36、世界樹からの依頼成功
脱出はできた。
階層が崩れていく中でまたどこかに飛ばされるのを感じた。
気が付けば世界樹の中の儀式の間。
祭壇の前にいた。
「お戻りになりましたね。おい、レイナ様にお伝えしろ」
「はい、只今」
精霊の長老たちがあわただしく動いている。
「4日ですか」
「はい、世界樹から伝えられていたのですが流石に心配しました」
「ご心配をかけました」
「いいえ、目的を達成されてよかったですね」
「はい、ありがとうございます」
私の前には世界樹からのお礼ということで大量の世界樹の葉と花と樹液が置かれている。
こんなにたくさんもらっていいのだろうか。
『気にしなくていいですよ。これからも良しなに』
「あ、はい。ではいただいていきます」
世界樹の葉と花と樹液は収納に収めレイナの待っている部屋へと移動した。
レイナは少し疲れているようだった。
目の下には隈もできている。
そっと回復をかけてあげよう。
「タカシさんご無事で」
「ご心配をかけました。目的を達成しましたので皆のところに帰りましょう」
「はい、皆には連絡もしてあります。ところでその方は?」
「え?」
いつの間にか私に付き添うように一人の少女がいた。
小柄で童顔だけど緑の髪を持つ美少女だ。
スタイルもいい。トランジスタグラマーというやつか。
あ、レイナに抓られた。見ていたところがまずかったか。
そして何よりも神々しいものを感じる。世界樹と同じ神々しさを。
私は先ほどまで何も気が付かなったよ。
私とともに移動してきたようだけど。
いつの間に?まさか暗殺者!
「はじめまして、世界樹の分身メープルです。よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします。ところでまだ私に何か御用ですか?」
「ええ、タカシさんに興味を持ったのでついて行こうと思います」
「え!」
「駄目ですか?」
あ、下からうるうるとした目で見られた。
これはなかなかあざといな。
「世界樹から離れてもいいのですか?」
「はい、そのための分身です。タカシさんと色々な世界を見て回りたいと思います。精霊の街の身分証も持っています。創造神様の許可も得ています」
「それでは反対できませんね。レイナさんいいですよね」
「うー、タカシさんがよければ」
「それではこれからよろしくお願いします。メープル様」
「私もレイナさんみたいに呼び捨てでお願いします」
「は、はい」
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