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スケルトンはガチャスキルで強くなる  作者: 一時二滴
第二章 壊れたる者
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翻訳家

あらすじちょっとだけ弄りました。

小説のAIに聞いたらこれでもまだネタバレ足りないって言われました。

 あの後しばらく質問攻めにあったりしたが、何とか称賛の渦から脱け出すことに成功し、魔石換金をし終えたシズクを連れてギルドを出た。


「なんであんなに褒められてたんですか?」

「なんか勘違いされてね」


 後日、ロッド達には個人的に謝りに行かなければ。

 そういえば名前の問題をどうすべきだろうか。流石にいつまでも名無しというのは不都合だ。


「どうしようか……」

「どうしたんですか?」

「いや、俺前世の記憶がないせいで名前を思い出せないんだ。だけど名前が無いと流石に色々不都合だし」

「なら暫定的に名乗って、記憶が蘇ったら本当の名前を理由を付けて告げればいいんじゃ?」

「なるほど」


 別に偽名を名乗っても理由を付ければいいのか。いや、偽名を名乗るよりも事前に記憶喪失の旨を伝えれば相手が不快に思うことは無いはずだ。

 よし、そういうことにしよう。


 記憶喪失で名前は偽名です。思い出したら教えます。


 このスタイルで決まりだ。偽名はどうせいつかは捨てる名前だし凝る必要はない。スケルトンの最初の部分をもじって《スケ》としよう。


「よし、俺はこれからスケって名乗る。改めてよろしくなシズク」

「よろしくお願いしますスケさん」


 俺とシズクはギルドから離れるとシズクが神様に紹介されたという翻訳家の下へと向かっていた。


 目的地にたどり着く。

 外見はただの家だ。

 神様曰く、数々の言語翻訳を請け負う超やり手の翻訳家らしいが、周囲の民家に溶け込んでいてとても依頼を受け付けている場所には見えない。

 仕事場が自宅なだけで依頼受け付けは別の場所という方がしっくりくる。


 シズクも同じ考えなのか地図を何度も見直している。

 だが、シズクの地図に着けられたチェックのマークは確かにこの場所を指していた。

 有能すぎるからこそ知る人ぞ知る名店的な感じなのかな?


 俺は意を決して扉のノブに手をかけた。

 間違ってたら素直に謝ろう。


「すみませ~ん」


 ドアには鍵がかかっておらず、すんなり開いた。

 玄関に足を踏み入れると一部黒ずんだ用紙のタワーが十本ほど形成されているのが目に入った。

 床にはクシャクシャに丸められた紙屑やインクの漏れたペンが散らばっている。

 見渡す限り家具らしきものは置いていなかった。


「んあ?誰だい?」


 部屋の奥から気だるけな女の声が聞こえてくる。

 さっきまで眠っていたんだろう。少々舌足らずだ。


「スケって言います。因みに記憶喪失なのでこれは偽名です」

「そんなんどうでもいいよ」


 あ、そうっすか。


「ふぁ~。こんなところに何のようだい?」


 部屋の奥から声の主である女が姿を現した。

 蜂蜜の様に透き通った金髪をストレートに腰まで流した麗しき女。欠伸に伴って流れた小粒の涙を目尻にためながら俺とシズクに視線を向ける。

 シャツにパンツと無防備な服装で、腹と後ろ髪を両手で搔き乱していた。

 一言でいうと……。


「だらしないですね」


 シズクが彼女に聞こえないくらいの小声で俺の気持ちを代弁した。

 彼女の服装に欲情することは無かった。魔物になったせいで睡眠や食欲だけじゃなく最後の三大欲求の性欲まで無くなってしまったようだ。

 彼女がだらしないせいでそう見えないだけかもしれないけど。


「あんな大人になっちゃだめだよ」

「絶対なりません」

「それはよかった」

「おいおい、いちゃつく暇があるなら要件を言ってくれないかい?」

「あ、すみません。あの、文字の翻訳を頼みたいんですけど」

「あぁ、その依頼か。どれ、どんな文字だい?」

「何かかける紙とペンってありますか?」

「そこらに落ちてるの適当に使っていいよ」


 そう言って彼女は床を指さした。

 いや、使えそうなもの全然ないんだが。ペンもインク漏れ起きてるし。


 だが、紙とペンが無い以上借りるほかない。

 俺は使えそうなペンとできる限り白紙に近い紙を見繕い、書物記憶によって記憶している文字列をその紙に複写した。

 本は数ページで構成されていたが、読みやすいようにか文字一つ一つが少し大きめに記入されていたため複写に長い時間はかからなかった。


 書き終えた俺はペンを持つ手を止め、その紙を金髪の彼女に手渡した。


「これを翻訳してほしいんです」

「ん。これかぁ。すまんが、これの翻訳は無理だ」

「「え!?」」


 シズクと俺の声が重なる。

 神様に翻訳を頼めと指示されていたのに本人が出来ないというなんて想定外だった。

 シズクは焦ったように彼女を問いただした。


「何故ですか!?」

「いやね、私がこの文字を知らないんだよ。知らない文字は翻訳できない」

「そんな……」

「だけど、似たような文字は見たことある。確か《古の遺跡》の最奥にこんな文字があったような?うろ覚えだが。そこの遺跡の文字と資料を照らし合わせればもしかしたら解読できるかもしれない」

「本当ですか!?」

「保証は出来ないけどね」


 シズクの表情がニパァと明るくなる。

 落ち込んだり喜んだり、表情豊かな子だな。


「じゃあ遺跡の文字を持ってきたらもう一度私アヤネルに尋ねてきな」


 金髪の女ことアヤネルは俺の記した紙を持って部屋の奥へと戻っていった――と思ったら顔だけ戻して一言。


「あ、誰に聞いたかは知らないけどあまりこの場所を広めないでくれないかい?仕事が多くなるのはめんどくさいんだ」


 住宅地に溶け込んでる理由はこれだったのか。

 こんな人に任せてもいいのだろうかと不安になる俺だった。シズクも恐らく同じ気持ちだっただろう。

仮ですが主人公に名前が出来ました。そろそろガチャ引かせたい。

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