混沌の魔石について
気分次第…気分次第…。
中身は前回と同じように真っ白な便箋に文字がズラリと並んだ状態だ。字は機械が書いたかのようにブロック体であり、かなり読みやすい。
〔やぁ、久しぶり。女性用のワンピースを着ようとした君?〕
やはりあの寒気はこの神のせいだったのか。あの服を着る勇気が俺にあったら、他人の視線など感じずに着ることができたら。ガースにも楽に勝てたかもしれない。
あとでチャレンジしてみようかな…。
〔まあ、今はそんなことはどうでもいい。それより、大変なことになってるね?あのデイルとかいう悪魔に遊ばれているんでしょ?まあ、自分の蒔いた種だからね。僕が口だす権利も助ける義務もない。〕
自分の蒔いた種?どういうことだ?まるで俺があのデイルを呼び寄せた。または産み出したみたいな感じの言い方じゃないか?
俺は自身のこの異世界へ来た以降の行いを…記憶を巡り探しだす。だが、それらしい原因のもとは俺の記憶にはない。単に忘れているだけかもしれないが、この短期間で、しかも俺の記憶のなかで一番濃厚な生。忘れることなど考えにくい。
〔何故あの悪魔がいるのか、何が原因か、今はそんなことを考えているでしょ?そのくらいわかるさ。神だもの。〕
なんかムカつくな。手紙のくせに。
〔まあ、あの悪魔がいる原因について教える前に、まずは混沌について教えないとね。そうすればついでに混沌の魔石についても教えられるしね〕
そうだ。混沌の魔石だ。あれはなんなんだ?叡智の説明も役にたたなかったし。
〔まず、混沌っていうのは神魔が均等に混ざりあったことを表す言葉なんだ。つまり、混沌の魔石ってのは神と魔の成分が混ざりあった魔石のことだ。
曲がりなりにも神の成分とそれと対等な魔の成分が混じっているからね。混沌を体内に取り込んだりした場合、その者は絶大なる力を得る。その影響で君のステータスにちょっとした異常が起きてしまったんだ。〕
ふむ。なら俺は今現在絶大な力を得てるということか!?でも、それにしては魔石を取り込んでからあまり変化が見られないけど…。
疑問を表すポーズをしようと顎に手を当てながら手紙を読み続ける。
〔勘違いしてそうだから書いとくけど、混沌は条件を満たさないとその力を得られないんだよ。混沌の魔石の場合は魔石を一定数取り込むってところかな。〕
魔石を一定数…か。空庫にある程度入ってるけど、あれで足りるかな?多分、ガースの魔石みたいに触れれば取り込めると思うし、後で試してみよ。
〔まあ、混沌の魔石についてはこの辺にして、今度はあの悪魔。デイルについてだ。〕
デイルは俺が原因みたいな言い方をしていたが、なんなのだろう。
〔あの悪魔は元々違う生物。現在の君と同じ魔物だったんだよ。〕
まず、悪魔と魔物の違いがピンとこないな。
〔魔物だったけど、ある日突然その姿を変え、悪魔へと変貌した。その原因が君にあるんだよ。〕
ふむふむ、その原因とは?
〔その前に問おう。魔物にした初日、君に渡した手紙は何処にある?〕
あー、あれはいつの間にか無くなってたな。もしかしてそれが!?
〔そう、その手紙が原因なのさ!君がうっかり落としていったあの手紙がね!〕
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