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創造神と破壊神のゲーム 駒は勇者と魔王  作者: N・T
2章 創造神の1手
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森の消火活動

「くそっ、思ったより火の回りが早い」


 外出するために着ていた外套で口を隠し煙と熱波から身を守りながら水魔法で消火活動を続けているが焼け石に水の状態だ。


「水よ 波となりて現れよ ウォーターウェーブ」

 ジュゥと音を立てて火が消えるが燃え残っている場所から広がる火の手の方が圧倒的に多い。


「あとウォーターウェーブが10発ぐらいか」

 魔力の残量を計算する。まぁ魔力が大量に残っていても初級の魔法しか使えないのなら現状はあまり変わらないのだが。

「そろそろ離脱も考えなければな」


 残った魔力を全て使って消火活動を続けるのは愚策、馬鹿のする事だ。ここは森の中、今も森に住む動物や魔物の姿がちらほら確認できる。この火のおかげで奴らは逃げ惑っているが逃げた先で遭遇したとき戦う力がなければこっちがやられる。


 消火活動を打ち切り城下の方へ抜ける。街では森が燃えている事を知らせる鐘の音が鳴り商人や街の者たちが野次馬のように集まってきている。

「まだ応援は来てないのか」

 そう悪態をついていると野次馬の者たちがこちらを指差してなにか叫んでいるのが見えた。

 なんだと思って振り返ると一匹のアグリーボアがこちらに向かって走って来ている。この火事で興奮しているのだろう成体で全長2m、高さは1、3mぐらいか、そんな大物がこちらに一直線に突っ込んでくる。


「火よ ここに集え ファイヤーボール」

 俺は向かってくる猪に火の魔法をお見舞いした。

「ギィィィ」


 当たった瞬間アグリーボアは声を上げたが厚い脂肪と毛皮に阻まれほとんどダメージがないようだ。しかもその攻撃で完全にこちらをターゲットと認識されたようで逃げられない。 逃げたところでアグリーボアは時速40キロで走れる今から全力で城下に向けて走っても途中で追いつかれ跳ねとばされるだろう。

 

 覚悟を決めて腰の剣を抜くが握った手は小刻みに震え汗が滲み、腰は完全に引けていた。勇者といえどまだ10歳、魔物と対峙し打ち勝つにはまだ経験が圧倒的に足りなかった。


「・・・・・・・・・」

 後ろから大声で誰かが叫んでいる。だが今は後ろを振り向くことはできないそれは死を意味するからだ。

 長いと感じたアグリーボアとの対峙、しかしその視界の横を大きな影が通り過ぎていった。

 それは鎧を着込み馬に乗った一人の騎士だった。その人はアグリーボアをすれ違いざま持っていた長槍で突き刺した。

「ブギャ?」


 たった一突き、ただそれだけでアグリーボアは地面に倒れピクピクと動いていたが最後は息絶えた。騎士は槍にベッタリと付いた血を振り払いこちらにゆっくりと近づいてきた。


「クリス王子、お怪我はありませんか?」

「はい、大丈夫です。援護ありがとうございます、ギルバート将軍」


 フルフェイスの兜を被っていた為顔がわからなかったが声で気付いた。見ると続々と軍の人たちが駆けつけているところだった。


「1軍は火を消す魔術師を守れ、一匹足りとも魔物を通すな!2軍から以下はこのまま外道沿いに展開、森から出てくる魔物や動物から人々を守れ!」


 将軍の号令の下、二手に分かれて展開した。俺は将軍の横で事態の収束を見守ることになった。


「「風よ 水よ 我らの願いを聞き届け 嵐よまきおこれ 風よ吹き荒れよ 水よ豪雨となって降り注げ 雷雨をここに 彼の地に災害をもたらせ テンペストストーム」」


 魔術師たちの合同魔法が放たれる。

 燃える森の上空の空に分厚い黒い雷雨が形成される。そして森に雨が降り注ぐ。今日は風が強いのだが魔術師たちが作った雷雨は風に流されることもほかの場所に被害が及ぶこともなかった。

 火の勢いはみるみる小さくなりやがて鎮火した。それを確認した魔術師達はすぐさま魔法を解除して嵐の被害を最小限にとどめた。


「見たかマリー、これが上級の魔法をコントロールするということじゃ。今まで何度も口を酸っぱくしておったのにこのような事態を起こすとは、お前はもう一度、王子と一緒に初級から基礎をやり直せ」

「はい、ジョセフ師匠」

 見るとマリーがジョセフ老師に大目玉を食らっているところが見えた。


こうして森の消火活動は終わった。

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