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創造神と破壊神のゲーム 駒は勇者と魔王  作者: N・T
2章 創造神の1手
8/19

神託

人類は絶望していた。


 ある街にいる有名で力のある占い師が魔王の誕生を予言したためだ。


 そしてその予言は当たり、今まで以上に魔物たちの動きが活発化した。


 ある者はこの世を嘆き自らその命を絶ち、ある者は暴徒と化した。しかし大多数の者は希望を捨てなかった。


 人間たちは国同士の連携を深め、魔王と対立を表明したエルフやドワーフとの同盟関係を築きあげていった。そうした努力が実り“数ある大国”は魔物とのパワーバランスを保つことに成功した。


 またそのパワーバランスを崩し、攻勢に出れるための大きな力が生まれた。


“勇者”の誕生である。





マリオン王国~王の寝室~


「エリーゼ、具合はどうだ?」


「ええ、だいぶ良くなりました。それにいつまでも横になっているわけにもいけませんわ。だって、母親になったのですから」


 そう言って横に眠る我が子に視線を向ける。そこにはすやすやと気持ちよさそうに眠る赤ん坊がいた。


 この国の王、カーチェス=マリオンとその妻エリーゼの第1子として生まれた王子。名をクリスと付けられた勇者である。







 その後、王子はすくすくと育ち10歳となった。


 今日は王子の誕生日。国を挙げてのお祭りです。王族とそれを取り巻く数十人の有力者が国で一番大きい教会に来ていた。


 これから教会の大司教様から洗礼の儀式を受ける王子を見るためだ。“勇者”を一目見ようと教会の外にも人だかりが出来ていた。


 本堂正義はため息をついた。弟の放った凶弾に倒れ死亡し、神と名乗る者によってこの世界に勇者として転生させられた。転生したこの体はクリスと名付けられて今日で10歳を迎える。


 国の外で魔物が跋扈する中、俺は暖かい王宮の中で贅沢暮らし。前世では秀才ではあったがその生活は一般人と変わらなかった正義はその生活に慣れるまで苦労した。


 さて、洗礼が始まった。多くの大人たちが見守る中、俺は祭壇の前に立ち教えられた作法通りに膝をつく。


 その俺に祝福の言葉が贈られ聖水を頭にかけられる。それで洗礼は終わるはずだった。


 洗礼を執り行っていた司教様が終わりを告げた瞬間、その人が突然倒れた。一時騒然となり彼を助けようと数人が駆けつける。彼の名を呼びかけるが反応がない。


 すると突然彼が起き上がった。


 悲鳴が上がる教会。


 だがそれは仕方がないと思う。彼が手も使わずふわりと浮き上がったのだから。


「驚かせて済みません」


その声にさらに人々は怯える。彼の声ではなかったのだ。彼の唇は全く動いてない。しかし声ははっきりとこちらに届く。


「クリス、私の声が聞こえますか」


なんと俺を名指しされた。


「我が名はフォルメラ。創造神フォルメラです」


その言葉を聞いた教会関係者は驚嘆しあるものは涙を流して喜んだ。自分たちが信じる神の声を拝聴できる機会に巡り合えたことに歓喜したのだ。


「クリス、あなたは勇者として生み出しましたが今はまだ力なき子供です。今回の魔王はあなた同様生まれたてのため彼の地で力をつけています」


「神よ、我らはどうすれば…」


不安に駆られた誰かが神に問う。


「ならばこちらも力を付けるのです。クリス、あなたに力を授けます。その力を使いこなしなさい。しかし相手は魔王だけではありません。あなた一人だけではどう足掻いても敗北は免れないでしょう」


「ならばその役目は私が担いましょう。我が子を見殺しにする親はおりません。王として、いえ一人の親として息子を支援いたします」


その声を聞いて創造神は微笑んだ気がした。


「ではクリス、約束通り力を与えます」


 そして俺の体が光に包まれ、そして消えた。何が変わったのだろうか?わからない。


「では、頑張るのですよ」


 そう言って司教さんが地面に降りてきてそのまま倒れた。彼は恭しく別の部屋に運ばれた。洗礼の儀式が一転、神様からの神託を受けることになるとは…


 大人たちはすぐさま行動に移った。各国に文を出し協力関係の強化や軍の強化など矢継ぎ早に指示を出していく。


 俺も明日から剣の稽古と魔法の勉強を受けることとなった。

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