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スケルトンはガチャスキルで強くなる  作者: 一時二滴
第二章 壊れたる者
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千撃

「いきます!!」

「ンガガガァァァ!!」


 シズクが剣を握り、走り出した。

 黄金のゴーレムはそれに答えるように叫びをあげる。

 片腕を落とした俺への警戒も忘れていないが、鉄のゴーレムを短時間で全滅させたシズクも警戒に値する。

 どちらも蔑ろにできないが対応できるのは一人。そのため、襲い掛かるシズクの対応を優先したのだろう。

 今の俺は実質無力だから最適な判断だ!


「ハァァァア!!」


 気迫を込めながらシズクは手に握る一振りを横に薙いだ。


 ガキンッ!!


 放たれた高速の刃は黄金のゴーレムの金色に煌めく固い外皮に阻まれてしまった。

 黄金のゴーレムも無傷ではない。シズクの刃によって拳一個分は削られている。

 しかし、言ってしまえばその程度。

 人の三倍の体格を持つ黄金のゴーレムにとってはかすり傷に等しい。


「ンガ!!」


 タイミングを見計らって黄金のゴーレムが反撃を加えるが、それを瞬時に察知したシズクは咄嗟の判断で場を離れた。

 よって、黄金のゴーレムの攻撃は空振りに終わる。


「固いですね。あの身体」

「まさかシズクの攻撃で効かないなんて」

「私のステータス、俊敏が高い代わりに攻撃だけ伸びしろが悪いんです」


 動きが速かったから攻撃が高いように見えたのか。

 しかし、速度の乗った攻撃は多少威力に貢献する。それなのに斬れなかったなんて。

 少し不安な表情を浮かべる俺をシズクが見上げる。


「スケさん。さっき撃ってた技をもう一度撃てますか?」

「いや、MPが足りないから無理だ」

「そうですか……わかりました。じゃあ、五秒間だけ黄金のゴーレムを引き付けることは出来ますか?」

「それくらいなら」

「お願いします」


 時間稼ぎ。それも五秒だけなんて楽勝だ。


 俺は擬骨生成で天井に着きそうなほど巨大な剣を作り出した。

 ただ大きいだけの張りぼてな剣。骨密度もほとんどなく、黄金のゴーレムに衝突すれば一瞬で砕け散るほどの脆さ。

 しかし、それでも黄金のゴーレム相手には十分だった。


 黄金のゴーレムが喰らった俺の剣はたったの一回だけ。

 しかしそれは、凄まじい硬度を誇る奴の身体を容易く切り裂く一撃だ。

 そんな一撃を放ってきた相手の次の手が弱いと考える奴はどこにいるだろうか。

 重圧迫の強制ノックバックだって黄金のゴーレムには威力こそないものの脅威には感じられるだろう。

 つまり、この巨大なだけの剣は黄金のゴーレムにとって強大な存在となっている。

 

 強いカードをチラつかせれば手札が使えない(ブタ)とは思わない。

 ハッタリに気付けない。


 黄金のゴーレムの視線は完全に巨大な剣に向けられている。

 いつ来る。どのタイミングでと無駄な思考を巡らせている間に俺はポケットに仕舞ってあったMP回復ポーションを服用した。

 MPが100回復する。

 もうハッタリの必要はない。


 ポーションの瓶を投げ捨て、巨大な剣を力一杯押し出した。持てないのだから仕方ない。

 剣は重力に従い真っ直ぐ振り下ろされる。

 黄金のゴーレムはその剣をすかさず避けるが、退路には骨の大盾を持って待ち構えた俺がいる。


「《重圧迫》!!」


 大盾で力強く押し込み、再び黄金のゴーレムを壁へと押しやった。それと同時に巨大な剣は地面に激突し粉々に砕け散った。

 すると真後ろから声が聞こえた。


「スケさん、ありがとうございます!!」


 シズクの方に視線を向けると鞘に剣を収め、抜刀の構えで大盾の奥にいる黄金のゴーレムを見据えていた。

 顔に似合わぬ鋭い目つきをしながら、小さく息を吐き呼吸を整えている。

 柄を握り、鞘に手を当て今にも抜かんという雰囲気を醸し出すシズクの姿に少し震えてしまった。

 俺は大盾をそのままに重圧迫を解除し、場から引く。

 重圧迫はスキルを解除すると効果が発揮しきれてなくてもMPを100消費する。

 しかし惜しくはない。あのままあそこにいれば巻き込まれそうだ。


「ンガガガガガ!!」


 重圧迫の効果が切れたため大盾を手でどかし、黄金のゴーレムが姿を現す。

 その時、シズクの瞳がカッと見開いた。

 鋭い眼光に黄金のゴーレムは一歩後退ろうとするが背後は壁。逃げ場はなかった。


「千撃“五連”!!」


 右手だけで剣を抜刀し、逆袈裟に一撃を加える。

 しかし、多少削れる程度でダメージになっていない。


 次に流れる動作で刃を返し、柄を両手で持つと左に振り抜く。

 黄金のゴーレムの強固な外皮が抉れた。


 また刃を返し、左足を前に出すと逆袈裟に昇り斬る。

 刃が黄金の身体に阻まれることなく剣身全てが身体に入り込み、抜ける。


 今度は右足を出し無駄のない動きで剣を振り下ろすと腰を落とす。

 剣は既に空を斬るが如くスムーズに刃を通していた。


 そして足場を力強く踏みしめ、刃を上部に向けると黄金のゴーレムに刃を加えながら空高く飛躍する。

 刃はシズクと共に駆け昇り、障害なく頭部まで到達すると黄金のゴーレムを線対象に切り裂いた。


「ふぅ」


 静かに地に降り立ち、シズクが小さく息を吐くと黄金のゴーレムは魔石に変わった。

 この間、一瞬の出来事。

 刹那を生きる雷鳴の如き速さで黄金のゴーレムの命を断ち切った。


 相当負担がかかったのだろう。シズクは肩で小さく呼吸をし、その額に大粒の汗を垂らしていた。


「時間稼いでくれてありがとうございます」

「いや、こちらこそ倒してくれてありがとう。それで今のは?」

「あ、あれは私のスキル《千撃》です」

「千撃?」

「はい。対象に攻撃を与える度に攻撃のステータス値を一時的に上昇させるスキルです」

「え、すご」

「ですが、0.5秒以内に次の攻撃を加えないと効果が解除されてしまいます。戦闘中に次の手とか考えてると0.5秒なんてすぐ過ぎちゃうので、事前にシミュレーションしておくために時間を稼いでもらう必要があったんです」


 格闘ゲームでよくあるコンボ繋ぐとダメージ上がるみたいなもんか。

 前持ってた連撃殴打とめっちゃ相性よさそうなスキルだな。


「なるほど。それじゃ、ボスも倒したことだし、最奥に行こうか」

「はい!」


 俺仕切ってるけど、ボスも周囲の鉄のゴーレムも全部シズクが倒したんだよなぁ……。

 遠い目で俺は空を見上げるのだった。

 勿論、ダンジョンなので空なんて見えませんけどね!!

またまたスキル説明。

千撃:攻撃を加え続けることでステータス値の攻撃が上昇するスキル。スキルを発動後0.5秒以内の間に次々と攻撃を繰り出さなければ上昇値はリセットされる。最大千回まで効果は持続する。

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