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スケルトンはガチャスキルで強くなる  作者: 一時二滴
第二章 壊れたる者
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白装束の化け物再び

新作を執筆しはじめた為、更新頻度が少し落ちるかもしれません。ご了承ください。

明日の分は既に完成しているので明日は問題なく更新します

 草藪をかき分け、ロッド達は大樹林の中を突き進む。

 草が絡みついて重くなる足を必死に持ち上げ、白装束の化け物が目撃されたとされる位置に向かう。

 その間、ロッド達は周囲の警戒を怠らない。

 いついかなる時に白装束の化け物が姿を現しても対応できるよう常に臨戦態勢となっていた。


 セキム曰く、白装束の化け物は急に現れる。予兆などない。強いて言えば、姿を現せば周囲に呼吸もままならない圧迫感を与えてくるとのこと。

 それはスキルによるものかそれとも強者が発する威圧によるものかわからない。

 他にも鈴を鳴らす攻撃の予備動作、柔軟を超越した自壊を厭わぬ回避行動などなどの情報をロッド達は手に入れたが、そのどれにも白装束の化け物の弱点となる情報は無かった。

 そのことからロッド達はより一層気を引き締めていた。


 馬車道を避けて歩いたロッド達は白装束の化け物が居たとされる場所に到着した。

 周囲に大量の血が散乱し、散り散りになった肉塊が木や草に張り付いている。

 腐臭につられたハエ共が群がっていた。

 しかしそこに白装束の化け物の姿はない。


「外れか……」


 ロッドが小さく声を発した。

 そこには落胆の念が込められていた。


 白装束の化け物の目撃情報はセキムの一件ただ一つ。他の冒険者がそれらしきものを目にしたという情報は全くと言っていいほどなかった。

 何件かあれば出没地点にあたりを付け、その一帯を探索する方針に切り替わっただろう。

 しかし、その選択が出来ない以上、宛てはなくなったと考えてよかった。


 ロッド達がここら一帯を探索しようにも足取りの悪い藪の中を歩き続ければ無用に体力を消耗してしまう。そうなればいざ白装束の化け物が姿を現した時、疲労で後れを取ってしまうかもしれない。

 木々の密集した大樹林のため、木に昇り辺りを広く俯瞰することもできない。

 ロッド達は立ち往生するしかなかった。


「だ……れだ……?」

「「「「「っ!!??」」」」」


 その時、ロッド達の背筋に悍ましい程の寒気が迸った。

 警戒を怠った気はなかった。しかし、それは急に現れた。


 白装束の化け物。

 その名にふさわしく三メートルを超える皮膚のない身体に白装束を身に纏い、右手には鈴のついた鉄の棒が握られていた。

 表情はとぼけた様に口元を丸くするが全く可愛らしくなく、逆に悍ましい。


 ロッド達はすぐさまその場を飛びのき、各々の武器を前に構えた。

 血肉を踏みしめているが気にする余裕はなかった。

 肺が縮こまり、うまく息を吸えない。

 それでも必死にロッド達は呼吸を整えながら白装束の化け物から目を離さなかった。

 白装束の化け物はロッド達に武器を気に留める様子もなくそこかしこに目を向けえていた。


「ない……ちは……ここに……ない。」

(何かを探している?それに血が無い?そこら中に散らばっている血とは違うものを探しているのか?)


 白装束の化け物がとる不可解な行動遺体してロッドは思考を巡らせる。

 しかし答えは出てこない。


「けはいが……あった……はず。ちかく……に……ある……」

「何を探しているんだ!!」

「ロッド!?」


 ロッドの思わぬ行動にレイラが声を上げる。

 こんな化け物にコミュニケーションが成り立つはずもない。

 あれは人型であっても人間ではない。意思疎通を図ったところで通じるわけがない。

 レイラの思考はロッド以外のメンバーの総意でもあった。

 しかし、結果は違った。


「……ちを……ちから……を」


 ロッドの意思は白装束の化け物に通じた。

 そこにロッドは活路を見出し、更なるコミュニケーションを図ろうとしたところで白装束の化け物が発狂した


「あぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」


 気が触れたように頭を抱え、膝をついた。

 声を聴いた鳥達は飛び立ち、地を這う動物はその場から一斉に逃げ出す。

 そしてひとしきり叫び続けた白装束の化け物は静かに立ち上がり、ロッド達を見下ろした。


「ロッド!!下がれぇ!!」


 アムスが大声で叫ぶ。

 白装束の化け物に負けない怒声を喉から引き出し、ロッドの前で手に持った大盾を構えて攻撃に備えた。

 腰を落とし、不動の構えを取ったアムスの盾に鉄の棒が直撃する。

 耳に響く金属同士の衝突音。

 ロッドは白装束の化け物の攻撃をアムスが防いでくれたことにやっと気づく。


「すまないアムス!!」

「これくらいどうってこと……ない!!!」


 盾に全体重を乗せながらアムスは必死な形相で強がりを言う。

 白装束の化け物が放ったのは鉄の棒による突き。しかも片手。

 それを耐えるのにアムスは全身全霊を籠めなければならないほど白装束の化け物の一撃は重かった。


 アムスは今動けない。その代わり、白装束の化け物の行動を制限してくれている。

 ロッド達はその行動を無駄にしない為、残りの四人で陣形を取った。


「支援魔法《身体強化》《剛腕》《不屈》」


 支援魔法とは文字通り味方を支援する魔法。その効力は絶大でこの魔法にかかっているものとかかってないものには天と地ほどの差が出来る。

 代償に多大の魔力を消費する魔法系統のスキルだが、出し惜しみしている場合ではなかった。


 それらのレイラが魔法を唱え、身体強化をメンバー全員に、アムスにはそれに加えて剛腕と不屈の魔法をかけた。

 ロッド達の身のこなしが大幅に良くなる。翼が生えた感覚をメンバー全員が錯覚した。

 レイラによる支援を受けたロッドとルークは先陣を切り、白装束の化け物に立ち向かう。


「ルーブソリッド!!」


 ミユが杖を白装束の化け物の足元に向け、ヌメッとした油のような液体が援護射撃として放出される。

 白装束の化け物も多少力を入れてアムスに鉄の棒を押し付けていたのか、油の撒かれた地面に足を滑らせ見事に体が宙に舞う。

 そこですかさずルークとロッドがスキルを行使した。

 

「絶剣!!」

「双剣乱舞!!」


 ルークによる大振りな一筋が皮膚なき身体に大きな傷を加えて一歩後ろに下がる。

 そこでスイッチしたロッドの不規則な軌道で乱れる二本の短剣が傷口を抉るように畳みかける。


「がぁぁぁぁ!!」


 悲痛な叫びを白装束の化け物は上げた。

 顔をひどく歪め、滑っても離さなかった鉄の棒を杖代わりに抱えながら立ち上がろうとしていた。

 それを許すロッド達ではなく、無駄のない連携を駆使し白装束の化け物相手に攻撃を加え続けるのだった。


 ●●●


 それからどれくらいたっただろうか。

 ロッド達は肉を切り、骨を断ち、内臓を抉った。

 しかし白装束の化け物は幾度攻撃を加えても肉体を再生させ、状況を白紙に戻した。

 いや、白装束の化け物の回復速度や力の精度が落ちていることから多少消耗しているのは確かである。

 だが、疲れた様子は全く見られない。対してロッド達の疲労はピークに達していた。


「ハァハァ……」


 疲労で息を切らしながらも、次の攻撃に備えるべくルークがその場から動こうとする。

 その時、足を滑らした。


「な!?」


 ルークが足元を見てみれば肉塊が転がっていた。

 マンセムのものか切り刻まれた白装束の化け物のものかはわからない。

 ただわかるのは、疲労で注意力が散漫になってしまったという事実だけだった。


「ルーク!!」


 その状況を視界の端に捉えていたロッドが叫ぶが、白装束の化け物もまたそれを見ていた。

 好機。表情がそう物語っていた。

 白装束の化け物はその手に持つ巨大な鉄の棒の尻を地に手を着いたルークへと向ける。


「やめろ!!双剣乱舞!!」

「ハイドロバースト!!」

「ホーリーフレイム!!」

「障壁突進!!」


 どうにか注意を引こうとロッド達が白装束の化け物に決して小さくない深手wp与えるが、全く気にする様子はない。

 まずは一匹。言外に伝える満面の笑みがロッド達を絶望に突き落とした。


「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 ロッドは短剣を振るって叫ぶことしかできない。

 肉を千切り骨を砕くが、それでも白装束の化け物は止まらない。

 神速の鉄の棒が槍のように穿ち、その対象となったルークを貫いた―――かに思われた。

 鉄の棒はルークの顔面に当たる直前、額との間に紙一枚も入らない程の寸前でピタッと止められた。


 誰が見てもルークの命はないと思える状況だった。しかし、いくら待とうとも鉄の棒は降ってこない。

 白装束の化け物の不可解な行動にロッド達も思わず攻撃をやめていた。

 ルークもそれを不思議に思い、顔を持ち上げると白装束の化け物は別の方向を見ていた。

 そして、口角を割けんばかりまで歪めて愉快に嗤った。


「きゃははあひゃひゃふはは!!あっ……た……あった……!!」


 嬉しそうにそう告げると白装束の化け物は姿を消した。

 それを見ていたルークが言葉を発し、ロッドが続く。


「……なんだったんだ?」

「どこかを見ていた?あの方向は確か……」

「「「「「私(俺、アムス様)たちの街だ!!」」」」」


 そう、白装束の化け物が見ていた方向は街だった。

 その事実に気付いたロッド達は疲れなど知るものかと体勢を立て直し、白装束の化け物が向かったとされる街まで全速力で追いかけに行くのだった。

 

そういえば街の名前決めてないんだよね……。


というところでスキル説明。

※説明は読んでも読まなくてもいいです。文字で読者の皆様が納得するようなイメージをもっていただければ幸いです。もし文字だけじゃ想像つかない場合、作者のイメージを書いたのでそれを参考にしてください。


ルーブソリッド:水魔法の一種。潤滑油


支援魔法:剛腕は腕力が強くなる。身体強化は身体能力上昇。不屈は気持ちで負けにくくなる。


双剣乱舞:二本の剣を装備時に発動可能。最小限の動きで最大限の攻撃を加える。


絶剣:剣を装備時に発動可能。断絶率の高い強力な一撃を剣で放つ。


ハイドロバースト:水魔法の一種。膨大な水を放出。ポケモンで言うハイドロポンプ。


ホーリーフレイム:神聖魔法の一種。神々しい炎を放つ。


障壁突進:盾を装備時に発動可能。身を固めタックルをかます。

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