50回目
投稿続けて三日が経ちました。それなのに一話も書いていない。いや、一文字として書いていない作者でございます。
明日こそ、明日こそはやります
『累計50回、ガチャ及び運試しを活用していただいたため、特別ガチャを実施いたします!10000ポイントを消費することでユニークスキルがあたるガチャを一回だけ回せます!窮地の場合、現状を打破できるかもしれない、そんなあなたに合った景品しか出ない超特別なガチャをお見逃しなく!(その景品の有効活用法のガイド付き)期間残り24時間』
なんだこれは……。今まで見たことすらない表示だし、今のガチャが50回目だって初めて知ったわ。
だがしかし、どうしようか。このガチャを引くには10000ポイント。つまり、本来100回分引く予定だったガチャをこの一回に費やすということになる。説明曰く、現状を打破できるかもしれないガチャ結果をもたらしてくれるようだが、一度としてこのガチャを引いたことが無い以上、ポイントに見合ったものが貰えるかどうか判別がつかない。しかも、「かもしれない」だ。不安でしかない。
ここは安定の100回ガチャをするべきなんだろうが、前世からのガチャ魂が引けと叫んでる。俺の生死がかかってるってのに呑気な魂だ全く。はぁ、こんなのがあるなら最初運試しで引いとけばよかったなぁ……。
「クフフ、こんなところにいたのですね」
過ぎた後悔に浸ろうとしていたその時、デイルが目の前に現れた。
やば、ガチャに集中しすぎて煙像強促の像が既に消えていたことに気付かなかった!
「なにやら分身のようなものでおちょくられたようなので、私からあなたに少々本気のご褒美を差し上げましょう」
煙像強促の像による時間稼ぎが遊ばれたのだと判断したのか、デイルは小さい怒気を言葉に宿しながら攻撃のモーションに入る。
そこでほぼ反射的に俺は《先見の明》を発動させていた。何故?そう聞かれれば俺には答えるすべがない。無意識で行った行動だったのだから。だが後にして思えば感じ取ったのかもしれない。背後に迫りよる死神の気配を。
先見の明が映し出した光景は一言で言えば異常であった。刹那の間に放たれる無数の攻撃、右肘打ちからの左アッパー、足蹴りと呼吸をする暇もなく流れるように放たれる。そんな光景が目の内で広がり、よろける様な錯覚を覚える。こんな連打されたらひとたまりもない。
そして、少し先の未来を見せ終えた事で映し出される光景は攻撃される前の元の現実へと引き戻される。この後すぐに数多の攻撃が繰り出される。それを対処するにはこのスキルしかない。
「さぁ、耐えてみせなさい」
先見の明で見た通りに繰り出される幾多の手数。それに対し俺は《連撃殴打》を繰り出し、総ての攻撃を相殺するよう図った。しかし、デイルの攻撃はまだ加減されているとはいえあまりにも重く、相殺叶わず人間大にされた拳による殴打一つ一つ敢え無く散っていく。それと同時に俺の魔力はゴリゴリと削られていく。
やばい、手数が多すぎる!これ以上捌き続けると後々魔力が足りなくなるっ!仕方ない、ここでジリ貧するより多少割り切って魔力を消費するしかない!!喰らえ《竜爪》!!
刹那の攻防を繰り広げている俺とデイルの間に恐ろしいほど大きな爪痕が突如刻まれる。前触れなどあったものではなかった筈なのだが、強者の勘とでもいうのだろうか、デイルはすぐさまその場を後退し、俺との距離を大きく広げた。
「クフフ、驚きましたね。まさか今のを耐え抜き、しかも反撃までするとは。面白い、実に面白いですよ
!高ぶってきました!!」
ははは、どうも。って聞こえちゃいねぇか。今の連打26発に竜爪1発。連打は人間サイズだから1発消費魔力10。竜爪は200。合計460。大体半分くらい使っちまった。だが竜爪の200で留めたのは我ながらいい判断。だがここからどうすべきか。まだ50回ガチャの件だって消化しきれてねぇし。
とりあえず《姿隠し》と《煙像強促》の二段構えで再び時間を稼ごう。
俺は《空庫》から一番初めのボス部屋で手に入れてから全く使ってなかったMP回復ポーションを4つ取り出し、全て飲み干す。体力の方はまだ半分切ってないため、使わないで取っておく。一応今の様に逃げスキルはあるため、飲むタイミングに困ることは無いだろう。
しかし、本当にガチャの件はどっちにするべきなのか、なぁ叡智。
『決めかねます』
だよな。だが、決めなければならない。
常人ならば安定で良い景品が入っているであろう100回分を選択するだろう。当然だ、引けば今枯渇しそうなMP回復ポーションや回復薬、もしくは凄いアイテムが出てくれるかもしれない。わざわざ一回限りの10000ガチャに頼ることもない。
しかし、100回ガチャを引いたところでデイルに確実に勝てる物が出てくるとも限らない。まぁ、10000ガチャにも言える事なんだが、それでも今の俺に合った景品を有効活用ガイド付きでくれる以上、こちらも優良なのは間違いない。
100回を引かないなんて正気の沙汰じゃないだろう。バカな俺にだってわかる。狂人でなければこの状況で引かないなんてありえない。だが、それでいいのか俺?その選択で、もしデイルに負けたりしても本当に後悔はないか?いいや良くない。ガチャで後悔なんてしたくない。何故、大好きなもので妥協しなければならない?生死がかかってる?関係ないね。俺は何時までも好きなものに全力で生き続け、好きなもので死ぬ。このガチャ結果で負けたとしても俺に後悔などは生まれない。だって好きなものに対して本能に付き従ったのだから。
だから俺はこの10000ポイントガチャに賭ける!ポイントだけじゃなく、俺の命も、運命も!このガチャに全てをつぎ込む。
俺はレバーを強く握りこむ。景品を祈るためか、はたまた運命を託すためか。
レバーを一周回し終えると出てくるのは鼠色をしたの苔だらけの汚れたカプセル。到底10000つぎ込んだカプセルとは思えない代物だが、初めて見るその色に何が入っているのか。ワクワク、ドキドキさせながら中身を開けた。
『繋がる思考』
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