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スケルトンはガチャスキルで強くなる  作者: 一時二滴
第二章 壊れたる者
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竜尾裂断

 重圧迫。それは馬車で手に入れたスキルの一つ。

 盾を持っていて且つMPを100消費することで発動できるスキルだ。

 その効果は自身が盾と直線に突進し、行く先が壁に遮られぬ限り解除するまで進み続ける。

 そしてその道中、如何なる対象が立ちはだかろうともその対象を強制ノックバックさせ、壁と盾で圧迫するというもの。


 このスキルによって黄金のゴーレムは拮抗すらなく突き飛ばされた。

 避けられないよう盾を大きくしたが杞憂に終わってよかった。


 ズガガガガ―ンッッ!!!!


 黄金のゴーレムは骨の盾に押され、周囲の鉄のゴーレムや擦り抉られる地面を巻き込みながら壁へと向かっていく。

 巻き込まれた鉄のゴーレムは本来なら性質の力で無傷だったはずが、さっき黄金のゴーレムに蹴散らされていたせいでその効力を失っていた。


「さっきの行動が仇となったな!!」


 俺は力いっぱい盾を押し込み、黄金のゴーレムを壁へと追いやった。

 それでもまだ俺の突進は止まらず、壁に押しやられた黄金のゴーレムに更なる圧力を加える。

 十分かに思える圧迫をまだ足りぬと言わんばかりに。

 まさに重圧迫。スキルの名に恥じぬ効果を有していた。


 巻き込まれた鉄のゴーレムの大半は命を落とし、魔石と化していた。

 しかし、攻撃を直接喰らったはずの黄金のゴーレムはすこぶる健在だった。


「ンガガガガガ!!!!!」

「鉄のゴーレムより硬いってのは伊達じゃないんだな」


 黄金のゴーレムはけたたましい声を高らかに上げながら骨の盾を拳で容易に粉砕する。

 破片がそこら中に飛び散り、周りの鉄のゴーレムに命中。そして性質により無効化にした。

 こいつ、周りの邪魔しかしないな。暴君かよ。


「ンガァァ!!」


 金属に覆われた太く煌びやかな剛腕を豪快に振りかぶり、俺に照準を合わせた。そして放たれる右ストレート。

 全力を込められていることは見て分かる。喰らえば俺のステータスじゃひとたまりも無い事も。

 避けるには見極めるタイミングが遅すぎた。多分間に合わない。

 骨の盾を作っても容易に貫かれる。何重も重ねれば多少耐えられるだろうが、デイルの時のように幾十も層 を形成することは出来ない。あれはステータスが上昇し、刹那の戦いを繰り広げられたからこそできた芸当だ。今じゃ真似できない。

 なら諦めて受けきる?

 いいや、違う。あの攻撃を根本から無くす!!


 俺は骨の剣を両手で握りしめ、正中線に沿って構える。

 重圧迫で全く効果が無い以上、俺の剣じゃ歯が立たない。それは分かってる。

 しかしそれはステータスだけならばの話。スキルを乗せれば話は違う。

 剣を更に強く握りしめ、頭の頂点まで振りかぶった。


 狙うは根本。攻撃を放つため駆動する右肩。

 放つは一撃。望みを込める。

 初見だがその大層な名前を大いに期待し、放たせてもらおう。


 骨の刃を勇ましいオーラが纏わり付く。

 不規則に揺らめくそれは次第に整形し、不格好なオーラから巨大で鋭利な刃へと姿を変える。

 黄金のゴーレムがそれを見て表情を歪ませる。しかし攻撃を止めることは無い。

 だから俺も止めない。


「竜尾裂断!!!」

 

 一切のブレなく剣を振り下ろした。

 瞬間、オーラによる斬撃が飛ぶ。

 射線上に入っていた黄金のゴーレムの拳を容易に通過し、中空も切り裂く。

 斬撃は留まることなく黄金のゴーレムへと突き進み、右肩の関節を難なく通過した。

 切り裂く音は全く聞こえなかった。固い物に触れれば必ず立てる音をこのスキルは立てなかった。

 つまり、このスキルにとって黄金のゴーレムは切り裂く対象ですらなかったということだ。


「はっはは。めちゃ強いなこのスキル」


 想像以上の威力に思わず乾いた笑いをしてしまう。

 念のため柔いであろう関節を狙って撃ったが、これは黄金のゴーレム倒せたな。


 さっきまで襲い掛かりにきていた右ストレートは既に地面に落とされている。

 黄金のゴーレムはその光景を戸惑った様子で無くなった右腕と俺を交互に見ていた。


 竜尾裂断の効果はMPを500消費することで剣から斬撃を飛ばし、対象に絶大なダメージを与えるというもの。

 かなり抽象的だ。絶大って人によって感じ方違うからそこら辺改めてほしい。

 具体的な表記だったら絶対一撃で倒せてたし。


 黄金のゴーレムはさっきの一撃で俺をかなり警戒している。

 安心しろ。今の攻撃で俺のMPはすっからかんだ。

 MP回復ポーションを使っても100しか回復しない。

 これでは重圧迫使うのが関の山だ。攻撃手段はもう無いに等しい。


 しかし、黄金のゴーレムにしてみればそんな情報知りようがない。

 だから警戒する。再び同じ攻撃が来るんじゃないかって。

 その行動が自分の首を絞めていることも知らずに。


「スケさん、終わりました。加勢します」


 ほら、そこら中にいた鉄のゴーレムを一匹残らず殲滅したシズク様がご降臨なされた。

 あの数をこんな短時間で殲滅するなんて率直に申し上げて。


「化け物ですね」

「……?はい、そうですね」


 シズクは黄金のゴーレムに対して言ったと思ってるんだろうが。

 違います。あなたです。


またスキル説明。


重圧迫:盾を装備している時のみ発動可能。MPを100消費し、盾によるタックルをする。タックルは直線のみで進路変更は不可。途中でスキルを解除することができるがMPは戻ってこない。解除しなければ壁に衝突するまで永遠に突進し続ける。その進行を妨げる対象には強制ノックバックを与える。壁に衝突したときに対象が間にいる場合、圧迫状態を継続する。


竜尾裂断:剣を装備している時のみ発動可能。MPを500消費し、絶大なダメージを与える斬撃を放つ。

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