28話:対策会議
魔族の根拠地と思われる場所、そしてその中央に位置する謎の靄。
そして、その靄の正体は意外にもあっさりと判明した。
「それは転移門の類ではないかのう?」
今回、俺も発見パーティの一員という事で会議にも参加させてもらえたんだが、その場で転移魔法の高位術者がそう口にした。
「ご存知なのですか?」
「生憎儂は転移門を使えんが、師匠が使うのを見た事があってのう」
それによると、大きさこそ違えど似たような感じの靄が発生し、それを潜ると別の場所に転移していたという。
「しかし、そこまで巨大な門は聞いた事がないのう……儂が使えんからではなく、師匠もこの大きさが限界だと言っておったからな」
付与術師との協力で固定化された転移門がその術者の開ける限界の大きさなのだという。
それによれば、各国にある門は大きなものでも馬車が一台通れる程度だという。
「無論、世には例外がないとは言わぬが……もし、そのようなものがあったとすれば最早伝説級の代物であろうな」
と移動術師の高位術者がそう締めくくった。
成る程。しかしそうなると……。
「もし、あれが転移門の類だとしても誰かが故意に作った物ではない、という事ですね?」
「そうじゃのう、それに維持の問題も……」
はた、と俺の質問に移動術師の声が止まった。
やっぱりそこに行きつくよなあ……。
人の力で造るのは魔法に長けた種族でも無理。となれば残る可能性は一つ。
「自然に偶然出来たのか、そんなものが!?」
仰天した移動術師の声が周囲に響き、驚きが周囲に広がっていく。
そう、人の力で造るのが無理なら、どんなに可能性が低くても自然に出来た物だと考えるしかない。
「しかし、そうなるとどこへつながっておるか、というのが興味が湧くが……」
「あちらへと突入してみるのも手ですな……」
「いやいや、まず優先すべきはどうやって門を閉じるかという事でしょう?」
術者達が壮絶に進路を間違えかけたところで、アシュタールが修正した。
そうだよな、まず重要なのはどうやって閉じるか、って事だ。
奴らも自分達が通る門の重要性は理解しているからこそ、野戦陣地なんて築いている訳で……。
「実際に見てみると分かる事じゃが、奴らのこの門と思われる場所に駐留しておる部隊は思っておったよりは少ない」
とモルテン将軍が語りだした。
「問題は立地にある。魔族の奴らも魔の森の周辺国と戦闘となった事から戦力が各地に分散しておるのは間違いない。そして、門の向こうが奴らの本拠地に直結していない事は陣地の様子から推測出来る」
「直結していないとは?」
「なに、お前さん、重要な転移門の先に陣地を築かねばならんとして、それがこの王都と直結しておればどうする?」
「それは昼夜を問わぬ突貫工事を……なるほど」
なるほど。二十四時間交代で働かせてもとにかく門を守る為の施設を建築するか。
それが行われていないって事は……門の向こうが奴らの本拠地とはある程度離れているという訳ね。
「しかし、魔の森に儂らが踏み入れば、当然魔獣に襲われる。大軍で侵攻するのに向いておる土地とは到底言えぬ」
それが問題なんだよな。
あちらも大軍で待ち構えてる訳じゃない。けど、こちらも大軍で侵攻出来る訳じゃない。
そして、もう一つ厄介なのはあの門の向こうに魔族の援軍はどの程度いるのか……少数で突貫して、次から次へと魔族の援軍がポコジャガ現れたらたまったもんじゃない。最悪、こっちにはいないが門の向こうには魔族の大軍勢が!なんて可能性もあるんだよなあ……。
本当にどうすんだろ。
下手に俺が口出ししていいもんかね?
昨日はアップし忘れてどうも失礼しました
完全に!寝込んで目が覚めたらもう夜勤の支度しないと間に合わない時間!
失敗しました