君の中身をぶちまけて
箸休めに
「君の中身をぶちまけて僕に見せてくれないかな?」
「は?意味がわからないのですが?」
黒髪眼鏡の端正な顔が目の前に迫る。
(中身ってなに?この人王子なのに頭残念なのかしら?)
「申し訳ないのですが、私みたいな平民には意味が解りかねます」私は失礼のないよう丁寧に答える。
「中身だよ。中身!馬鹿なのか君は!」王子は怒鳴る。
(馬鹿はあんたと言いたいよー。中身ってなんだよ。内臓か?王子様そっちの趣味があるのかしら)私はゾッとした。
私の中身ピンチかも、切り刻まれるのは勘弁してほしい。
「そんなことしたら私、死んじゃいますよ!」
「死んでもいいから見せてくれ」
「死にたくないですー」私は半泣きだ。
王子は半泣きの私を見ても眉ひとつ動かさない。
私を立たせると制服のシャツをめぐりだした。
「な、ななにするんですか?止めて下さい」王子の手は私のお腹をまさぐる、そこには右から左に大きな傷痕があった。
「あっ、や」
王子の細い繊細な指が傷痕をなぞっていく。お腹にぞくりと寒気が走る。
王子が呪文を口ずさむと指で傷痕を囲むように丸い文字を書いていき、魔方陣を完成させた。
魔方陣から光が溢れ私のお腹を満たしていく。
温かい。
私のお腹から何かが出ようとしている。
痛みはない、寧ろ心地いい。
(ああっ中身でちゃう)
私は新しい世界をぶちまけた。
ぶちまけては二つの意味で使ってます。