62/355
鉛筆
ある日僕は、鉛筆になった。
なぜなのかはわからない。
少年に買われ、削られた。
少年は、僕を大切に使ってくれた。
授業では黒板を写し
友達と一緒にお絵かきをし
好きな女の子にラブレターも書いた。
字は汚かったけど、いつも心はこもっていた。
削られるたびに、僕は少しずつ小さくなっていく。
もう覚悟はできている。
鉛筆になったからには、短くなって、いつかは捨てられることも。
僕は満足だ。
君といた短い時間
きっと君は、すぐに忘れてしまうだろう。
でも僕は忘れない。
もし、生まれ変わることができたのなら、次は人間になって
君と、おしゃべりしてみたいな。




