後始末の金策は・・・
あの森林火災から早一週間。関係各所が手を回し被害の規模を把握し全力で対処してきた。
そして王城にある俺の部屋でダインと今回の火災の犯人であるマリーの2人が初めて顔を合わせた。
ついでだがこの一週間の間に軍の方でも人事異動が起こりダインは晴れて俺の直属の部下になった。
「へ~、あんたがあの火災の犯人の“自称”天才魔道士様ですか」
「う、うるさいわね。王子の直属って言っても私と同い年で下っ端兵士のくせに、誰だって失敗ぐらいするわよ」
「………」
「………」
「は、反省はしてるわよ。もちろん」
「はいはい、そうですか。じゃぁ取り敢えずこの一週間での被害額の報告でもしますか。まあ俺ら軍の活躍で街道での被害は6件のみでいずれも軽傷で死者は出ませんでした」
「ああ、それだけが救いだね」
「続けます。人的被害は少ないのですが作物の方の被害が甚大です。今のところ被害額は100万ゴールドですがまだ増える可能性があります」
そう言ってダインはマリーの方を見て笑った。
「うぅ、会議で決まったとは言え被害額の4分の1を負担するなんて」
「マリーはまだ4分の1で済んで良かったと思った方がいい。しかも金銭で解決できるんだから」
「ああ、俺も聞いた話だけど被害に遭った人の関係者が犯人を厳罰に処せって怒鳴り込んできたらしい」
「ええ、それはジョセフ老師から聞いてるわ。刑は何とか免れたけど被害額の一部は払うことになったって」
「で、マリーはその金額を支払う宛がないと」
「そりゃそうだよな、俺らまだ10歳と12歳の子供だもんな才能とコネで職には就いてるけど25万は大金だよな」
「しかもまだ増える可能性があるし…」
「と、いうことでマリーも俺の部下になる」
「へっ?」
「えっ?」
「だからマリーもダインと同じで俺の部下、王子直属ね。そのためにこの部屋に呼んだんだから」
「何がなんだかわからないわ」
「俺も、話の速さについていけねぇ」
「で、マリーの金策だけどそれについては考えてある。取り敢えず二人共旅支度をしておいてくれ」
「「旅支度?」」
「そう、この国の王子としてというより勇者として隣国デリバフに行くことが決まった。出発は準備があるからまだ2週間ほど後になるから」
「あぁ、わかった」
こうして隣国デリバフに行くことになったがそこで勇者としての戦いの火蓋が切られることになるとは思いもよらなかった。