ー第6話ー
"キャラせってい"に髪と目の色を加えました
キャラの容姿については少しずつ加えて行きますので…
創輝やミューリたちは、全員で出発前の夕飯を楽しんでいた
「さあ、明日はシュライクに行くんだから、早く寝なくちゃ」
夕飯があらかた無くなったのを見てケイラが切り出した
学園があるシュライクという街は、俗に言う首都や王都で、王様が住み、政治の中心地になっている
ここエシュリケートはフラークが王様に認められ、この地を任されて今に至る
そのため、シュライクとエシュリケートは距離が近いのと王族との結びつきが強いことから、交流も盛んだ
「ほら、ハシュー!!部屋に行くよー!!」
「はーい!!」
ミューリとハシューが走って部屋から出て行く
「あっ!!創輝はちょっと待って」
ケイラが創輝を呼び止める
「何?」
「今夜、家の裏の森に湖があるんだけど、そこに行ってみるといいわ」
「今夜!?」
「そう、今夜じゃないとだめ」
「今夜を逃すとだめなんだよ、行ってくれるかい?」
「父さんと母さんがそこまで言うなら行くよ」
「そうか、ありがとう」
「じゃあ、俺も部屋に戻るね」
創輝はそう言うと、部屋に戻っていった
「これでいいのよね?」
「ああ、彼には知る権利があるよ、それに創輝ならもしかしたら…」
「そうね…というか私は彼以上の適任者は居ないと思えてきたわ」
「確かに」
そう言って、2人は笑いあった
風呂に入って寝る準備をして、創輝は皆を起こさないように静かに屋敷を出る
裏庭にまわって、森へ向かう
近くには小川が流れ、空には満月が浮かんでいる
(川沿いに行けば湖に着くか?)
創輝は小川を頼りに森へと入っていった……
少し進むと大きな湖が見えてきた
創輝は湖のほとりを少し歩いて進むと木の陰に人がいた
創輝が近づいて行くとちょうど月明かりが差し込んでくる
そこに居たのは……
「ミューリ?」
創輝が駆け寄ろうとすると
「うぅ!!…うぐっ!!」
ミューリが急に苦しみだした
「おい!!ミューリ!!大丈b「き、来ちゃだめっ」……!?」
ミューリの髪がだんだん紫色に変わっていき、目も紫色になる
「うああああぁぁぁ!!」
そして、突然強い力がミューリから発せられる
(なんていう気の量……こっちで言うなら魔力か?)
創輝も体から気を発し、吹き飛ばされないようにし少しずつミューリに近づいていく
「落ち着け!!ミューリ!!自分を見失うな!!」
「ああああ!!…嫌っ…来ないで…見ないで!!」
「こんな状態でほっとけるか!!…くっ!!」
創輝は少しずつミューリに近づいていく
「こんな醜い私は見られたくなかった!!」
「醜いなんてことあるもんか!!」
「嘘だ!!」
「嘘じゃない!!」
「だって…だってこんなに邪悪な色…」
「俺にはっ!!…綺麗に見えるけどな…」
「っ!?…そんな…そんなわけ…」
創輝はミューリに手を伸ばし、抱きしめた
「そんなに自分を卑下するもんじゃないよ」
「でも…」
「俺を吹き飛ばしそうになるほどに強いじゃないか」
「こんなの、満月で強くなると制御できない魔力なんて…」
「それでも、ミューリの魔力なのに違いない」
「いくら強くても、もう誰かに虐げられるのはいやだよ…」
「ミューリを酷く言うやつは俺が許さないから…」
創輝ミューリの頭にポンと手を乗せて言った
「ズルいよ、今そんなこと///どうしてそんなに優しいの?」
「優しいのはミューリだってそうじゃん」
「えっ!?」
「いくら助けられたとはいえ、見ず知らずの人の"異世界から来た"なんていう話を信じくれて、衣食住も提供してくれる人なんてそうそう居ないでしょう?それと、知り合って数日の俺を信じて一緒にシャドナルと戦って、ピンチのときに守ってくれたりさ」
「それは、創輝のことが……」
「それに、こうやって湖に来てるのはまだコントロールできないその力で誰かを傷つけたくないから何だろ?」
「っ!?……うん…」
「もう1人で抱えこまなくていいよ…何があっても俺はミューリの味方だ」
「うん」
「俺じゃ頼りないけどさ、何かあったらできるだけ力になるから…」
「そんなことないよ…創輝が味方になってくれたら怖いもの無しだよ…創輝!!」
「ん?」
「ありがとっ!!」
その瞬間ミューリから発せられていた魔力の質が変化する
先程の攻撃的な物から優しく包み込むように、それでいて力強い
そして、髪が紫から水色に、目がピンクになっていく
「ど、どうしたの!?私のこと見つめて///」
「いや、髪と目の色が…」
「えっ…やっぱり嫌な色d「いやそうじゃなくて!!」えっ!?」
「髪が水色に…目がピンクに…なっていく…」
「ええっ!?」
ミューリは手鏡を取り出し確認する
「ほ、ホントだ!!」
そして、とうとう完全に色が変わる
「か、可愛い……」
「ふぇっ!?」
「えっ!?…いやっ…そのっ…つい本音がって違くて、えぇーっとだな」
「……私……可愛い?」
「あ、あぁ…まぁ、てかミューリなんかキャラ変わってないか?」
「…そんなことない」
「そうか?」
ミューリはこくんと頷く
「…そうき」
「何?」
「…好き」
「はい?」
「…好き」
「み、ミューr「好き」」
「そ、そうか」
「…そうきは?」
「へっ!?」
「私のこと…好き?」
ミューリは顔を傾げて聞く
「まぁ、好きだよ(友達として)」
「むぅ……鈍感」
ミューリは頬を膨らませ、いじけたように答える
「何が!?」
「…でも、好き」
「あ、あぁ」
「…やっぱり分かってない」
「だから何が!?」
「…しょうがない…それなら…」
突然ミューリが創輝を押し倒した
「み、ミューリ!?」
「…創輝に分かってもらう」
「な、何をするんだ!?」
「…ふふっ…分かってるくせに」
「ちょっ!?」
ミューリが顔をゆっくりと近づけてくる
「ミューリ!!お、落ち着け!!」
2人の顔がくっつきそうなほど接近したところでミューリが元の金髪と茶色の目に戻る
「み、ミューリ?」
「っ!?///」
ミューリの顔が真っ赤に染まり、創輝から離れる
「えーっと…これはそのっ!!…自分でも止まらなかったというか…わかんなくて…あぁーっと」
「う、うん、き、気にしてないから」
「ご、ゴメン…」
「嫌いになった?」
「まさか、もう忘れたのか?」
「えっ?」
「何があっても、俺はミューリの味方だって言っただろ?」
「そうだったね」
「そろそろ帰ろうか?」
「そうだね」
2人は屋敷に向かって歩き出す
「あっ、創輝!!」
「ん?何?」
「さっきの"好き"は本当だから…」
「何?ゴメン聞き取れなかった」
「鈍感をなんとかしてって言ったの」
「なんだよそれ」
「悔しかったら、私の気持ちに気づいてみろー♪」
「えぇー!?」
「じゃあ、ヒント」
ミューリはおもむろに創輝の頬にキスした
「へっ?」
創輝は思わず呆ける
ミューリは可愛らしく"きゃー"と叫ぶと屋敷に向かって走り出す
「お、おい!!ちょっ!!えっ!?」
創輝は急いでミューリの後を追う、何を知りたかったのかをすっかりわすれて…
2人が屋敷に戻ると…
「あら、おかえり!!」
「「……えっ!?……えぇー!?」」
「お、起きてたの!?お母さん」
そこにはケイラが居た
「すっかり寝てるかと思ったよ」
「気になって寝られなくてー」
「そうかなる程、創輝が来たのは、お母さんの仕業だったのね」
「まぁ何も用が無いのに起きてた訳じゃないけどね」
「それっていったい?」
「話すにはちょうどいいと思って、ミューリのファークルについて」
「えぇーとまずは、ファークルの内容についてね、簡単に言うと、発動してから一定時間魔力の質と量が飛躍的に上がるって感じ、一定時間が終わるとほんの少しの間魔力が使えなくなるんだけど」
「でも私もう使えるよ」
「ほんの少しの間だけだからね、でも魔法専門で戦う人なら戦闘中だったら致命的でしょう」
「そうだとしてもすごいなミューリ…」
「ありがと、でもこれだけ強いとリスクとかあるんじゃ…」
「うーんと、リスクというかまず使えるようになるのが一番大変ね、使えないと今までのミューリのような状態になっちゃうのよ、満月の夜のように魔力が強まる時に暴走しちゃう」
「あれは、ファークルだったんだ…」
「ゴメンねミューリ…教えてあげようかとも思ったんだけど、変にもどかしい思いをしてほしくなくて…」
「ううん、気にしないで」
「ありがとう…使いこなせない人は結構いるの、強大な力と見た目故に嫌う人もいるわ」
「そうなんだ…それでミューリも…」
「次は使いこなせるようになるための条件について話そうかしら、これは一人じゃどうしようもないのよ、まず一つは、家族以外の人に理解と強い愛情を得ることと、二つ目はその相手へ愛情をもつことね、これは割と簡単、恋人ができればいいんだからね」
ミューリは思わず頬を赤らめる
創輝は相変わらずだが…
「はぁー、ミューリも運がいいんだか悪いんだか悩みどころね…恋人ができる前に使えるようになったと考えれば幸運だけど、それがこうだと…まぁ置いといて、三つ目はその相手に暴走を止めてもらうこと」
「えっ?じゃあ俺が止めたんですか?てっきりミューリが制御したのかと…」
「ミューリの魔力に対抗して魔力出さなかった?」
「あれやっぱり魔力だったんだ」
「えっ!?創輝知らずに使ったの?」
ケイラが驚く
「だって向こうの世界には魔法無かったし誰からも魔法の使い方教わってないし、俺は武術で使う"気"と思って使った」
「それであの魔力って…でも良かったわ暴走を止めるには相手に触れて魔力を流せばいいの…でもその時創輝が使い方知らなかったらと思ったらヒヤッとするわね」
「もう!!お母さん!!もし、創輝に何かあったらどうするつもりだったのっ!?」
「まったくミューリは創輝のことになるとすg「お母さん!!」はい!!ゴメンなさい!!!」
「まぁ、何事もなかったんだから、な?」
「創輝がそういうなら…」
「あっ、リスクあったわ、ファークルを発動してるときは、使いこなす為の条件を揃えた相手へファークルの保持者は愛情を押さえ切れなくなる、と同時に性格が少し変わっちゃうこと」
ミューリの顔が真っ赤に染まる
「それと、使いこなす前みたいに満月の夜は暴走しないと魔力が溜まりすぎて危険ってことはないけど、強い魔力にさらされたり満月の夜に月明かりに当てられると勝手に発動しちゃうことね…」
ケイラはいたずらを思いついた子供のように笑い…
「こんなふうにっ!!」
ケイラは魔力を発する
すると、ミューリの髪と目が水色とピンクに変わる
「ちょっ!!母さん!!「…そうき!!」うわっ!!」
ミューリが創輝に飛びつく
「…ひどい」
「えっ!?」
「…そうき…嫌そう」
「そういう訳じゃ」
「…私のこと…嫌い?」
ミューリが涙目で聞く
「き、嫌いじゃないよ」
「ミューリ、創輝はきっとミューリに抱きつかれてドキドキしてるのよ」
「ちょっ!!火に油を注ぐようなことしないで!!」
「…そうなの?(きらきら)」
「あ、うん、そりゃあ、まぁ…」
「…(パァーッ)」
「そ、そんなに嬉しいのか?」
「…ドキドキする…意識してる証拠」
「うっ…」
「…そうき」
「ん?」
「…私もドキドキしてる」
「えっ?」
「…好き」
「そ、そう」
ミューリは創輝に顔をすりすりする
「ほら二人とも明日早いんだから寝なさい」
「…むぅ」
ミューリは不満そうにケイラを睨む
「そんな睨まないの、創輝と一緒に寝てもらえばいいじゃない」
それを聞いて、ミューリはシュバッっと立ち上がる
「…行こ?」
「年頃なんだし別々のほうが」
「…や!!」
「いや、だから」
「…や!!!」
「俺だって男なんだからなにかするかもしれないんだぞ」
「…いいよ」
「あのなぁ」
「…(うるうる)」
「うっ!!…」
「…お願い」
「うぐっ!!…」
ミューリは上目遣いで創輝をじっと見つめる
「……わかった、俺の負け」
「…(パァーッ)」
ミューリは創輝の手を掴むと猛スピードで走って出て行った
ミューリは創輝の部屋に着くとベットに入る
「…早く」
「はいはい」
創輝がベットに入ると、ミューリが創輝を抱きしめる
「ちょっ!?ミューリ!?」
「…寝られない」
「はい?」
「…何か抱きしめないと」
「そういうこと…なら…しょうがない…のか?」
「…そうき…あったかい…いい匂い」
「そりゃどうも…」
「…そうき」
「何?」
「…呼んだだけ」
「そう」
「…そうき」
「今度は何?」
「…ありがと」
「どう致しまして」
創輝はそう答えるとミューリの頭を優しくなでる
ミューリは気持ち良さそうに目を閉じる
数十分後、ケイラとフラークが部屋を覗くと、2人は幸せそうに眠っていた
それを見て、ケイラとフラークは微笑み合い、明日以降の2人の身を案じ、心の中で娘を応援すると、満足そうに部屋を出て行った