傍観タイム
やっぱ、一瞬だとしても敵意向けた相手にこの行動はあり得ないなと思い内容を少々変えました。
話し合う→寝たフリ→主人公動く→臨戦態勢
から
話し合う→臨戦態勢
に変えました。
「あなただってもう歩いていける状態じゃないわ」
「確かにな。この階層の魔物も何故かは知らないが強力になっている。アイツと戦闘を交える前の私たちならばいざ知らず今の状態では最上層まで登ることは困難を極めるだろう」
「クソッ!最下層のアイツにさえ出会わなければ……何でアンデットでもないあんな化け物が経験値の洞窟にいるんだよっ!!」
がたいの良いスキンヘッドの男。アムスは洞窟内だというのに崩落を気にせず過去の事を喚き散らす。白ローブの女はその事を咎めようとするが時既に遅く、先程まで眠りについていた水色髪に魔女帽子の少女、ミユが目を覚ましてしまった。
「ん~……」
「アムスッ!!」
「す、すまんミユ。一番疲れてるのはおめぇなのに……」
「ん、いいよ。気にしてない。レイラもそんなにアムスを怒らないで上げて、気が立ってるのは皆同じなんだから」
「そうね……ごめんなさい」
白ローブの女ことレイラはアムスに謝罪を述べた。そこからは今後どうしていくかの話が展開され、短剣持ちの黒髪青年。ロッドを中心として様々な意見を交え、脱出法方を試行錯誤していく様子となった。
しかし、このままでは少しマズイな。現在進行形で意見は交差しているが、最上層まで強行突破などというあまり現実ではない意見が飛び交う筈もなく、停滞という意見が定着していき、最終的には急激な魔物の強力化の問題点からその異変を察知した彼らの所属するギルドの救出を待とうという意見に固まりかけていた。
どうやら彼らには俺の持つ空庫と同様のスキルを保持しているようでそのスキルから溜め込んだ食料を小分けにして救助を待つことができるらしい。しかも話を盗み聞きしてみたところ俺のスキルの上位互換らしく閉まったものの時間経過を止めることができるらしい。なんとも羨ましいスキルだ。ふざけろっ。
おっと話がずれた。つまり彼らはこの場所に暫く居座るという事で、と言うことは俺がこの場所から出られない事を意味する。半数が弱っている彼ら相手ならば数による連携等が取られる事無く、単純な装化纏によるごり押しで一人ずつ潰す事ができるだろう。だが、俺自身元が人間なだけに弱っている彼らを襲うのは気が引ける。
まあ、思いの外躊躇せずに殺ることもできる気がする。今だって話し合ってる彼らの所まで飛び掛かり一人確実に殺るビジョンが頭に浮かんでいる。それを直ぐにでと行動に移せる体勢でもある。恐らくこれは元人間だった俺の思考からによるものではなく、魔物になったことによる影響を多少なりとも受けていると言うことだろうな。
そうこうしている内に彼らの話は結論に達し、当初の意見と然程変わらず『静かに待機して救出を待とう。食料はできるだけ切り詰めて戦闘の物音等による魔物が集めるような行為は避けよう』という方針に決まった。
「よし、じゃあ取りあえず見張りは私がやろう」
ロッドがそう言うとレイラが空庫の上位互換スキル《異界保管》から寝袋などを出す予定の筈だったのだがレイラは動こうとしない。ロッドが「どうした?」と心配そうな表情で口にすると隣にいたミユが彼の耳元へ静かに唇を寄せ、パクパクと口を上下に動かした。
一瞬顔を赤くしたロッドだったが、何か伝わったのか顔色を戻し一瞬俺の方を一瞥すると直ぐ様視線を切った。
……偶然か?いや、それなら何故俺の方だけを見た?タイミング的にこれは気付かれていると考える方が自然だろう。そうなるとミユって奴のスキルか?
わからない。勿論、彼らのステータスは初見で鑑定しようとした。しかし……。
《干渉を妨害されました》
この一文がステータスウィンドウにドでかく刻まれており、他のメンバーにも同様の答えが帰ってきた。だからこそ彼らの名前がわからなかったと言える。叡智によると干渉阻害系スキルかそんなアイテムを持っている奴がいる可能性が高いらしい。そのせいか洞窟の地面でさえ鑑定できない。
因みに俺を気づいた可能性のあるスキルは感知系スキルらしい。まあ、気の支配で気配散らしているのに気づけるって言うんならそんなんしかないわな。
しかし、どんな方法だろうと場所がバレている可能性が高い以上、先手を打っとくのが先決か?
……って、いやいやいや、居場所がバレてるからって今の俺は端から見れば身を黒一色で纏った怪しい仮面野郎に見えたとしても魔物には見えない。いくらでもやりようはあるだろう。少し気を抜いたら直ぐ攻撃的な危ない思考になるなんて……魔物恐るべしだな。取りあえずはジェスチャーで説得を試みようか。
だがしかし、俺が考えを行動へと移す前にロッドが何か言葉を発した。
それを機にロッドは小回りの効く短剣を、ルークは攻撃力の高そうな剣を、アムスは丈に見合わぬ小さな盾を、ミユは枝のような小さな杖を、レイラは身長と同等程大きな杖を身に付けすぐさま臨戦体勢にはいった。どうやらロッド以外には予め伝えてあったらしい。ロッドが意見を纏めてるために思案に耽っている時にでも伝えていたのだろう。彼らはロッドの様にあからさまな視線は送らなかったせいで気づかなかった。ロッドが分かりやすいからこそ最後に教えていた可能性もありえるがどうでもいい。
「君は魔物か?それとも人か?」
ロッドは俺に向かってそう尋ねた。
面白いと感じたらブックマーク又は評価をよろしくお願いします(*-ω人)
暫く更新しないかも~。




