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花火
最後の8月。
君といられる最後の夏祭り。
ふいに上がった花火、夢中で見てる君の顔を、私はそっと盗み見ていた。
「君のこと、嫌いになれたらいいのに」
そうつぶやいた私を、君は不思議そうに見つめる。
その目を見てるだけで、悲しくなって。
思わずこぼれた涙、君は微笑みながら拭ってくれたね。
「だいじょうぶ」
そう言ってくれた君の声は、もう聞こえない。
こんな気持ち、知らなきゃよかった。
もう忘れよう、君のこと、全部。
どうしてこんなに好きになってしまったんだろう。
目を閉じたら、すぐそこに君がいるようで。
ずっと忘れられない。
君と見ていたあの花火。
あの夏の日を。




