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第29話 『HAPPY EASTER!』③


「OK」

 

 安藤との通話を終えた(まい)はスマホをしまう。

 安藤から電話がかかってきた時はびっくりしたが、その後、彼の提案を聞いたときは更に驚いた。


「彼女のためにもお願いします!」


 そう言われては断れない。いくらライバルのためとはいえ、だ。

 ふうっと舞は商店街のアーケード、ドラッグストアの前で溜息をつく。


 あたしってお人好しだな……。と、いけないいけない。卵を置かなきゃ……


 たたたと足音が聞こえてきたので、そのほうを見るとフランチェスカがこちらへ向かってきていた。


 ウソ! いくらなんでも早すぎでしょ!


 わたわたと慌てる。と、咄嗟(とっさ)に目の前にあったガシャポンの筐体(きょうたい)の上に置くと、素早く身を隠した。

 本来なら店員にお願いして渡すはずだったが、やむを得ない。


 気付くかな……?


 壁からそっと様子を窺う。フランチェスカが卵を取るところだ。どうやら杞憂(きゆう)に終わったらしい。

 フランチェスカが卵から中身を取り出す。またメモだ。


「なにこれ……」


 メモにはト音記号の五線譜で、左からレ、ラ、ソ、ラ、ドと音符が並んでいる。

 

「楽器屋に行けってこと? でもこの音符、なにか意味があるはず……」


 イントロに合う曲を何曲か思い浮かべるが、それが答えに結びつくとは思えなかった。終いには頭からしゅんしゅんと湯気が立ちのぼりはじめてきた。


ああもう!(ケ ペサード!) いったいなんなのよ!」

 

 一方、舞は気が気ではなかった。当然だ。彼女が問題を解いてくれないことには話にならないのだから。


 どうしよう……? 偶然を装って話しかけてみるか?


 ふたたび壁から様子を窺うと、観光客らしき外国人がフランチェスカに話しかけるところであった。


「Excuse me,I'm afraid I'm lost……(すみません、道に迷ってしまったのですが……)」


 フランチェスカは流暢(りゅうちょう)な英語で道案内をし、外国人からいささかオーバーなリアクションで礼を言われた。


「Have a nice trip!(よい旅を!)」と手を振って、謎解きに戻る。

 そのとき、ふと閃いた。

 

「もしかして、これ英語の音名に変えれば……」

 

 レはD、ラはAという具合に変換すると……


『DAGAC』


「ええと、ダガック? いやダ、ガ、シー……だがし? 駄菓子屋だわ!」

 

 暗号を解いたフランチェスカは颯爽とその場を後にする。目指すはおばあさんが営んでる駄菓子屋だ。

 壁から様子を窺っていた舞はふぅっとひと息ついてスマホを取り出す。


「もしもし? いまふたつめを解いたところよ」

「了解! こっちは下ごしらえが終わったところです」


 舞との通話を終えた安藤はスマホをポケットにしまう。


 予想より早いな……こっちもペースをあげないと。


 安藤はさっそく次の段階へと取りかかる。


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