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第10話 『DATE OR ALIVE』前編


「遊びにいきたい!」


 フランチェスカからラインで呼び出された安藤が教会に着くなり、彼女の開口一番がそれだった。


「……行けばいいじゃないっすか。ゲーセンでもなんでも」

「そうじゃなくて! 明日ひさしぶりの休日だから、どこか遊びに行きたいの!」

「シスターがそんなんでいいんすか?」

「あたしだって、今どきの女の子らしくタピオカドリンクでタピりたいし! アキバに行ってアニメのフィギュアとか見たいし! 原宿でクレープとか食べたいし!」


 いつもの長椅子でバタバタと駄々っ子のようにごねる。


「原宿でクレープはもう古いっすよ!」

「とにかくひとりで行ってもつまんないからつきあってほしいの!」

 

 人を呼び出しておいて、なんてわがままなんだ……。


 待てよと安藤がふと思いつく。


 これっていわゆるデートってやつじゃないか……? 


 生まれてこのかた、彼女いない歴が年齢と等しい安藤の頬に朱が差す。どくどくと鼓動の高鳴りを感じながらフランチェスカに向き直る。


「し、しょうがないから付き合いますよ。ちょうどこっちも明日はヒマなんで……」

「ホント!?」


 長椅子で駄々をこねていたフランチェスカの顔がぱあっと明るくなる。


「決まりね! じゃ明日の10時にここで待ち合わせましょ!」


 翌朝、約束の時間に安藤は教会の扉の前で待っていた。

 フランチェスカからラインが来たのでアプリを開く。

 

「ごめん! ちょっと準備で遅れる!」


 可愛らしいキャラが手を合わせて謝っているスタンプのあとに「了解」と返す。

 どこを回ろうかな? とプランに頭を巡らせていたところへ、扉が開いた。


「お待たせ! 待った?」

「あ、別にそこまででは」


 振り向くと、そこに立つフランチェスカはいつものシスター服ではなかった。

 いま流行りのモコモコアウターにインナーはニットのタートル、そしてロングスカートといった可愛らしい出で立ちだ。肩にはトートバッグをかけている。


「かわいい……」


 思わず心の声が出てしまったことに悔やむ。


「ん? いまなんて言ったの?」


 おそらく、いや絶対に聞こえていたであろうフランチェスカがにまにまとこちらを見ている。


「い、いや、そのフランチェスカさんいつものシスター服じゃないんすね」

「あたしだってオフの日はふつーにラフな格好するわよ?」

 

 それにしても、と彼女が自分の服を見る。


「ホント日本ってカワイイのが多いわね」


 買っといて正解だったわと笑顔で言う。トートバッグから鍵を取り出すと扉に施錠する。

 

「そのバッグってなにか入ってるんですか? 膨らんでますけど」

「ああこれ? シスター服よ。帰ってきたときマザーと鉢合わせにならないとも限らないからね」


 これでよし、とフランチェスカが鍵をバッグにしまう。そしてくるりと安藤に向き直る。


「さ、行きましょ! まずはアキバよ!」


 フランチェスカが拳を上にあげて「レッツゴー!(バモス!)」と高らかに言った。


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