運試し
爆発による土煙が消えるとガースが声にならない悲鳴を上げながら顔をゆがめていた。
背中は爆発により少し抉れていたのだが自己治癒のおかげですぐに元の状態に戻っていた。
自己治癒やべーな。それより今のって自爆か?叡智。
『はい。ガースはスキル《自爆》を使用し、背中を爆発させたようです』
ふーん。って、時間ないんだった!
俺はすぐさま駆け出し、ガースのもとへ行く。
ガースは俺が近づいてくることに気付き、カウンターとして拳をこちらに向かわせて来る。
俺はその拳をするりとかわし、右手に持つ剣で空気を切り裂きながらガースの首元へと運んでいく。
ガースはもう片方の右腕で防ごうと動かしたが、すでに腕はないため、肩だけが動くだけだった。
剣はガースの首へと入り込み、どんどんと進んでいく。剣は奥へ奥へと入り込んでいき、ついには骨まで到達した。
骨まで到達した剣はそのまま首の骨ごと叩き切るように思えた。しかし、予想外のことが起きた。
なんと剣の刃がいきなり破裂し、粉々になったのだ。
俺はガースのスキル《自爆》かと思ったのだが、閃光や爆発は起きなかったため、その考えは除外した。
なら何故と頭の中で考えたが剣の刃のとこが真っ黒に染まていることに気付き、破者の剣の寿命だと知った。
ガースは最初は苦しそうにしていたものの、自己治癒により切られた呼吸器官が再生したため、すぐに元の表情に戻り、剣がなくなった俺を見てにやりと笑った。
やっば!早く逃げないと!
俺が地面を蹴って逃げるよりも早くにガースは俺の身体を足で蹴った。
俺はその攻撃により吹っ飛び、後方へと飛ばされた。
俺は地面に何度も跳ねながら後方へ行き、少し転がった後、静止した。
俺が止まったのとほぼ同時に無機質で機械のようなアナウンスが流れる。
『10分経過いたしました。そのためステータスは元に戻ります。そしてスキルの使用が解放されました。これより10分後にあなたは気絶し、それと同時に12時間ほどステータスは10分の1になります』
あ、あぶねぇ。もし蹴られる前に10分経ってたら死んでた。でもこれからどうすればいい。武器もない。スキルもめぼしいものがない。
俺は考えを模索する。
そんな俺は関係ないとガースは走ってくる。
先程飛ばされて距離があるといってもガースの速さを考えればほとんど時間がない。
俺は必死に考える。
糸操作でガースの足を絡ませる。いや、強度が足りない。隠密で隠れて攻撃する。ダメージを与えるすべがない。素直に死ぬ。論外だ。じゃあガチャは。ポイントは278。2回引けるが当たる確率が低い。打開できるスキルが出るかどうか。いや、あのスキルなら。
俺は瞬歩を使い、その場から離れ、ガースより少々遠いところに移動する。
そして、短時間だけでも安全が確保できたのを確認し、とあるスキルを使う。
その名は《運試し》。俺がこの世界に来ていまだに使ったことのないスキルであり、この状況を打破できる可能性が一番高いスキルである。
このスキルはガチャと同じような効果であるが、違うところが2つある。
一つはポイントの使用量。このスキルはガチャと同じような効果であるのにポイントの消費量がガチャより70も低いのである。これだけであればメリットであり、ガチャの上位互換とでも言えただろう。しかし、これは運試し。運を試すだけなのだ。ガチャのようにずっとスキルや物が残ったりしない。これが2つ目の違い。制限時間である。
このスキルで手に入れたものはガチャとは違い、1時間だけしか顕現できず、1時間たつと消滅してしまうのだ。
これはデメリットというわけではないが、俺はこの効果がないと助かるのである。だが、この効果がなくなるとガチャの存在意義がなくなってしまう。本当に下位互換になってしまう。
そんなことはさておき、俺は叡智に残しとけと言われていたポイントを使い、ガチャは顕現せずに頭の中で回す。
頭の中ではとても立派なガチャ演出があり、まるでスマホゲームのガチャを頭の中から見ているような感覚だった。
俺は頭の中で計9回ガチャを引き、その景品を頭の中だけで確認しようとする。
すると景品は頭の中で整理され、見やすいように並べられた。
スキル:料理
擬態
諸刃の剣
不老
吸収
装備:汚れたボロ服一式
炎熱の盾
アイテム:回復薬(超級)
混沌の魔石
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