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第27話 『恋する☆フォーチュン』②


「な、なんであんたが来てんのよ!?」


 神代舞は予想外の人物――フランチェスカを指さす。いつもの修道服(スカプラリオ)ではなく私服姿だ。

 

「なんでって……アンジローに誘われて来たんだけど」

「え? いやだって……」

「このチケット、1枚で二名様まで有効ってありますよ」


 安藤にそう言われて自分のチケットを確認する。確かに裏側に書かれている。


 しくじったァアアアアア!!


 完全なケアレスミスに自分を呪う。


「あの、神代さん? ひとりで来たんですか?」

「あれでしょ? ぼっちというやつじゃない? あんた友だちいなさそうだし」


 フランチェスカをきっと睨みつける。


「あたしだって友だちくらいいるわよ! しょうがないじゃない! みんな予定埋まってたんだから!」

「だからアンジロー誘ったんだ? ふーん」

「うるさい!」


 改札口の前でいつもの丁々発止(ちょうちょうはっし)。ざわざわと周りから注目されていることに気付いた安藤が仲裁に入る。


「ここでケンカはまずいんで、行きましょう!」


 巫女と見習いシスターをなんとか引っぱってその場を後にする。


 †††


 入場口でチケットを見せてパーク内に入ると、更衣室がふたつにわかれている。

「それじゃこの先の出口で落ち合いますね」と安藤が男性更衣室へ。

 舞とフランチェスカも女子更衣室へと入った。


 空きロッカーの前でバッグを下ろすと、フランチェスカはおもむろに脱ぎはじめる。


 ……相変わらず良い体してるわね。こいつは。


 横に見ながら舞も水色の水着へと着替える。今日このために買ったおろしたてだ。

 対するフランチェスカは赤色の水着を身に着けている。

 ロッカーキーを手首に巻いて出口へ向かうと、歓声が聞こえてくる。

 

「わあっ!」


 ウォーターパークはその名の通り、大小さまざまなプールをメインとしたアミューズメント施設だ。

 奥にはスライダーや流れるプールもある。


「こっちですよ!」

 

 見ると安藤が手を振っている。

 

「……っ!」

 

 今さらながらにして舞はここに誘ったことが恥ずかしくなってきた。

 初めてのデートでお互いの水着姿が露わになるなど。


「アンジロー! ほら行くわよ!」

 

 フランチェスカは恥じらう素振りもなく安藤を奥へと引っぱる。


羞恥心(しゅうちしん)ってものがないのかしら。あいつ……」


 でも、ちょっと羨ましいな……。


 ぶんぶんと頭を振る。考えるよりまず行動だ。


「ちょっと、置いてくんじゃないわよ!」


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