。
ロコンさんを助けようとしたレイナさんの行動はむしろロコンさんの足を引っ張る結果になってしまった。
そしてレイナさんに向けられた魔法攻撃からレイナさんを守ろうとしたロコンさんは瀕死の大怪我を負って動けなくなってしまった。
ロコンさんは仲間にレイナさんを連れて逃げるように頼んだ。彼女は狐獣人の秘術を使おうとしたようだ。
とどまろうとするレイナさんを押さえつけてロコンさんから離れた時に仲間が見たのは狐獣人の秘術による白い光だった。
これによって追手はそれ以上追ってこれなくなった。同時にレイナさんもロコンさんのもとには近づけなかった。
レイナさんたちは何とか戻ってこれたがロコンさんが戻ってくることはなかった。
ハンターギルドにはハンターギルドのカードとリンクしてハンターの生死を確認することができる魔道具がある。
そこにはロコンさんの生きているということを示す表示が現れなくなっていた。
ハンターギルドはロコンさんの死を確認したとしている。しかしレイナさんはそれを信じていない。ロコンさんは必ず生きていると信じている。
3年前のことだ。
現在、レイナさんのハンターの資格は停止中だ。スルベール帝国から来た商人とトラブルを起こしたことがあるためだ。
スルベール帝国への出稼ぎを集めていたその商人が奴隷商人だと確認していないのに権限もなく捕まえようとしたためだ。
商人はスルベール帝国に戻っていたために果たして奴隷商人かどうかわかっていない。
レイナさんののハンターの資格は停止され商業ギルドからの誘いで商業ギルドで働くようになった。
レイナさんは未だにロコンさんの生存を信じている。そして自分の迂闊な行動がロコンさんに怪我を負わせてしまったことを悔いている。
彼女はロコンさんの救出とスルベール帝国貴族への復讐を胸に秘めているようだという。
「タカシさん、レイナさんの心を助けてあげていただけないでしょうか。彼女に寄り添て癒してあげてください。タカシさんが彼女の暴走を止めたというではありませんか」
「わかりました。レイナさんの心を癒してあげられるように頑張ります」
「よろしくお願いします」
クレハさんと別れた後、無限図書館に行き、クレハさんが教えてくれた事件について調べた。
そしてロコンさんの使った秘術についても知ることができた。
その結果、ロコンさんは生きている・・・・仮死状態にあるということが分かった。
しかしいろいろ考えるとレイナさんに簡単に教えることはできないだろう。
仮死状態を解くには簡単にはいかないだろうということもその理由だ。
神殿に行った。スルベール帝国の現状を考えどうにかならないかということを相談した。
しかし、私がどうにかしろということだった。
「この世界ののことはそこに今住む者が変えていくことが望ましい」
「私は住んでいませんよね。介入はまずいですよね」
「そんなことはないよ。今は住民だ」
「スルベール帝国を潰すことになるかもしれませんよ」
「それもありかな。ちょっとあの国はひどすぎる。抑圧される人が多すぎる。あの国の王族と貴族は何とかしなくては。まともな王族や貴族が少なすぎ弱すぎる」
「わかりました。神様にいいように使われているのが癪ですが」
「期待しているよ」
レイナさんを癒して支えていきたいと思った。
お読みいただきありがとうございます。
評価やブックマーク、ご感想やご意見をいただければ幸いです。




