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星
彼と二人、道を歩いていた。
会ったのはただの偶然。彼氏でもない、ただの友達。
彼にとって私は、ただの友達。
彼は、私の気持ちなんて、きっと知らない。
ベンチに座ってコーヒーを飲んだ。
「星がきれいだね」
彼がそう言い、すっと上を見上げる。
ただの世間話、彼にとっては時間を潰すだけの言葉。
見上げた夜空には、星がきらめいていた。
この黒い絨毯の上に、いったいいくつの星が散りばめられているのか。
すべての星を数え終わるまで、生きてゆきたい。
ずっとずっと、あなたと、二人で。