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創造神と破壊神のゲーム 駒は勇者と魔王  作者: N・T
3章 盤面は黒く染まる
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豚の死亡報告

一部残酷なシーンがあるので注意してください。

「そうですか、死にましたか」


部下からの報告を聞き、笑みを浮かべる影が一つ。


「しかしそれだとヤコブさんは大層お怒りでしょうね。人間の住む場所が何個地図から消えるでしょう」


「私もそのように思います」

「まぁ人間の住む場所がどうなろうとこちらに問題はありませんしね。向こうは向こう、私たちは予定通りこの城壁を切り崩し向こうに見える城を落とすことです」


「は、我らが王のために」



__________


「キュキュキュギュー」

「豚が死んだか」

「キュァ?」

「いや、怒りはない。相手が強かった、ただそれだけだ」

「グルルルル」

「そうだな、王より力を戴いて街の一つも落とせなかったのだ。所詮その程度だったのだろう」


 魔王より力を貰ったあのオークの動向を探るため部下に監視をさせ今その死が報告された。

『二体の死体を喰らって魔人まで進化しその上で死んだか』

 ラプラスはいま戦場のど真ん中を歩いていた。だが此の場にラプラスを満足させる者はいなかった。


 ラプラスはため息を吐き背中の剣を無造作に振り下ろした。それだけで剣から衝撃波が起こり大量の人を巻き込みながら彼らが守る砦を跡形もなく消し飛ばした。

 その一撃で呆気無く勝敗は決した。

 生き残った兵士たちは余りの戦力差に剣を、槍を自ら手放し飛竜の餌となった。


「もう終わりか。死んだとは言え、血沸き肉踊るような強者と合いまみえたオークが羨ましい」

 ラプラスはそう呟き戦場は竜たちによる蹂躙が始まった。


__________


「はぁ?オークが死んだだぁ!ふざけるな!」

 その報告を聞いたヤコブはその報告をした部下の首を刎ね、周りの岩や木々に当り散らす。

 怒り狂ったヤコブに周りの者たちは怯えヤコブの機嫌が治まるのをただ黙って待つしかなかった。


「畜生、どこのどいつだ!このヤコブ様がただじゃおかねぇ」

 そう言い憂さを晴らすように高く積み上げられた肉の山を黙々と食うのだった。そうそれはヤコブの戦利品、ヤコブは後方でふんぞり返って待つようなタイプではない、部下と一緒に最前線で血を流す方がイキイキするようなタイプである、だからこの肉はヤコブによって敗れた戦士の死体、街を落とされ無抵抗に蹂躙された女、子供の死体だった。


「クフフフ、機嫌悪そうですね、ヤコブさん」

「てめぇ、なんで此処にいやがる!」

「それはもちろん、王から力をもらった豚があっさり死んだのでそれを笑いに」

「死にてぇみたいだな」

「クフフ、面白いですね。弱い獣は地に這いつくばって尻尾を振るのがお似合いですよ?」

 その言葉をきっかけにヤコブはファウルに高速で飛びかかったがファウルはそれを魔力による瞬間移動で躱す。だがヤコブは躱されるのは織り込み済みとばかりに移動した先に向けて大技を放つ。


「獅子之咆吼」


 下級の魔獣ならそれはただ吠えただけ、だがヤコブのそれは音の衝撃波となって相手を襲う。しかもヤコブの魔素をふんだんに含むその音の衝撃波は相手の体の細胞自体を攻撃する。

 並の生物ならこれで体が塵と化すのだがファウルはそれを受けてもそこに平然と立っていた。

「いきなりこの技ですか」

「貴様と長時間話などしたくないからな」

「つれないですねぇ、憂さ晴らしの相手をしてあげたのに」

「頼んだ覚えはない」


「………」

「………」


「ではおふざけはここまでにしましょうか、そうしないと周りにいるあなたの部下が私とあなたの気に当てられて死んでしまいそうですし」

 情けないことにヤコブの部下である魔獣たちはこちらを取り囲むように円形に陣を取っていたのだがそのほとんどが気絶し、遠くに離れていて気絶をまぬがれた個体もガタガタと震え怯える始末。

「情けない奴らだ」

 そう言ってヤコブは切って捨てた。

「こちらの計画通りすべての地点でこちらの勝ちです。なので私たちは帰還ですね」

「そんな事言いにわざわざ来たのか」

「ええ、ついでですから。言ったでしょ?笑いに来たって」

「死ね」

ヤコブはファウルの首を飛ばした。

ファウルはその攻撃を避けることも防御することもしなかった。ファウルの体は首を跳ねられた事によって光となって消えた。


「分身体のくせに俺の技くらって消し飛ばせず、伝言が終わったから分身体は用済み、なら俺に処分させる、か」

 同じ四天王であってもそこには腸が煮え返るような圧倒的な力の差が存在していた。

「見ていろ、いつかあの高みに登りあいつを引きずり下ろしてやる」



__________


 オーク死亡の報告を聞いたのはもう一人。そう、力を授けた魔王その人である。

「進化したハイオークを倒した光をまとった少年と少女。だがこれはオークの族長が死亡した2体を取り込みさらに進化を遂げ戦闘。だがさすがに俺の魔素3体分はオークでは身がもたなかったか結果は相打ち、死体は生き残った人間たちに回収されたと…」

「はい、我が王。その少年少女の方は一応私が呪いを掛けておりますので心配はないかと」

「いや、おそらく無事だろう」

「なんと!私の呪いが効かないと?」

「ああ、おそらく奴は勇者だろう。複数いるのでどれがとは言えんが必ず一人は生き残る。やつはこの俺を殺すための神が作った駒だ。簡単に死にはせん」

「勇者ですか、しかし勇者といえどこの状況を打破できるとは思えませんが」

「それなら別に問題ない。赤子の勇者を始末して世界を終わらせる。それだけだ」

「クフフフ、その世界が楽しみでございます」

そんな言葉を聞きながら魔王は地下にやってきた。




『勇者が動き出した。つまり兄が動き俺が力を貸したオークと相打ちとなって呪いを受けたか。どうした兄さん、このままだと簡単に俺の勝ちだぞ?まぁそれならそれで俺は構わないけどな』

 魔王である俺は薄く笑い瞑想へと入った。

ご愛読ありがとうございました。

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