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第23話 『Sorella dell'apprendista in Italia』①


 朝、聖ミカエル教会の本部。

 その執務室にてマザーは各支部の報告書を仔細(しさい)に読む。

 どんと認可印を押して次の報告書を読もうとした時だ。

 コンコンとノックの音がして「失礼します」と言ってからシスターが入ってきた。


「マザー、あなたにお電話が入っております」

「私に? でも電話ならここでも……」


 机の受話器を見る。着信音は鳴ってない。


「それが国際電話でして……それもかなり切羽詰まってる様子でした」

「国際電話? どこからなのです?」

  

 †††


 聖ミカエル教会。その礼拝堂にてフランチェスカは鼻歌交じりでほうきを掃く。

 イヤホンから流れるロックの音楽に合わせて首を揺らしてやがてはほうきをマイク代わりにする。

 一曲歌い上げ、最後に拳を突き出す。


「なにをしてるのです……? フランチェスカ」

 

 いつの間にか来ていたマザーの声でそのまま固まる。


「往年のロックスターごっこをしてました……」


 †††


「実は本部に国際電話が来たのです。フランチェスカ、神学校であなたと同期だったアンナという子を覚えてますね?」

 「はいマザー」と頭にたんこぶを生やしたフランチェスカ。


「そのアンナがあなたを名指しで助けを求めてきたのです」

「え? でも、彼女はいまどこに……?」

「イタリアのつま先に位置するポッチェロ村です」


 聞いたこともない名前の村が出てきてきょとんとする。


 ちょっとまって。その前になんて言ったの?


「えーと……つまり、私にイタリアの、そのぼっち村に行けと?」

「ポッチェロ村です。すでに航空券と現地での宿の手配は済んでます。やってくれますね? フランチェスカ」


 マザーがにこりと微笑む。

 手回しの良さと有無を言わせぬ態度にフランチェスカは「はい……」と答えるしかなかった。


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