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スケルトンはガチャスキルで強くなる  作者: 一時二滴
第一章 ダンジョン攻略
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やらかし

後3話分投稿されます

 《視点:レイラ》



 最下層の彼奴から怪我を多少貰えどもなんとか逃げ仰せた……いや、彼奴は見るからにつまらなそうな顔をしていた。逃げ仰せたというより逃がしたの方が正しいだろう。でなければあんな化け物から私たちが逃げ仰せる筈もない。

 ここに辿り着くまでの道中では何時もより格段に強力な魔物が徘徊していた。異常だった。本来であれば鈍物と変わり無い者共が今や変貌し、私たちに冒険続行不可能なまでのダメージを与えられる個体へと進化していた。

 この事態は早急にギルドに報告すべき事項なのだが、帰還が出来ない。だから私たちは洞窟で異変に気づいた他のギルドメンバーが到着するのを待つしかなかった。


 ……


 洞窟から出る術を無くしかけている私たちが今後の方針について話し合いを繰り広げていた途中でミユのスキル《敵意察知》が、とある方向に反応したようだった。

 ミユの《敵意察知》スキルは半径100メートル以内の自身または仲間への敵意とその者の位置を勝手に且つ瞬時に知ることができる。

 念のため話し合いの内容を纏めるロッドを後回しにしてアムス達に向けて小声でこの事実を伝えた。アムス達は一瞬驚きはしたもののロッドのように反応が分かりやすい人でもないためすぐ顔を引き締めた。


「敵意を向けてきたってことは少なくとも私達の敵である可能性が限りなく高いわ。相手が警戒して辺り周辺に敵意を振り撒いていたと考えると無くもないのだけど私たちはそんなお気楽な考えができるほど余裕があるわけでもない」

「でも、もう敵意は感じないよ~?」

「感づかれた可能性も否定できないわ。何かのスキルかも……。スキルは未知なものが多いからなんとも言えないのだけど敵意を向けてきた以上警戒して損はないと思うの。一応リーダーであるロッドにも相談するけど結論は同じだと思うから、いつでも動けるように武器は用意しておいて」

「なるほど、確かにそうだな」

「ん~、了解《りょうか~い》」

「……うむ。しかし、ミユは大丈夫なのか?」

「大丈夫って??」

魔色スキル(・・・・・)のことだ」

「あ~……多分平気だよ」

「ならいいが」


 話に参加していないロッドを除くアムス、ミユ、ルーク、私の全員が提案に賛成し、行動を移すことにした。

 そして私たちの話をミユがロッドに所隠さず伝えた。


「なら一度追い詰めよう。人間なら対話を試みるだろうし、魔物ならそのまま切り捨てればいい。今の僕たちでもそのくらいはできるだろう。人間だったら素直に謝ろうか」


 ロッドの意見に私たちは異論など無く、作戦通り直ぐ様臨戦体勢に入る。その後、ロッドは威嚇するように発した。


「君は魔物か?それとも人か?」


 すると目の前の存在はその場から立ち上がった。薄暗く、ランタンの火が乏しいため洞窟の奥は光が弱く、多少朧気に揺らめいているが、よく見ればその者の手から糸のような細い何かが少しずつ伸びていた。

 私たちは警戒を一気に強める。しかし、まだ敵対行動とはとれないため用心し後方へとすり足で遠ざかりながら各人の武器を握りしめ、その者の次なるアクションを待った。

 その者は糸の様なものを一か所に纏めている様で、そこだけ山のような影が形成されていた。ある程度の積もるとその者は足を多少動かし、その場から動くのかと思うと急に一言、言葉を発した。


『ファイア』


 それは魔法名だった。その者の手のひらには一つの魔法陣が形成され、それは瞬時に姿を消し人の顔より更に大きな炎が形成された。

 手のひらは山へと向けていたため私たちは特に行動を移すことなくそれを見守っていたのだが、その者の炎は恐るべき速度で直進し形成されていた山へと衝突するが、それだけでは済まず山を貫通しそこに接する地面までも抉り砕いたのか、粉々に砕かれた砂塵が洞窟内を覆い隠すように辺り一帯を埋め尽くした。

 砂埃を被ったランタンは途端に灯火を無くす。

 私たちの視界を覆い隠すこの行動が敵対行動でない筈もなく、私たちは思考を警戒から戦闘へとシフトチェンジさせた。 

 これ以降は対話の余地など無い。火種がまだ消失しきってなかったのかランタンの火は力を取り戻し、暗闇に閉じ込められてた私たちの視界を呼び戻す。

 戦いの火蓋は切って落とされたのだった。



 《視点:スケルトン》


 いやさて、どうしようか。正直今の状態は非常に良くない。相手は警戒心強めで俺との対話を求めているようだが、俺喋れないんだよなぁ。まぁ、喋れたとしてもどっちにしろ答えにくい質問なんだけど。

 しかし、このまま沈黙を貫けば良からぬ事態になりかねない。とりあえず彼らに人のように見えるこの姿を晒し、同じ人間だと勘違いさせた後に文字でも使って対話をし、この場を乗りきたいのだが警戒している以上ヘタに近づくわけにもいかない。せめてランタンの光がもう少し強ければ……。

 いや、ランタンに代用できるものを使えばいいじゃないか。スキルに糸を生成するものはあるし、火を着ける魔法だって持っている。この二つを併用して焚火のような感じにできるのではないか?


 俺はその場を立ち上がり、指から糸を放出させ小さな糸山を形成する。その後、魔法を放とうと思うのだがこのまま放てば混沌による影響で過剰な火が形成されてしまう。

 これを解決するには構築の時間で練られてしまったエネルギーを消費しなければならない。ので、俺はその場で足をプラプラと動かす。プラプラとだけ動かそうとしていたのだがステータスが割り振られているせいで異常な速さのプラプラとなってしまっている。自分で言うのもなんだが少し気持ち悪い。

 まぁ、これで問題は解決。俺は狙いを定めるためいったん足を止め、心置きなく魔法を糸山へと放つ。


『ファイア』


 既に魔法構築のし終えた俺は種火になる様な火の玉を想像していたのだが、想像をはるかに超えた巨大な炎が形成されていた。

 炎は事前に向かう予定だった糸山へと一直線に進み、糸山を焼き焦がしながすぐに地面へと到達し、そこを容赦なしに抉る。焼き焦げ、散り散りとなった糸と地を形成していた砂利や砕けた石が煙幕のように辺りに広がっていく。


 ……もしかして、足止めないで撃たなきゃいけない感じだった??


『はい。魔法攻撃の準備をしながら俊敏に割り振ることを止めたため、終えて直ぐに練られた分が魔攻に干渉し、今の威力となりました。』


 これはやったな……。

 俺は静かに反省するのだった。


続きは明日の夜です

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