1.何か記録を残そう・・・と決意した。
初の連載作品です。よろしくお願いします。
ある日の日常。主人公―――良太はいつも通りの日常を送っていた。
どこにでもあるような、何気ない日常。フィクションのような出来事があるわけでもなく、宝くじが当たったというようなデカい奇跡にも巡り合えず、真っ平らな道を進み続けて、障害物を避け続けて生き続けていた。
両親は完璧に年を取っていき、身内もかなり少ないという切羽詰まったような家計の中にいる俺は、どのようにして生きていけばいいのかわからなくなっていた。
才能もなければ、仲間といえるかつての高校の同級生たちにも会えてない。助けがどこにもないのだ。八方塞がり。
SNSを見ていると、『転職をして人生が変わった』だの『あの時変える意思を持っておいてよかった』というような、どこまでが本当であり、どこまでが宣伝性を込めた嘘っぽい発言になっているのか曖昧にも程があるような投稿を垂れ流しながら見ている。そんな日常だ。大人になると時間が経つのが早くなるというが、間違っていない。むしろビックリするくらいに実感できた。
仕事はとりあえずやってはいる。
少なくとも、俺はニートではない。そこだけは、唯一自慢出来そうな点だと思っている。あまりにもレベルが弱すぎるが。
仕事はいわゆるベルトコンベア系というわけではないが、ルーティンが定まっている、要するに『この流れ通りにやれば大丈夫』というような、歯車的な仕事だ。予定時間までに、準備を済まして、臨機応変に補充やら調整云々をやっていくのがメインとなっている。
ハッキリ言おう。スーパーマーケットの店員だ。仕事内容はシンプルっちゃシンプル。有休をとろうと思えば普通に取れれるし、保険等も充実できる。限りなくホワイトに近いグレーっぽい環境といったところだろうか。一番グレーっぽいところだなと思えるところは、給料が微妙だというところだ。SNSだったら、「明らかにブラックじゃねーか!」とリプ返が来るようなくらいの、中の下っちゃ下くらいの給料だ。あげたければ勤務時間を増やせばいいという意見もあるが、本音を言えば、スーパーの仕事の後半戦とも言える午後からは正直言って暇なのだ。特に平日の何の祝日もないときは。その暇が正直いやといえば完全に逃げになるのだが、そのほうを俺は選んでいた。13時上りは流石に暇かもしれないが、これくらいが丁度良いんじゃないかって思える。
だけどそんな甘えがいけないのだと思う。
ぶっちゃけて言えば、仕事を変えてはみたい。だけど、新天地は怖い。
環境になじめれなければ、その時点で外れを引いたことになるし、給料が情報とは異なっていたらこれもハズレ。ましてや3年以上も同じところにいれば、いやでも思い出のようなものは出来上がる。そういったものは、手放せない体質なのが欠点ともいえる。そうしてズルズルと20代最後の年になってしまった。
話がだいぶそれてしまった。現在良太は、晴天の空を散歩しながらスマホをいじっていた。
何もない日常に少しでも刺激のようなものを体験してみたい。
主人公の感覚というのはどこまで繰り広げられるのだろうか。
どういうわけでもなく、携帯小説サイトを開いていた―――【ライト部!】という名前らしい―――。
完全な架空の日常。作者が理想の世界を描いていく。創造主は自分自身であって、妄想を描き、直し続けて、世の中へ流出していき、ほかの人の目に留まり、感想を通して新しい輪を広げていく。口先だけで言うと、夢のあるような"作業"だと思える。宝くじに当たるのと同じくらいの奇跡の確率で、出版出来れば意外な形での成功と言えるのではないか。少なくとも俺はそう思っている。
在りがちな、夢物語を追ってみたくもなる。
「・・・どうしようかな」
ふと呟いてみる。妄想を描いて何が悪い。こういった奇跡が起きたらいいなと想像して何が悪い。
描いてみよう。自分自身の創造を。
―――自分自身の存在を証明し、確立したいから。
「・・・やってみよう」
気付けば、アカウント作成のフォームを開いていて、自分が唯一使っているスマホのメールアドレス・簡単なパスワードを自分の名前をもじった感じでテキトーに入力し―――勿論、メモ帳で忘れずに記録はしている―――アカウントを開いていた。




