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君のいない朝
「おはよう」
誰もいない部屋につぶやいた。
今日も、いつもと変わらない朝が来る。
嫌なことがあった日も、いいことがあった日も、時間はとまってくれない。
「もぅいいや。」「めんどくさい」
口癖になった言葉たち。
かつて嫌いだった言葉。今では、大切な存在。
どうすれば元に戻れたのだろう。
いつからこうなってしまったのだろう。
そんなことを考えながら、今日も私は無駄な時間を浪費していく。
まどろむ私に、もう一人の私が問いかける。
「誰かに笑われるのが怖いの?」
「誰とも話したくないの?」
「自分を押し殺してない?」
「本当にそれでいいの?」
かつてはあった疑問達も、今は胸の奥深く。
今日もまた、彼のいるあの場所へ。
もう少しだけ休んだら支度をしよう。
もう少しだけ心の整理がついたら。
もう少しだけ泣いたら。
もう少しだけ笑えたら。
きっとまた彼の前に笑顔で出られるようになるから。