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独咲花
小さく咲いた花は
どこまでも孤独
体には刺
花弁には惑香
蜜には毒を
初めて知った存在は
自らの手では届かぬ者
その蜜の味は
いくらほどに甘美なものなのだろうか
自らに触れるものも
ましてその蜜を味わうものなど
いるはずのない存在
他者を知って
孤独を知った
孤独に咲く小さな花
その花弁は人を惑わし
刺は迷い込んだものを離さない
蜜の毒は甘美でそれゆえに近づく者を殺してしまうのだろう
たとえ花がそれを望まなくとも
自らに近づかんとする
その者を
守るがゆえに遠ざける
孤独を知りて
孤独を願う
恋を嫌った花の話




