魔王軍
玉座に座り俺に向かって平伏する魔物たちを一望し、忠誠を誓う旨を伝えてくる。
中でも顕著だったのはやはり先ほど俺が手を下したオークだった。俺が殺したのは族長の息子だったらしいが俺に対して刃を向けた以上殺されても仕方ないという。しかし、オークの存続は認めて欲しいとオークの代表団9名が床に頭をこすりつけて懇願する姿はさすがに引いた。
「わかった、なら俺の役に立つことを証明して見せろ」
そう言って退出を促した。オークの族長の表情は一族皆殺しを回避できて喜んだのかどうやって役に立つことを証明するかで悩んでいるのかそれはわからなかった。
まだまだ俺への拝謁は終わらないからすぐにオークのことなど忘れたんだがな。
「疲れた」
ようやく魔物どもの拝謁が終わった。
「お疲れ様です。我が主」
玉座の間にいるのは俺と目の前にいる4体だけ。
悪魔と共にこの部屋に入ると玉座の前で残りの3体が魔物どもを捌いていたのだ。話を聞くと俺が誕生してから今までこの城には俺に拝謁しようと上級の魔物から続々と集まってきてようやく下級の者たちが拝謁に訪れるようになったとか。下級のやつらは上級のやつらと違い魔法での転移や高速移動などの特殊能力を持たず移動が徒歩のためこんなにも遅くなるのだとか。
ならもっと早い時期に部屋から出てくれば良かったかと言うとその場合上級のやつらが嬉々として反乱を起こしていた可能性が高かったという。
で、やっぱりそういう奴らが数人出たらしい。
そいつらがどうなったかは聞かなくてもわかる。こうして何事もなく下級の魔物どもの拝謁を行っているのが証拠だ。
話を戻そう、魔物どもとの拝謁が終わりこれから軍の編成に取り掛かるとのこと。俺を頂点とし、幹部4体を大将とした4軍が出来上がる予定だとか。
しかし肝心なことを忘れていた。こいつらの名前を聞いていない。
竜騎士ラプラス・ドーラ
八獣ヤコブ
死者の王ファルス
悪魔公爵ファウル
「ラプラス、ヤコブ、ファルス、ファウル。この世界を混沌へと帰すぞ!」
そう宣言し4体の幹部は目を瞑り膝を付いてその命を心に刻んだ。そして後に死の軍団と呼ばれる魔王軍が発足した。