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傘
雨上がり、差したままの赤い傘が一つ
灰色のアスファルトの上、華やかに咲いている
傘の中笑顔が二つ
一つは僕の、もう一つは君の
僕が何も言わないのは、君が何も言わないから
あんなことがあったのに、君が笑うから
君の呼吸が続く限り、君の心がどうであっても
流れる今日を悲しいほどに愛しく思う。
いつもよりも沈黙が騒がしいと感じる
次の言葉が待ち遠しいのかな
あなたのその笑顔が僕の心を許すなら
せめてこの傘の中では、あなたを許して欲しい
あなたの笑顔があなたの心を隠してた
あなたのその呼吸があなたを苦しめるなら
あばたのその笑顔があなたを悲しませるなら
その前に抱きしめに行こう
傘の中で揺れる君を見て、僕はそう誓ったんだ




