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第三章

「いやはや、何とも大変なことになってきましたね」

 公園のブランコを揺らしながら、彩音は息をついた。太ももの上には愛用のタブレットが置かれ、バックライトがあわく画面を照らしていた。その液晶には冴崎から聞いた一連の霊害に関する情報がまとめられていた。

 『暗がりの男』。全ては長臣雄介が用水路で事故死したことに始まった。この件に関して全く事件性はないらしい。死体からアルコールが大量に検出されたことから、泥酔して用水路に落ち、溺死したものとされていた。そしてその死体を第一の犠牲者、工藤楓が発見する。初めて見る死体に強く感情を揺さぶられた工藤楓は、そのことで長臣雄介の霊と波長を合わせてしまった。結果、工藤楓の想いを反映した『暗がりの男』にとり憑かれ命を落とすことになる。

 しかし話はそこで終わらなかった。工藤楓の死後、彼女から話を聞いた友人の一人、蓮杖美保のもとにも『暗がりの男』が現れ、同様にとり殺してしまったのである。さらに連鎖は続き、蓮杖美保の次は、彼女の家庭教師を務めていた大学生の竿田勝也が犠牲になっていた。

「既に3人が『暗がりの男』にとり殺されているわけですね。三人目の犠牲者が死体で見つかったのはつい2日前。過去の三名は共通して、一週間ほどとり憑かれた後に殺されています。四人目がいるとすれば、早急に手を打たなければ、手遅れになってしまいます」

「だから今こうして情報を集める準備してんだろうが。お前もちょっとは手伝え」

 既に日の暮れた公園、誰もいない広場の真ん中で夜鷹は一人地面に向かっていた。家から持ってきた荷物を傍らに置き、何やらごそごそと作業している。冴崎から話を聞き終わるなり連れまわされ、その間説明は何も受けていない彩音には夜鷹が何をしているのかわからない。そのためすることもなく傍目に怪しい光景をブランコに腰掛けながら眺めていた。

「手伝うも何も、私は夜鷹さんが何をやってらっしゃるのかまるで見当もつかないのですが。あれですか? 何故か急に童心に帰ってしまわれたとか」

「あー、そうそう。そうだよ。だから手伝え」

「ツッコミ一つくらい面倒がらないでくださいよ。それに童心に帰った方の何を手伝えばいいんですか。一緒に土のお山でも作ればいいんですか」

「あー、もうやかましいな。じゃあもう手伝わなくていいから黙ってろ。そのままそこでブランコこいでパンツでも見せてろ」

「んなっ! 何見てるんですか! お金とりますよ!」

「見えてねえよ。言っただけだ。大体金とれる程のもんじゃねえだろうが」

「私のパンツを舐めないでください!」

「字面的にとんでもない変態に聞こえるな、それ……。あー、まあ、いいや」

 呆れて手を止めた夜鷹だったが、それ以上言葉を繋げるのも面倒くさがり、また作業に戻っていった。さっきから夜鷹がしているのは、木刀の柄を使って割り箸を土に埋め込んでいることだった。およそ3メートルごとに4本、ちょうど正方形になるように打ち込まれていた。割り箸を打ち終わると、今度はその一本一本に凧糸を結びつけ始めた。ぴんと張るように一周し、最終的に割り箸と凧糸で四角く区切られた空間が出来上がった。

「おい、先輩からもらったアレ。失くしてないだろうな」

「ええ、もちろん持ってますよ。それと正確には借りたものです。大事なコレクションらしいですからね」

 彩音が胸ポケットから取り出したのは小さなビニール袋に入れられた髪留めだった。冴崎から借り受けたものだが、冴崎が使っていたものというわけではない。第二の犠牲者、蓮杖美保の遺品である。どういう経路で手に入れたのかわからないが、こういった霊害にまつわる物品を集めるのも冴崎の趣味らしい。正直あまりいい趣味とは思えなかった。

「それ持ってこの中に入れ。あとその持ち主の名前ってなんつったっけ」

「蓮杖美保さんです」

「漢字はどう書く」

「睡蓮の蓮、錫杖の杖、美しく保つで蓮杖美保です」

「蓮の字のしんにょうって点いくつだ?」

「略字なら一つですけど、正式には二つですね」

「ちなみに本名だろうな」

「この方が普段から名前を偽って生きなければならないような事情をお持ちでないのなら、そうでしょうね。ちなみに極々一般の家庭に生まれた、どこにでもいるような子だそうですよ」

「そうか」

 彩音の説明を受けて、夜鷹は犠牲者の名前をメモ用紙に書きつけた。書き終わるとそれを凧糸にテープでとりつける。最後に、枠の中に入ってきた彩音から遺品を預かり、中央の盆の上に置いた。それで一応準備は完了らしかったが、何の準備なのかはついぞわからなかった。

「いい加減に何をしているのか、教えてもらえませんか。そもそも情報を集めるって、これは一体何の儀式ですか。どこかのお友達と交信でもするんですか」

「そんな大層なもんじゃねえよ。これは部屋だ。蓮杖美保のな」

「はあ。部屋、ですか……」

 そう言われても、とてもこの空間が女子中学生の私室には見えてこなかった。子供のおままごとでも、もう少しましな間取りを作るだろう。

「あくまで象徴だけどな。隔離された空間と、持ち主を証明するものがあれば霊相手には充分だ。連中はイメージやシンボルだけでやってるようなもんだから」

「それで、女子中学生の部屋に土足で上がり込んで何をするんですか? 部屋の物色ですか?」

「そうじゃねえよ、ハゲ。これからその蓮杖ってやつの霊を呼ぶんだよ」

 呆れたようにそう言って夜鷹は土の上も構わず胡坐をかいて座り込んだ。彩音も習って、夜鷹の隣にしゃがみこむ。はげてませんよ、と一応抗議しておいた。

 一連の霊害事件は全て『暗がりの男』の話を聞いた人間に起こっている。しかし冴崎の調べでは3人目の被害者、竿田勝也のまわりにはそういった話を聞いたものがいないらしい。そのため冴崎をしても次の連鎖が誰に繋がるのか絞り込めないでいた。怪談が途切れて、それで霊害が止まるのならそれに越したことはないが、見知らぬ誰かにとり憑いていては対応が後手にまわってしまう。そこで夜鷹は何かしら情報を得られないかと、直接犠牲者たちの声を聞くことにしたのだという。

「霊を呼ぶって、口寄せってやつですか? あの有名な。あ、なるほど、この遺品はそのために必要だったんですね! 何ともはや、夜鷹さんてばそんな器用なこともできたんですね。木刀振りまわすしか能がないのかと思ってましたよ」

 いきなり遺品を持っていないかと言いだしたときは何を考えているのかと思った。(そして本当に持っていた冴崎にびびった)まさかそんな意図があったとは。

「いや違う。口寄せなんて大それたことはできねえし、遺品を使うのは別のことだ」

 そんな意図はなかった。期待した分、ひどくがっかりした。

「……じゃあ、どうやって霊を呼ぶっていうんですか」

「俺の霊媒体質、普段抑えてる分を解放してここいらにいる霊を全部集めるんだよ」

「ここいらにいる霊って……!」

 言われて思い至る。彩音はすぐさまタブレットの機能を使って、今いる場所の住所を確認した。思ったとおり、この公園は蓮杖美保が死体で見つかった通りのすぐ近くだった。

「霊障で死んだ奴は自身も霊としてこの世に留まることが多い。霊体の影響を受けるからかな。そもそもまだ49日も経ってねえし。ここで網を張れば十中八九捕まるだろうぜ」

「なるほどなるほど。でもそれって大変なことになっちゃいませんか? 余計なものもたくさんひっかかるような」

「まあ、来るだろうな。だからこの部屋だ」

「はあ。部屋、ですか……」

 何度言われようと、このみすぼらしい空間が部屋に見えることはなかった。しかも幾多の霊に囲まれる事態を想定すれば、これほど頼りないものはない。しかし夜鷹は自作の部屋に相当の自信があるようだった。彩音の疑わしげな目も気にせず、説明を続けた。

「本来、霊ってのは他人の領域には入れないものなんだよ。入口を開け放してたり、入る許可を与えない限りな。プライベートスペースってのはそれだけで一つの結界なんだ。この名札と本人の持ち物がある以上、霊たちにとってここは蓮杖の部屋だ。他の霊をはじいて、蓮杖だけを通す作りなんだよ」

「それにしたって、これじゃああまりにも貧相すぎやしませんか? せめてほら、塩を盛るとか、お札貼るとか」

「あんまり強くしすぎたら、蓮杖本人も入ってこれなくなるだろうが。まあ安心してろ、この結界壊せるような霊はそういねえよ」

「……ちなみに、もしいたらどうなるんですか。この結界を壊せるような強い霊が」

「ん、ああ、そのときは二人揃っておしまいだろうな。そんなレベルの相手、俺の手には負えねえから」

 そのセリフを受けて、どう安心しろというのか。彩音はせめて新しいお守りでも買っておくんだったと後悔していた。

「そういえば、全然考えてなかったんですけど今回の『暗がりの男』って、夜鷹さんから見て対処できそうな相手ですか?」

「さあな。実際に見てみねえとわからねえが、まあ大丈夫じゃねえの? 霊害の度合いを聞く感じ、怨霊ではなさそうだし。ただの悪霊なら多分いけるだろ」

「多分、ですか。それはまた随分と頼りになるお言葉ですね」

「じゃあ、きっと」

「願望入ってるじゃないですか」

「うるせえなあ。大丈夫だっつってんだろうが。いいからそこらの処理は俺に任せて、お前は隅っこで土遊びでもしてろ」

 根拠もなく言い切り、夜鷹は話を打ち切った。その自信は歴戦の経験からくるものか、それとも考えることを面倒がっただけか。判断のつかない彩音としては後者でないことをただ願うだけだった。

「それで仮に蓮杖さんの霊とコンタクトが成功したとして、有力な情報は得られるんですか?」

「それも、どうだろうな。五分五分ってとこだろう。まだ日は浅いと言っても、霊害で死んだ奴は魂が歪んでることがあるからな。まともに会話できるかどうかもわからん」

「もしかして急に襲いかかってきたりして……」

「ああ、あるかもな。だとしてもただの中学生ごとき大した相手でもねえよ。ついでに成仏させてやるさ。今回は先輩のおかげで名前もわかってるからな。祓うだけじゃなくて、清めて終わらせられる」

「祓う、清める……? あ、除霊と浄霊のことですか? それなら研修で習いましたよ」

 彩音はタブレットを操作し、研修期間中に使った教材のデータを引き出した。

霊を処理する方法は大別すると二つに分けられる。一つは祓う、もしくは除霊と呼ばれるものだ。「祓う」とはもともと「払う」に通じ、文字通り霊を特定の場所や人間から追い払うことを意味する。ただ遠ざけるだけで根本的な解決には至っていないが、霊害に遭う確率の低さから、多くの霊能者は祓うだけで済ますことが多い。

 そしてもう一つが清める、あるいは浄霊と呼ばれるものである。こちらは先に対して幽霊を完全に消滅させるものを指す。説法や対話をもって成仏させる方法と、直接ダメージを与えて魂を破壊する方法がある。無論夜鷹は後者のやり方である。原因を取り除くため二次霊害の危険はなくなるが、その分除霊よりも条件は厳しくなり、失敗の可能性も高くなる。

「俺の師匠は人里に下りた熊に例えてたな。熊を捕まえて山に帰すのが祓いで、射殺してしまうのが清めだと。どちらがいいかは自分で考えろ、とも言ってたっけか」

「なるほどなるほど。で、その浄霊を行うのには名前が必要なんですね」

「俺の場合はな。霊ってのはおぼろげな連中だから、ただ殴るだけじゃ霧や靄を散らすようなもんで本質まで届かねえんだよ。祓うだけならそれでいいが、清めようとなると相手の核に攻撃を届けなくちゃいけない。名前ってのはそういうあやふやなものを型にはめる鎖で、そいつの存在を表す象徴なんだ。忌み名とか、そういうアレが……、まあ、そんな感じだ」

 途中まで饒舌に話していたが、最後は尻切れトンボに終わってしまった。

「面倒になったからって端折らないでくださいよ。せっかくそれっぽい講釈垂れてたのに。夜鷹さんが唯一胸を張って人に教えられる分野なんですよ」

 胸を張って話せるのが、大声で話せないようなオカルトだけとは何ともやるせない。しかも今回に限っては面倒になったからやめたのではなかった。

「違えよ。ほれ、きたぞ」

 夜鷹はくいっと顎をしゃくり、結界の外側を示した。しかし彩音には夜の公園しか目に入らない。月明かりのおかげで園内は見渡せるが、動くものは何も見つからなかった。

「……もしかして、もう来てるんですか?」

「かなりな。夜の墓場じぇねえが、運動会ができそうだ」

 20、いや30か。夜鷹は目に映る霊の数をざっと数えた。姿を現わせないほど微弱なものを含めれば、もっと増えるだろう。視覚よりも霊をとらえやすい聴覚はさらにひどかった。ラッシュ時の駅に座り込んでいるような、騒々しさに包まれる。どれも人の言葉を発してはいるが、支離滅裂で意味はわからない。中には甲高い笑い声や、低いうめき声を上げるだけのものもいる。霊として長く居続けたために自我を失い始めている連中だ。

 喧騒に辟易しながらも、夜鷹はそれらしい霊を探した。蓮杖の顔は知らないが、女子中学生ということはわかっていた。冴崎の話では、学校からの帰宅途中に捕まってしまったという。ならば、霊体は死ぬ直前、学生服を着た姿になっている可能性が高い。群れ集う霊体の中から、該当するものを絞り込んでいった。

 一方、彩音の方もようやくまわりの状況を認識し始めていた。まだ直視できるわけではないが、ちらちらと視界の端に足やら手が見え隠れする。何を話しているかまでは聞き取れないが、ぼそぼそと声も聞こえ始めていた。

「いやいやいやいや……。これ、本当に大丈夫なんですか……?」

 彩音の霊感は人並み程度のものだった。協会の研修である程度認識できるよう訓練は受けたが、それでも相性によってはどうしても見ることができないことがある。夜鷹たち霊能者を審査する際、一番苦労したのは自分も見ることができる審査場所を探すことだった。

 自分の能力を把握している彩音は、それゆえに現状の異常さを理解していた。この結界の外には一体どれほどの霊が溢れかえっているのか。本当にこんな粗末な結界で大丈夫なのか。今にもぷつりと切れてしまうような気がして、ついつい何度も凧糸を目でなぞった。

 そうして結界を何周した時のことだろうか。先ほどまでなかったはずのものが視界に入り目を止めた。

 それは足だった。それも子供の、可愛らしい靴を履いた小さな両足が、凧糸の向こうに立っていた。彩音は吸い上げられるように目線を上げた。いたのはやはり小さな子供だった。青いスモックを着て、黄色い帽子をかぶっている。帽子のゴム紐が伸びてびろびろになっているところまで見てとれた。あまりにはっきり見える姿に、彩音はどこかの子供が入ってきたのではないかと思った。慌てて声をかけようとして、彩音は子供と正面から目があった。黒い瞳は夜の闇を映し、見ているだけで思考を奪われる程に暗い。覗き込めば覗き込むほどに、ぼんやりと意識が薄れていった。

「あんまり目を合わすな。憑かれるぞ」

 夜鷹の声に我に返り、彩音は振り返った。夜鷹は変わらず胡坐をかいて背を見せていたが、顔だけ半分こちらに向けていた。肩に担いだ木刀がゆらゆらと揺れていた。

「あ、あの、この子って、やっぱり……」

「今この公園に生きてる人間は俺とお前だけだ」

 遠回しに夜鷹は肯定した。もう顔も向けておらず、木刀を持っていない方の手をひらひらと振ってあしらった。かまうな、ということらしい。

「で、でもこんなはっきり見えるんですよ? これ、本当に幽霊なんですか?」

「波長が会っただけだろ。ガキの霊は女子供と相性がいいんだ」

 彩音は恐る恐る子供に向き直る。目を合わせないように確認するが、何度見ても本当にそこにいるようにはっきりと見ることができた。夜鷹の部屋で見たお守り様も明瞭に見ることはできたが、こちらはまだ生気が感じられるほど存在感があった。どうにも気になりちらちらと盗み見てしまう。

 そうやって様子を窺っていると、子供の霊は突然ぶるりと震えた。そして次の瞬間には、その場に別の子供が立っていた。さっきまでいた子供と同じスモックに帽子をかぶっているが、顔も体格も明らかに別人だった。事態が飲み込めず、ぽかんとする彩音の前で子供は何度も震えた。その度ごとに別の子供が現れ、それぞれが真っ黒な目を彩音に向けてきた。とうとう最後にはいくつもの子供がダブって見えるようになった。テレビのゴースト現象さながらに、いくつもの顔が重なって見える。違うのは、その全てが別の顔ということだ。透けて見える霊体ではなく、実体を持って見えるだけになおさら気持ちの悪い光景だった。

「やけに存在がでかいと思ったらそのガキ、複合霊かよ。どうりで」

 再度、背後から夜鷹の声がかかった。振り向くと嫌なものを見た、という顔で夜鷹が一人納得していた。

「ふ、複合霊って、確か複数の魂が集まって一つの塊を作ってる霊のこと、でしたっけ?」

「ああ。一度に大勢死ぬような事故とかがあるとよくできる。あとは稀だが、魂をとりこむ類の悪霊にとり殺されたときとかにもなるな。下手に同情とかして憑かれるなよ。個々の境界が曖昧な奴らは、祓うのが難しいんだから」

 彩音の身を心配しているというよりも、面倒事を嫌っての注意だった。子供の霊というのはとかく同情の対象にされやすい。彩音も気にしているそぶりを見せていたので、念のため釘を刺しておいた。しかし夜鷹の危惧に反して、当の彩音は晴れやかに笑っていた。

「大丈夫ですよ。私、他人に同情とかしたことないですから」

「……そうかよ。それなら安心だ」

 人としてどうかとは思ったが、そこまでは口に出さなかった。すっかり死人に見慣れて、心動かなくなった夜鷹も似たようなものと言えばそうだったからだ。

 ろくでもないのはお互い様か。自嘲気味に口の端を歪め、夜鷹は夜の月を見上げた。


「来ませんねぇ……」

 夜の公園に座り込み始めてから既に一時間。しかし目的の霊は一向に現れなかった。いい加減しゃがみ疲れて、彩音も地面に腰を下ろしていた。夜鷹に至ってはもう横になって肩ひじをついていた。その寝転がりっぷりには休日のお父さんのような貫禄があった。

「これ、どのくらい待つものなんですか?」

「早いときは10分でくる。遅いときは一晩かかる」

「それって最悪、夜鷹さんと一晩明かさなきゃいけないってことですか」

「気持ち悪い言い方すんな。嫌なら帰れよ」

 しっしっと手を振って帰宅を促した。共に夜を明かすのが嫌なのは夜鷹も同じだった。万が一変な噂でも立てられたらうっとおしいことこの上ない。

「こんな幽霊だらけの中、どうやって帰れっていうんですか。大体、こんな長丁場になるなら事前に言ってくださいよ。そりゃあ夜鷹さんみたいな図太く鈍感な人なら、着の身着のまま富士の樹海に叩きこんでも平然としているでしょうけど。私のような繊細で純情な乙女ともなるとコンビニに出かけるのにも準備がいるくらいなんですから」

「お前は着の身着のまま富士の火口に叩きこんでも平気そうだがな」

 しかし実際のところ夜になると少し冷え込んできた。5月とはいえ日中との温度差が夜風に乗ってしみ込んでくる。これなら上着の一つでも用意した方が良かったかもしれない。加えて二人はオカルト研究部でもらった紅茶と飴から飲まず食わずでここまで来ていた。普段なら既に夕食をとっている時間帯で、小腹の空き具合は紛らわしようもない段階まできていた。

「ちなみにお前、俺が気を利かせて上着をかけてやってりしたらどう思う?」

「気味が悪いと思います」

「だろうな」

「気持ちも悪いし、気色も悪いし、気分も悪いと思います」

「そんなにか……」

 予想はしていたが何気にちょっとショックだった。にこにこと笑いながら善意を拒絶する彩音を見て、金輪際こいつにだけは気を利かすまいと夜鷹は固く誓った。

「それよりもどっちかと言うとお腹のほうがピンチです。試しに聞いてみますけど夜鷹さん、何か口に入れるもの持ってませんか?」

「ないことはないが……、我慢してろ。ダイエットだと思え」

「無理な食事制限は逆にスタイルを崩すんですよ。そもそも私のどこにダイエットが必要だって言うんですか。もったいぶらないで分けてくださいよ」

「じゃあ、ほらよ」

 仕方なく、夜鷹は横に置いてあったビニール袋を彩音に渡した。中には夜鷹が家から持ってきた割り箸や凧糸の残りが放り込まれていた。しわくちゃな袋を見るに、普段からこの袋の中にセットとしてまとめているらしい。

「……これでも舐めてろってことですか?」

「一応、口には入るだろうが」

 そしてそれらの下に食塩が袋ごと突っ込まれていた。透明なビニールに表面の青い文字。どこの台所にも置いてある市販の食塩だった。開けた口を輪ゴムで止めてあるのがなおさら家庭的だった。恐らく霊に使うために持ってきたものだろうが、どうにも雰囲気がない。荒塩とまではいかなくても、せめてそれらしい袋に入れておいてほしかった。

 しかしビニール袋の中にはそれ以上に気になるものが入っていた。ガラスの容器に入った透明な液体。飲み物かと思い、いそいそと取り出したそれは日本酒のワンカップだった。

「うわうわうわうわ、これお酒じゃないですか。いやはや不良だ不良だとは思っていましたが、まさか飲酒にまで手を染めているなんて。あーあ、これはもう言い逃れできませんね。自分の担当が素行不良者だなんて非常に残念な限りです。しかし普通なら缶チューハイやらカクテルやらで悦に浸っている年頃でしょうに、日本酒とはまた渋いというかおっさん臭いというか……」

「清め用に決まってんだろ、バカ」

 手首だけを返して、彩音の頭に木刀を落とした。平面の部分がおでこに当たり、ベチンといい音がした。彩音の手から落ちたビニールが、がさがさと音を立てた。少し遅れて、彩音の目じりにジワリと涙が浮かんだ。

「まったあなたは! ポカポカポカポカ人の頭を何だと思ってるんですか! いい加減にしないと訴えますよ、本当に!」

「ちょっと黙れ」

「な、何ですかその言い草は! 一方的に暴力を振るっておいて、そんな――」

「そうじゃねえ。気付かねえか? 何か変だ」

 気付けば夜鷹は体を起こして木刀を構えていた。中腰でいつでも動ける体制のまま周囲を窺っている。ただならぬ様子に慌てて彩音も立ち上がった。夜鷹に倣い、周囲を観察した。そういえば、さっきから霊の話声が聞こえてこない。園内を見回しても影の一つも見当たらなくなっていた。

「これ、霊がいなくなってるんですか?」

「いや、いる。わかりづらくなってるだけだ」

 眉間にしわを寄せながら夜鷹が答えた。普段は嫌でも目に入る霊が目をこらさなければ見えない。耳に届く声も何かに遮られたようにくぐもって聞こえる。この状態には覚えがあった。夜鷹はちっと舌打ちをした。彩音が取り落としたビニールを引き寄せ、手探りでワンカップを掴みとった。

「でかいのが来たぞ。他の波長をかき消すような奴だ」

 その時二人の間にぬるりと風が吹いた。先刻までの夜風とは違う、人肌のように生温かい風だった。吐息を吐きかけられたような気持ち悪さに彩音は身震いをした。手足にぽつぽつと鳥肌が立ち始める。言いようのない怖気に思わず肩を抱いた。

「よ、夜鷹さん! そこ!」

「ああ」

 彩音が指差す先、四方を囲む凧糸の一本が不自然にまでに震えていた。そこだけが強風にさらされているようにブルブルと小刻みに動き続ける。しかしその振動は他の糸には一切伝わっていない。その一辺だけが意志を持ったように暴れていた。

「っ! おいおい、どうなってんだこりゃ」

 木刀を構えていた夜鷹が突然声を上げた。驚愕に目を見開き、口元は半笑いに歪む。その両目が何もない空間を凝視していた。

「な、何です? どうしたんですか?」

「いや、何つーか……、予想外の事態だ」

 じりじりと後ろに下がりながら、片手でワンカップの取っ手を持ち上げる。木刀は正面に構えたまま、口を使ってワンカップの蓋を外した。

「入ってきやがった。しかも、こいつは……!」

 空に明るい月が雲の陰に隠れた。降り注いでいた月光が止み、公園を静かな暗闇が包み込んだ。音は何も聞こえない。騒がしかった霊の声も、風の音も。バタバタと震えていた凧糸もいつの間にか止まっていた。

 その静寂の闇の中に顔が浮かび上がった。生気のない青白い顔色。落ち窪んだ無明の瞳。気色の読めない表情。その全てが記憶に新しく、見覚えがあった。

「く、暗がりの……男……!?」

「……だよな、やっぱり」

 それは冴崎に見せてもらった写真の顔だった。画像が粗く白黒の画像だったが間違いない。全ての元凶となった長臣雄介の死相だった。

「そんな、何で……!」

 完全に想定外の事態に彩音は狼狽した。後ずさりしすぎて、危うく結界から転び出るところだった。後ろへ倒れそうな体を立て直し、夜鷹の後ろに張り付くように身を隠した。

「何で! 何でここに『暗がりの男』が出るんですか!」

「知らねえよ。散歩中だったんじゃねえの?」

「というかそもそもこの結界内には入ってこれなかったんじゃないんですか!? 思いっきり入っちゃってるじゃないですか!」

「はは、びっくりだよな」

「笑い事ですか! 驚きすぎて死ぬかと思いましたよ!」

 彩音にがくがくと揺さぶられても、夜鷹の視線は『暗がりの男』から外れなかった。自分の間合いを確認し、相手との距離を確かめた。死者と生者の距離感にはズレがある。目に見えている相手が本当にそこにいるとは限らない。全神経を集中して相手の気配を感じ取る。背後の彩音はほとんど相手にしていなかった。

「何か、あれじゃねえの? 結界とか法術とかが効きにくい奴だったんじゃねえの? わかんねえけど」

「どんだけ適当なんですか! どうするんですか、もうこれ完全に逃げ場ないんですよ!」

 結界は3m四方程の狭い空間。合わせて、今は見えていないが外には夜鷹が呼び寄せた霊体がうじゃうじゃいる。中にいるわけにも、外に出るわけにもいかない。二人は完全に動けない状況に閉じ込められていた。

「どうするだの逃げれないだの、何寝ぼけたこと言ってんだ、お前は」

 そんな状況の中でも、夜鷹は笑った。嬉しそうに目を細め、攻撃的に口元を吊り上げる。ワンカップの酒を一口含み、木刀の刀身に吹きかけた。残った酒はワンカップごと結界の隅に放り捨てた。

「ぶちのめす相手がわざわざ向こうから来てくれたんだぜ? いいじゃねえか、話が早くて。こういう面倒がない奴は大歓迎だ」

 言うが早いか、夜鷹の足が『暗がりの男』を蹴り飛ばしていた。暗闇にまぎれて見えないが、みぞおちの部分を貫いたらしい。『暗がりの男』は体をくの字に曲げて結界の外に転がり出た。

「んなっ……!」

「一応、体はあるらしいな」

 足をぷらぷらと振り、夜鷹は今しがたの感触を確かめていた。完全に空虚というわけではないが、実体がある程はっきりしたものでもなかった。確実にダメージを与えるには、やはり顔への攻撃が必要のようだと思考を組み立てていく。

「夜鷹さん、糸が!」

 彩音の声に振り向くと凧糸の一本が荒れ狂っていた。即座に木刀を振りかぶり、間合いを詰める。まだ姿は見えないが、確かに存在は感じられた。止まっているはずの呼吸を読み、タイミングを合わせる。

「っおらぁ!」

 気合い一声、袈裟切りに木刀を振り下ろした。何もない空間に突如顔が浮かび上がる。同時にそのこめかみを切っ先が打ち抜いた。男の顔にひびが入り、黒い液体があふれ出た。

 そして初めて男の表情が変わった。顔面をぐしゃぐしゃに歪め、遠吠えのような叫び声をあげた。人のものとは思えない、実際に人のものではない咆哮に空気が震え、彩音は尻もちをついた。

「やかましい!!」

 それ以上の大声で夜鷹が吠えた。胴体があるはずの空間を左から薙ぎつける。暗闇が折れ曲がり、男の表情が苦悶に染まった。追撃を試みて夜鷹が再度木刀を構えた。その腕をつかむように暗闇が伸びる。夜鷹は後方に飛びつつ、木刀で黒い陰を払いのけた。

「塩!」

「は、はい!」

 後ろに伸ばした片手に、すかさず彩音が食塩を手渡した。ゴムも外さず、袋ごと放りあげる。夜鷹と『暗がりの男』の中間、目線よりやや高い位置で木刀を叩きつけた。ビニールが破れ、食塩がまき散らされた。食塩は『暗がりの男』に触れるとバチバチと音を立て青白く発光した。『暗がりの男』は身を震わせ、倒れこむように結界の外に逃げた。しばしの静寂が公園に戻った。

「や、やったんですか?」

「まだ全然だ。あんなもん足止め程度にしかならねえ。だが、勝機は見えたぜ」

 結界を抜けられると言っても、完全に無視できるわけではないようだ。通り抜けるのに時間がかかるし、その際に凧糸が震えて知らせてくれる。後はその方向に備えておけばいい。結界という限られた空間が、ここまでは逆にうまく働いていた。このパターンを繰り返せば労せず浄霊できるだろう。

「……いや、そう簡単にはいかねえか」

「こ、これって……!」

 夜鷹の考えに異を唱えるように、四方を囲む凧糸が一斉に震え始めた。前後左右、どの糸にも違いが見られない。どれも同じようにバタバタと音を立てて振動し続けていた。夜鷹は瞬時にそれを視認すると、同時並行で頭を巡らせた。霊体にはこちらの常識など通用しない。特に理性を失い変質している霊体は人間離れした動きを見せる。分身の3つや4つ、平然とやってのけてもおかしくない。

「と、思わせてこっちだろうが!」

 脳内を走る理屈を投げ捨て、夜鷹は自分の直感に従った。破れた袋に残っていた塩をつかみ、上に向かって投げつけた。バチイと火花が散り、闇がりに浮かぶ顔を照らした。上から覆いかぶさる男を、身を捻ってかわす。回転の勢いをそのままに回し蹴りを叩きこんだ。しかし『暗がりの男』は動じず、足首に締め付けられる感触が返ってきた。腕の形をした陰が、夜鷹の足を捕えていた。

「っ!」

 力任せに引きずられ、夜鷹は地面を転がった。結界から飛び出るぎりぎりで何とか勢いを殺した。身を起こす背後に張り付くような無数の気配を感じる。もし外に出れば群がる霊群に身動きも取れなくなるだろう。さすがに冷や汗が湧きあがった。

「っと、これは、ちとまずいな」

 転がされた夜鷹の眼前、黒い影がゆらりと立ち上った。角に追い込むように陰影を両手のように広げ、足音もなく近づいてくる。しかもまずいことに夜鷹は投げ出されたはずみで完全に腰を地につけてしまっていた。ここから立ち上がろうとすればどうしても一瞬無防備な間ができてしまう。その隙を見逃してもらえるというのは甘い見通しだろう。

 これが結界の角でなければ、転がって距離をとりつつ立ち上がることもできるが、現状ではそれもままならない。もう少し大きく作るべきだったかと夜鷹は少しだけ後悔したが、今となってはどうしようもない。

(あいつは……、いや、使えねえな)

 咄嗟に彩音に助力を請うことを考えたが、瞬時に打ち消した。ちょうど『暗がりの男』の後ろにいるため見えないが、恐らく使い物になる状態ではないだろうと判断した。加えて今攻撃の対象が彩音に移った場合、夜鷹はすぐに助けることができない。いけすかない相手ではあるが、非戦闘要員を危険にさらすような真似は出来なかった。

 次に浮かんだのは木刀を投げつけ、気を引くという案だったが、これもリスクが高い。夜鷹の今の体勢からではまともに投げられるとは思えなかった。勢いも大したものではないだろうし、ハズレでもしたら目も当てられない。続く戦闘を考えればここで武器を失くすことは避けておきたかった。

 いっそダメ元で眼つぶしをかけるか、と地面にやった手に冷たいものが触れた。一瞬の驚愕の後、夜鷹はそれが何かを理解した。ついで、その口元に嗜虐的な笑みが浮かんだ。

「そういやお前、確か酒に酔って溺れたんだってな」

 夜鷹は腰を地面に下ろしたまま、迫りくる影に話しかけた。相手からの返事はない。既に手の届く距離まで近づいた影はぞわぞわと波打ちながら、夜鷹の様子を探るように揺らめいていた。

「まあ一杯やれよ。ちょっと少ないかもしれねえがな」

 そう言って夜鷹は腕を振り上げた。その手にはさっき投げ捨てたワンカップがあった。カップの中に残った酒が暗い影に降りかかる。ほんのわずかな残り酒、それでも効果は目に見えて明らかだった。ゴウッと音を立てて、酒のかかった部分に白い炎が上がる。男は一際大きな叫び声をあげ、身をよじった。人には聞こえない、異形の声が響き渡った。

「ポイ捨てした酒に救われるとはな。これも日頃の行いが悪いおかげか」

 カップを捨て夜鷹はゆっくりと立ち上がった。ゴキゴキと首を鳴らして、振り乱される頭を冷徹に見据える。そしてそのまま動きまわる頭の根元、喉を狙って木刀を突き刺した。男の動きが止まり、がくんと膝をつくように宙に浮かぶ顔面が下がった。その顔面に照準を合わせ、夜鷹は木刀を上段に振りあげた。自分の間合いの中、次の瞬間には打ち下ろせる状態のまま夜鷹は冷ややかに語りかけた。

「長臣雄介、だっけか。一応聞いといてやるよ。何か言い残すことはあるか」

 夜鷹の声に、『暗がりの男』はゆっくりと顔をあげた。その口からは呻き声とも唸り声ともつかない声が漏れていた。数秒の間、夜鷹はただ黙って『暗がりの男』を見下ろしていた。一切の憐みを持たず、ただ静かに最期の言葉を待った。それでも最後まで『暗がりの男』は言葉を発しなかった。人ならざるそれは既に人の言葉を失っていた。

「……哀れなもんだな」

 感情を込めずに言い捨て、夜鷹は木刀を振り下ろした。全体重をかけた一撃は男の頭にめり込み、粉々に粉砕した。陶器が割れるような音とともに破片が飛び散る。男の欠片が消えるにつれて、男を包んでいた暗闇もゆっくりと晴れて行った。

「お、終わった……んですか……?」

 完全に置いてけぼりをくらっていた彩音がおずおずと声を出した。もう消えてしまっているが、男のいた場所には近づかないよう遠回りしながら恐々と近づいてくる。

「ああ、完全に浄霊した。一片も残ってねえよ」

 そう言って手に残った感覚を思い返す。手ごたえは確かにあったし、『暗がりの男』の気配はもうどこにも感じられない。3名の命を奪った悪霊、長臣雄介は完全にこの世から消えていた。

「じゃあじゃあじゃあじゃあ! これで任務完了なんですね! はぁー、一時はどうなる事かと思いましたが、まさか話を聞いて一晩で終わらせてしまうなんて! いやいやいやいや、さすがは夜鷹さんですね。私は初めからあなたは凄い人だと思ってましたよ。お見事です!」

「おだてるんじゃねえよ。うっとおしい」

 何秒か遅れて、彩音がはしゃぎたてた。夜鷹も夜鷹で、悪態をつきながら嬉しそうににやついていた。他人から褒められるのには慣れていないらしい。照れ隠しに一度大きく伸びをした。それから木刀を地面に突き立てると、周りを見渡して息をついた。

「さて、それじゃあ後はこいつらが帰るのを待つだけだな」

「へ? こいつらって」

「結界まわりの奴らだよ。もう力は抑えてるから、そのうちどっか行くはずだ」

 そう言って、夜鷹はまた地面に胡坐をかいて座った。『暗がりの男』の干渉が無くなったため、辺りには再度幾多の気配が蠢き始めていた。というかさっきよりも多くなってきている気がした。

「……お聞きしますが、どのくらいかかるものなんですか。いなくなるのに」

「早いときは10分。遅いときは一晩かかる」

 雲から顔を出した月が、優しく二人の影を照らしていた。雑霊が引ききり、二人が帰路に着いたのはそれから3時間後のことだった。


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