レアもの
少し前の話の『人間』や『傍観タイム』でロッド達の描写を確認してみたところ、ミユが茶髪と描写されていたり、ルークとロッドの髪色が逆に描写されていたり色々ごっちゃになっていたので、修正加えました。それに加えて描写し忘れていた彼らの装備を《軽装で最低限の武具の装備(ボロボロの破損状態)》として組み込みました。後付けすみません。
申し訳ありませんが混乱を防ぐため、一章登場人物紹介のパーティーの欄だけ閲覧していただけると今後の人物描写の混乱が防げるかと思います。お手数をかけて申し訳ございません。
ダンジョンの出口もとい入り口に到達した。
ダンジョンは街中にあるようで、外に出ると中世ヨーロッパの様な洋風な街並みが広がっていた。
異世界初めての地上ではあるが、世の明るさは地球とあまり変わらない。しかし、長らく太陽光の無いダンジョンで過ごしていたことによるものか少し眩しく感じる。
他にも色々と物思いに耽りそうになるが、シズクにとっては見慣れた光景。俺に構わず前へ前へと進み小さくなっていく後姿を慌てて追いかけた。
シズクは冒険者だけあり、道中でなぎ倒した魔物の魔石を革製の肩掛けバッグにしまい込んでいる。
どう見てもキャパオーバーな量の魔石が入れこまれているのだが、シズクのバッグは特殊でアイテムバッグという外見以上に物を収納できる魔道具というものらしい。
俺の前持っていた空庫やレイラの持っていた異界保管のようなスキルの類ではないため、キャパシティーは存在している。お金さえあれば誰でも手に入る分、無制限に収納できるスキルとは差別化されているようだ。
それらの魔石を冒険者の所属するギルドという場所に売る事で冒険者は生計を立てている。
本来俺も叡智の助言で集めていたが。だが手に取った瞬間、混沌の魔石に全て吸収されてしまったし、後先考えず空庫の中の魔石も吸収させてしまった。最後に手に入る予定だったデイルの魔石も召喚結晶になってしまって売るに売れない。
しかし、お金の問題は同僚のよしみということでシズクが少し貸してくれるということで落ち着いているため問題はない。いや、子供に借金してるだけで問題大有りか。
まあ今は置いておこう。で、さっきの話からしてまずはギルドに換金しに行くものだと思ったが、どうやらシズクは自身の宿屋に置いてきた大切なものを取りに行きたいらしかった。
ダンジョン探索に出るなどの危険が無い限り肌身離さず身に着け無くさないようにしているようだ。
ダンジョン外に出たばかりで特に急ぎの用事が無い俺はそれを軽く了承し、今は安らぎ亭というシズクの泊まる宿屋の前で待機している。
そして、少しすると身に着けていた傷のある革の鎧を脱ぎ、代わりに赤いワンピースを身に纏ったシズクが現れた。見るからに胴は軽装だが、有事に備えてかシズクの腰にはダンジョンで使われた一振りの剣が携えられていた。
しかし、それより目を見張る物があった。それはネックレス如くシズクの首に紐でぶら下がったストラップだ。
少し歪んでいるが、黒を基調とした可愛らしいクマさんのバッチ型ストラップ。にこやかな笑顔にちょっぴり見えた八重歯が可愛さを引き立てる。
普通の人が見ればただのクマのストラップ。だが、俺が見た場合は違った。
それを見ただけで数々の鮮明な記憶がよみがえった。それは、前世で回しに回しまくったガチャの記憶。
シズクの身に着けていたストラップそれは――カプセルガチャ好きしかわからない期間限定の、そしてガチャ好きの間で非常に高値で取引されるレア景品だった。
「シズク、それってもしかして……カプセルガチャ好きの祭典《ガチャフェス》の期間限定品、ニッコリベアーじゃないか!?そうなのか!?」
「え?ガチャフェス?……えっと、これはある人に貰ったもので私は特に知らなくて……」
興奮で思わずシズクの肩を掴んでいた。
対してシズクは驚き、一歩後退る。
これはまずいと思い俺はすぐさま肩から手を離し、謝罪を告げた。
「あ、ごめん」
「い、いえ大丈夫です。このストラップってそんなすごいモノなんですか?」
「うん!それもかなり!!マニアに売れば十数万は出してくれるくらいのレアものだよ!!この異世界にそれがあるなんて」
「あ、これは地球で転生した時に私が手に持っていたもので、地球である人からもらった大切なモノなんです」
「そ、そっか」
少し気持ちが落胆した。異世界にもカプセルガチャがあるのではないかと期待してしまったからだ。
しかし、異世界だから当然かと思い、立ち直るのは案外早かった。
「それ、レアものだし、文字通り二度と手に入らないものだから大切にしなよ」
「はい。絶対無くさないつもりです。(あの人はそんなすごいものをいつも……それなのに私は……)」
シズクはボソボソと何かを呟いたが、うまく聞き取れなかった。しかし、話題は既に完結しているし、シズクの独り言だろうと俺は気にせず、共にギルドへと足を運んだ。
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ギルドに到着するとカウボーイのようなウエスタン扉が俺たちを出迎えた。
ギルドはかなり広く、三階建ての一軒家を二つ並べた外観だった。血や泥の汚れが目立つ白い壁に立てかけられた木製の看板には冒険者ギルドと書き刻まれていた。
ギギギギと軋む音をたて、蝶番に止められた扉をゆっくり開けた。
小煩い喧騒が耳の奥を刺激する。ゲームセンターに行った時の様な感覚だ。慣れていないとかなりきつい。
ギルドは酒場と兼業らしく、机椅子が適度の感覚で配置されている。そのうちの空いている席を指してシズクは待つように言った。
ギルドの仕様に疎い俺が居ても仕方ないと思われたようだ。まあ、当然だろうな。
暇になった俺は何をしようか模索する。そこで結局ガチャを引いてなかったことを思い出した。
では早速といった様子でガチャを念じようとするとウエスタン扉が大きく開かれる。
そこには見覚えのある五人組が居た。
ロッドをはじめとするダンジョンで遭遇した御一行だ。まさか再開するとは。




